招かれざる客はやって来る
見目麗しき比嘉江兄弟に告白? らしきされてから一ヶ月後、私は新婚で幸せなはずの人と縁を切ったはずの人の突撃を受けていた。
仲良しグループのリーダーを気取り、実は仲間にマウント取りたいだけだった新庄綾乃と、私の婚約者を寝取って新婦の座を奪った、いまや我聞姓となった優香である。
この二人は一体何を考えているのか。
季節はもう木枯らしどころではない十一月も後半。
厚手のコートをそろそろ出さなきゃかなって季節に妊婦と連れ立って、何ごとも無かった顔で「遊びに来たよ」ってないんじゃないの?
私は「帰れ」と二人に冷たく言い放ちたかったが、優香が妊婦であるという事でグッと我慢した。だけどこの部屋には上げたくない。
では自分が外に出ればいいのか。
うわ、あの二人と顔を合わせての話合いこそ嫌、だわ。
でもこのままじゃ事態が停滞するだけ。
妊婦の優香が少しでも具合が悪くなれば、多分どころか確実に私のせいにして綾乃が大きく騒ぎ出す。両親が住んでいる地元で。
私は覚悟を決め、応答の為にインターフォンのボタンを押す。
「うちに来るまでの道なりに、トニーズカフェというお店があったでしょ。そこで待ってて」
「酷くない? 優香は妊婦なんだよ」
「普通さ、人の家を訪ねる時は先に声掛けしない? 今ね、私の部屋は人を上げられるような感じじゃないの。寝起きだしすぐ出られるかわかんないから、今いるそこで待っているか、今言ったトニーズで待ってて」
「部屋が汚いぐらい大丈夫だよ。あたしらの仲じゃない」
私は綾乃の言い分に怒鳴りそうになった。
結婚式の一か月前に婚約者から一方的に婚約破棄されるのは、私が悪いから?
達郎君は愛を確かめようにも私が冷たいから不安だったって言ってたよ?
優香と達郎の結婚式に私が出てあげるべき?
などなどと、落ち込んでいた私にさらに追い打ちをかけて責めて来た人なんか、もはや私の友人でも何でもない。
だがしかし、私は何も綾乃に言い返さなかった。
一言言えば綾乃に倍言い返されるからではない。
二人の突撃は迷惑この上ないが、私は彼女達の押しかけによって傷ついてもいない自分を再確認したからだ。
二人の存在は本当にうざったいな、そう思うけどね。
「これは、王子さまと魔王さまのお陰かしらね」




