ピンクマウスを助けなきゃ
私は何も考えずに叫んでいた。
可哀想な鼠を助けたい気持ちばかりで。
後悔する? いいえ、するものですか。
冷静になって見回せば、ここはペットショップでも爬虫類館。
パンケーキとかタニンバールとか、コーン、コーンアルビノとか書かれたポップが目立つように貼られている水槽の中には、亀やトカゲや蛇が入っているのだ。餌だ、餌にされちゃう。
ほら、あの大きな水槽にはアロワナだって泳いでいる。
アロワナって生きた金魚を食べちゃう奴じゃない!!
「わたしがピンクマウスを引き取りますから!!」
「そんなに必死にならんでも」
店員さんの声に、私はほんの少しだけ冷静になって頭が動いた。
ピンクマウスって、一体いくらなんだろう。
珍しい毛色だったら高いのかな。
あ、でも、餌用でしょう。
という、あんまり動いていない思考でしかなかったが。
「どうぞ、こちらになります」
葛藤している私の手元、カウンターについている両手の間に、高さが五センチくらいで15×25の白い箱が差し出された。
え?
ハムちゃんはこんな薄っぺらくない!
もしかして、ピンクマウスって、いかがわしい薬の隠語だった?
そうよ、風俗でピンクってよく使われるじゃない。
「いえ、あの、これは私は」
私は顔を上げてその先が言えなくなった。
目の前には男性店員がいたのだが、私は彼に圧倒されてしまったのだ。
色白の彼は薄茶のミルクティー色の少し癖のある髪に薄茶色の綺麗な瞳の人だった。もっと詳しく言うと、髪形は長めの短髪で、丸っこい形に見えても毛先が跳ねているので躍動感がある、というものだ。
ぱっちりとした形の良い両眼で輝く薄茶色の瞳なんて、まるで琥珀か鼈甲飴のようだ。
彫りが深く鼻筋も通っているが、鼻筋は女性的で形が良い。
元婚約者なんて存在が吹き飛ばされるほどに、目の前のショップ店員はとっても素敵な若い男の子だった。
彼は誰もが想像しちゃう、王子様、だ。




