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元婚約者が浮気相手と結婚式を挙げた日に私は王子様と出会った  作者: 蔵前
プロローグ

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ピンクマウス入荷しました!

ピンクな画用紙に紺色の可愛い字で、ポップが手書きされていた。


 餌に最適!

 ピンクマウス入荷!


 私は何も考えずにそのお店に飛び込んでいた。

 そして、誰かに買われて餌にされちゃう前にと、カウンターに手をついて声をあげていたのだ。


「ぴ、ピンクマウスください!」

 …………………ああ、言っちゃった。


 私は三か月前に婚約者に婚約破棄をされた。

 そして今日の午前11時が私の結婚式が始まる予定だった。

 式の後は写真撮影だったりいろいろあるから、

 披露宴は12時ね。披露宴が終わるのは14時?

 三か月目の今日、ああ、あと二時間後に結婚式が始まるのね。

 私が式場のプランナーと話し合って作り上げたプランで!!

 ハハ、私と私親族の部分は新花嫁と新花嫁の親族で総入れ替えだが。


 どうして知っているのか?

 親友だと思っていた彼女と元婚約者が、私達が式を挙げる予定だった式場で、同じ時間で、同じ招待客で、ウェディングベルを鳴らすよってお知らせを、親友だったはずの人からもたらされたのだ。

 新天地でこれから新生活をするぞって気持ちの時に!!


 私が死にそうなほどに辛かった、てどうして考えてくれないんだろう。

 私が自分の式に招待したはずの私の友人達が、やっぱり花嫁も友人だからと祝いに出席するからねとことわりのメールを送ってくれたのは別にいい。

 好きにすればいい。私こそぜんぶブッチだ。

 なのに、「花嫁への花向けに祝いの言葉ぐらい送れ」はないんじゃない?


 そう言えば、両親からもメールが来たわね。

 お前のせいで肩身が狭い、と。


 私は今日この日、何もしない私を責めるようなメールも、これから起きることに思いをめぐらすこともしたくない、と、現在住んでいるアパートを飛び出して来たところだった。どこかのスタンドに落ち着こうにも気持ちがざわざわして、コーヒー一杯だって飲めずにすぐに店からも飛び出した。それでぐるぐると近辺を彷徨うように歩いていた私だった。


 そんな私が見つけたのが、この手書きポップ。


 ピンクマウス入荷。

 餌マウス。


 後がない、私よりも不幸な子。

 いいえ、私そのものかも。

 だからそのペットショップに飛び込んで、私は声を上げていたのだ。

 ピンクマウス下さい、と。

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