私の部屋はひたすら狭い
私の部屋に上がり込んだ比賀江兄弟は、阿吽の呼吸で茶々のお家を作りあげた。
茶々は専門家が作り上げた部屋に満足したのか、ペットキャリーから取り出してケージに入れるやプイプイと鳴いて牧草を齧っている。
私は床に寝転んでこの可愛い同居人を眺めていたいものなのだが、私の十畳程度しかない1DK部屋から比賀江兄弟が帰って行かない。
茶々ケージはベッドがあるところではなく、部屋の真ん中、台所側のちゃぶ台が置かれている、あたりの壁際に設置されている。
そして、比賀江兄弟はケージに注目するではなくちゃぶ台を囲んで座り込み、私にニコニコと笑顔だけを見せている。
座り込む前に、おかまいなく、と比賀江(兄)ことマサオ様は言った。
水でいいですよ、と比賀江(弟)ことナオキ様も言った。
私は首を傾げながらお湯を沸かし、彼等にコーヒーとほうじ茶のどちらが良いのか尋ねていた。
「いや、そんなお構いなく!」
「そうですよ! 水でいいですから!」
じゃあ帰れ、と言いたい自分がいた。
私はガスを止めると、冷蔵庫を開けた。
中には母が送ってくれた果物ジュースの小さな缶が大量に冷やされており、それを適当に人数分以上の本数を盆にのせ、そして、一口チョコレートのボックスと、ああ、そうだ、一口プリンも出しちゃおう、もったいないがこれは美味しい。
それらのものを盛った盆ごとを、ちゃぶ台のど真ん中に、ハイどうぞと、乗せた。
「満足にお構いも出来ませんで!」
比賀江兄弟は、なぜか最高だと言って笑い出した。
「新たなるぶぶづけ攻撃だ!」
弟がはしゃいだ。
「でも、全部、俺達の好物ですってね!」
兄は低く深い無駄に良い声を出しながら一口プリンを指でつまんだ。
分っているなら、早く帰って。




