↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/135

計画13

その後、館内の探検はやめて、試作料理の見学をしていました。

最初はデザート系になりそうだったので、ちょこちょこ意見を交えて軌道修正をさせました。

最後には出汁を使うところまで考え始めたので、これなら“茶碗蒸し”にたどり着けるだろうと判断して食堂を後にした。

今回の経験を活かし、僕は早速図書室に赴き、様々な本を読むことにしました。

数日間、朝ご飯を食べては図書室で読書をし、昼ご飯を食べては読書をし、夜ご飯を食べては自室で読書をして知識を蓄えていきました。

正直、もう知っている内容なんかは読まなくてもいいかと思うこともあったが、四六時中ミリアが一緒なので、読むことにした。

その方がいざ知識を披露した時に怪しまれないようにね。

そんな日々が続いて10日経ちました。

コンコンッ。

扉がノックされる。

ミリアが僕に会釈して、扉を少し開け、人物を確認してから開ける。

「坊ちゃま、サリアが参りました。」

「うん。」

「失礼します坊ちゃま。」

サリアがスカートの裾を持ちながらお辞儀をしてから入ってくる。

「どうしたのサリア?」

「今日は坊ちゃまにぶしつけながらお願いがあって来ました。」

「お願い?何?」

「先日のレシピが完成したので、坊ちゃまに試食して頂きたいのです。」

「へ~!完成したんだ!すごい!」

僕は子供らしく振舞う。

「ありがとうございます坊ちゃま。つきましては今、お時間はよろしいでしょうか?」

「うんいいよ!どうせ本を読んでるだけだから!ミリアも行こう!」

「はい!坊ちゃま!」

「お2人ともお時間ありがとうございます。それではこちらにどうぞ。」

サリアに先導されて歩いていく。

歩いていくと食堂を過ぎていく。

おや?食堂で食べるんじゃないのか?

コンコンッ。

「失礼します。ルーティン坊ちゃまをお連れしました。」

「おう!入ってくれ!あ!いや、入ってください!」

サリアが扉を開けてくれる。

中に入ると、学校なんかにあるような会議室になっていて、父上と母上、それに姉上が席についている。

他に部屋にはセバスとグリム、それに滅茶苦茶緊張しているライオットさんと何人かのメイドが静かに立っている。

何事!?って最初は思いましたよ。

ええ。

「ちちう・・・。」

僕が“父上”と言いかけた瞬間に口から白いものが天井に向かって出てくる。

「・・・パパ!どうしたの?」

白いものは速攻で父上の体内に戻る。

気をつけようと言ったそばからやらかしちゃったぜ!

「いやなに、ルーが今回の新作レシピに力を貸してくれたとライオットが喜んでいたからな。それを聞いてはパパも食べてみたいと思ってな。」

「ママもよ。ルーにまたケーキを作ってあげようと思って食堂に行ったら、リズちゃんが嬉しそうに話してくれたのよ。それを聞いてはママも食べないとね?」

リズはたしか食堂担当のメイドの1人だよな?

「姉上は?」

「私はミリアから聞いたのよ。ルーと一緒に料理を考えたって。正直羨ましいわ。・・・やっぱり後でミリアにお仕置きかしら?」

「え!?」

ミリアがカエルが潰れたような声を出した!?

「ふふ。冗談よ。」

ミリアはホッとする。

姉上とミリアは仲良しなのかな?

「さぁおいでルー。」

不自然に母上と姉上の間に席が空いている。

ここに座りなさいという無言の圧力を感じる。

そしてそれを悟られないようにしているけど、我慢しているパピィがいる。

知らないフリをしよう。

僕は言われるがままに間の席に座る。

「ふふふ。」

母上は嬉しそうに僕の頭を撫でる。

「そ、それでひゃ!?」

ライオットさんが下を噛んだ。

「う、うおっほん!それでは新作レシピを試食して頂きたいと思います!」

グリムが扉のほうに歩き、開ける。

扉を開けると食堂担当のメイドが料理を運んでくる。

それぞれの前に料理が置かれる。

まだ、隠されている状態だ。

「それではお召し上がりください!」

料理が披露される。

それは僕の記憶にある“茶碗蒸し”そのものである。

「ふむ。見た目はなかなかシンプルなものだね。これは・・・デザート、ではないな?」

「そうね~見た目はプリンにも似ているけど、甘い匂いはしないわね。」

「それにこの入れ物はたしか海の先の国の貿易品の・・・“焼き物”、だったかしら?」

「へい!あ!い、いや!はい!この料理はデザートではないです!また、温かい料理なので、ガラスの入れ物よりは焼き物の方がよいかと思います!プリンと間違えることもないですし!」

「ふむ。見た目は悪くはないな。では、頂こう。」

父上たちがスプーンで少量すくい、口に運ぶ。

なんだか、僕もドキドキするな。

はたしてこれは茶碗蒸しになっているのだろうか?

僕も一口食べる。

しっかりと醤油などで味付けはされているものの、しょっぱかったりせず、まろやかな味わい。

何よりもこの出汁がとても美味しいのだろう。

この料理の味を優しく包んでくれている。

もう一口すくうと、下から鶏肉が出てくる。

具は鶏肉以外は無く、個人的にはかまぼことかきのこがあった方が好きだけど、僕はライオットを褒めたい。

皆がどう思うかはわかりませんが、茶碗蒸しには黄金比があるのだ。

それは卵と出汁が1:3であること!

これには理由がある。

実は茶碗蒸しはシンプルな料理ではあるが同時に繊細な料理でもある。

出汁が多いと固まりにくく、卵が多いとかたくなってしまう。

だから卵と出汁は1:3がベストなのである。

ライオットはそれを成功させているのだ!

ゆえにとてもふるふるっとしているのだ!

これはまごうことなき茶碗蒸しである!

感動して涙が出ていますよ!心の中で!

僕が美味しさに感動していると、父上が感嘆の声が出る。

「とてもおいしいな。」

「ええ。シンプルではありますが、とても優しく温かい料理ですね。」

「子供にも人気が出る料理ですね母上。」

「ふふ、本当ねマリちゃん。」

好感触だぜ!

いやでも実際にすごいよライオットさん!

「おいしいー!」

僕も喜びの声をあげた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。