計画14
とてもおいしかった。
久々に食べたからか、はたまた食べたいと思っていたからか。
いや、きっとライオットさんの技術のたまものかな。
僕は綺麗に完食する。
全員が食べ終わるのを見て、ドキドキしながらライオットさんが口を開く。
「そ、それでは、ひゃ、ひょ、評価を、お、お、お、お!?」
緊張しすぎだよライオットさん。
見かねたグリムが深々とお辞儀をしてライオットさんの前に出る。
「横から失礼いたします。今回の新レシピの評価をお願いします。」
全員が黙っている。
おそらく評価順は父上からなのだろう。
父上は目を瞑って考えている。
なんだか僕まで緊張してきた!
「素晴らしい料理だった。シンプルなのに優しい味わいが深く、何より子供が好きそうな味付けは評価が高い。」
おお!
「そうですね。私は入れ物に焼き物を使っているところも評価したいです。他国の物も受け入れて行かなければ発展はありませんものね。」
うんうん!
「そのおかげでプリンと間違える心配もありません。ただ、私からは質問があります。」
ひょ!?
僕はドキドキしながら姉上を見る。
「ど、どのような質問でしょうか?マリネお嬢様。」
グリムも緊張している。
「3つほどいいでしょうか?」
「はい!」
緊張しているグリムに気遣い、ニコっと笑う。
「そう身構えないでください。私もこの料理には肯定的です。ただ聞きたいことがあるだけですので。」
「は、はい・・・。」
「1つ目はこの料理の具についてです。」
「具ですか?」
「はい。具は鶏肉以外も可能でしょうか?」
なるほど。
茶碗蒸しには様々な具があるもんな。
僕の好きなかまぼこやきのこしかり、他にはエビとか銀杏、三つ葉や小松菜なんかもいいよな。
「えっと、可能だと思います。この料理は卵と出汁が重要ですので、具に関しては風味などを壊さない物であれば大丈夫だと思います。この後、試作してみます。」
「よろしくお願いします。いろんな具が入っていた方が食べていて楽しいと思います。」
「はい!」
「2つ目はこの料理は前菜なのでしょうか?それともメインなのでしょうか?」
「メインではありません。メインの後にお出ししようと考えております。」
「わかりました。それでは最後の質問です。この料理の名前は何でしょうか?」
「名前は・・・。」
チラッと僕の方を見る。
僕の名前は絶対に使うなよグリム。
「あ~えっと、その、申し訳ありません。まだ名前はありません。この料理はルーティン坊ちゃまと妹のおかげでできたものなので、名前は2人につけて頂きたいと思います!」
「わ、私など!坊ちゃまの発想がなければできませんでした。この料理の名前は坊ちゃまにつけて頂きたいです。」
皆の視線が僕に集まる。
答えは決まっています。
「じゃあ、“茶碗蒸し”!」
こうして新レシピ“茶碗蒸し”が完成した。
なお、この後いろんな具材を入れることも決定しました。
もちろん僕の誕生パーティに出すそうです。
サリアがこっそりと嬉しそうに教えてくれました。
まぁ僕は知っていましたけど、サリアが笑顔だったので野暮は言わない。
あれから一月が経った。
僕はというと、知識を増やすだけでなく体力づくりも始めました。
筋トレを始めようとしたら、母上と姉上の猛反対に会いましたが、父上にお願いをしたら2人に1週間かけて説得をしてくれました。
筋トレではなく体力づくりならと渋々了解してくれました。
なお、ミリアにも反対されましたが、僕が頑張って説得しました。
まさかメイドを辞めるとまで言うとは思わなかった。
しかし、前世では運動が嫌いだったけど、ジョギングの後の風は気持ちいな。
港町だから海風が気持ちいいぜ!
「坊ちゃん!今日も剣の稽古をつけるんかい?」
「うん!お願いします!」
頬に傷のある短髪茶髪の青年。
彼はこの領地の騎士団の1人、ヴェルグ・キーウ。
胸板はまぁまぁ厚く、ガタイもそこそこいい。
前世で言うところの細マッチョよりかは筋肉質な感じだ。
ラフな格好に木剣を2本持っている。
「ほらよ。」
木剣が投げられる。
僕は簡単に受け取る。
最初はこれもできなかったが、今ではできるようになった。
なお、この後の展開もパターン化している。
「ヴェルグ様!坊ちゃまに向かって剣を投げるなど何事ですか!!何度言えばいいんですか!」
ミリアが顔真っ赤にして怒っている。
「い、いや、これも訓練の・・・。」
「言い訳など聞きたくありません!それとも、ビビに報告して欲しいんですか!」
「び、び、ビビは関係ぇねぇーだろう!?」
ビビとは食堂担当のメイドの1人である。
ヴェルグはビビのことが好きらしい。
10歳の時に告白して、“立派な騎士になったらいいよ”と言われてから猛特訓しているとのこと。
部隊長になったらもう一度告白するらしい。
個人的には応援しているぞヴェルグ!
「まぁまぁミリア。許してあげてよ。僕に怪我はないんだしさ。それに剣の訓練するんだから反射神経も重要だよ?」
「坊ちゃまがそうおっしゃるなら・・・。」
ヴェルグはホッとする。
ここまでがパターンである。
正直、訓練のたびに何度繰り返すんだろう。
まるで、時が進まなくなったような・・・。
まさかそんなわけはないよな?




