計画12
「父様、お話が・・・。」
「後にしてくれ!俺は今なぁ!」
「いえ、私ではなく坊ちゃまが・・・。」
「坊ちゃんが?」
ライオットが驚いた顔で振り返る。
「ねぇねぇケンカは良くないよライオットさん。僕でよければ力を貸すよ?」
「え!?」
その場にいた全員が目を見開く。
ま~た何か変なことを言いましたかねぇ。
「あの~坊ちゃま、使用人に“さん”付けはちょっと・・・。」
「え!?どうして!?」
やべぇ声に出た。
「ど、どうしてと言いましても・・・。」
ここは言い訳をしよう。
そうしよう。
「えっとですね坊ちゃま、私たちは使用人です。いわば、その、何と言いますか、坊ちゃまより下の者?です。ですので、“さん”付けをする必要はないかと・・・。」
「そっか~。サリアのお父さんは職人さんだから敬意を払おうと思ったんだけどな。」
あ!素がでちった。
「ぼ、坊ちゃん!!!!!」
ライオットは大号泣です。
ええ、言っては何ですが暑苦しいです。
「お、俺、い、いや、わ、私はそのようなお言葉をいただけるだけでも光栄です!」
いい大人が声をあげて泣いている。
相当心に響いたのかな?
というか言い訳しようとしたんだけど・・・まぁいいか!
てか、皆さん涙を流すのをそろそろやめません?
話が進まないんですが・・・。
そしてミリア、誇らしげに胸を張っていますね。
大いに結構!
「それで!新しいレシピだっけ?一緒に考えよう!」
「坊ちゃん!お、俺は、あんたに一生ついてくぜ!なぁ!おまえら!」
「はい!!!!!!」
うん、ついてくるのはいいけどまずは話を聞こうね?
このままじゃ進まないよ?
マジで。
仕方ないから強引に進めていこう。
「これが今までのレシピ?」
「そうですぜ坊ちゃん!これまでの料理のレシピがここにあるんでっさ!」
「見てもいい?」
「おう、いや、はい!おい!グリム!全部のレシピを持ってこい!」
「はい!親父殿!」
グリムが走って行く。
僕はとりあえず目の前にあるレシピ本を読んでみる。
ふむふむなるほど。
茹で物、煮物、焼き物、揚げ物、炒め物、蒸し物、和え物、焙煎、燻製、冷凍などなど調理法は申し分ないな。
これは単純なものではいかなそうだな。
「持ってきました!」
結構な数のレシピ本が机の上に置かれる。
僕は次の一冊を手にとって読む。
「俺たちも一から考え直しだ!坊ちゃまが協力してくれるんだ!徹夜でもなんでもやるぞ!」
「はい!!!!!!」
皆がそれぞれレシピ本をとって読む。
呼んでいくと分かったことがある。
この世界には漬物は全くない。
それどころか日本食が結構少ないな。
もしかして納豆の様に宮廷料理なのか?
みんな難しそうな顔で唸ってるな。
特にライオットさん、顔真っ赤にしてまで考えてしまうと、鼻血が出るよ?
次の一冊読むと、それはデザートのレシピ本だった。
デザートか、結構豊富だな~。
お!プリンだ!久々に作りてぇな。
普通のプリンもいいけど、ホイッププリンやミルクプリン、イチゴプリンにチョコプリンもいいな~。
あ!プリンと言えば茶碗蒸しもいいな~。
・・・ん?
そういえば茶碗蒸しのレシピを見なかったな。
茶碗蒸しのレシピがないか、他のレシピ本から探してみる。
結果はありませんねぇ。
これはいけるかもしれない!
・・・けど、どうやってみんなに伝えよう?
普通にレシピを言ってもいいけど、それじゃあ不自然だよな。
なんとか気づかせるか!
「ねぇねぇサリア、この料理美味しそうだね~。」
「どれですか?あぁプリンですね。確かに甘くておいしいですよね。私も好きです。」
「へ~甘いんだ!卵使ってるのに不思議だね!」
「え?」
「だって、目玉焼きは甘くないよ?」
「ふふ。坊ちゃま、プリンにはお砂糖がはいってるから甘いんですよ。卵焼きもお砂糖を入れて作ると甘い卵焼きになりますよ。」
「へ~そうなんだ!じゃあさ、砂糖以外入れれば味が変わるのかな?だったら色々いれてみたら?」
「色々ですか?」
「うん!たとえばね、う~んと砂糖の代わりにコンポタージュとか?」
「コンポタージュですか?なるほど・・・。」
おしおし、サリアが食いついてくれたな。
ここから茶碗蒸しにつなげるぞ!
「ん~でもしょっぱいほうがいいかな?醤油とか塩とか?あ!いっそのこと鶏肉とか入れてみる?」
「醤油にお塩、それに鶏肉・・・。」
もう少しかな?
「でも、僕は優しい味が好きだな~。」
「優しい味付け・・・!父様!」
「お!?なんだ!?」
「ちょっと作ってもらいたいものが・・・。」
よ~し!これで茶碗蒸しができるかな。
しかし、言葉を選びながら話すのはなかなか骨が折れるな。
今度は自然に会話できるように料理本も呼んでおこう。
「なるほどな!そいつは面白い発想だ!でかしたサリア!流石俺の娘だ!」
ライオットさんが声をあげて喜んでいる。
「いえ、私だけの力ではありません父様。坊ちゃまのお言葉がなければこのような発想にはつながりませんでした。」
「そうか?でも、坊ちゃんの言葉からこの料理を考えたのはお前だ。自信を持てサリア!」
「で、ですが・・・。」
「そうだよサリア!」
「坊ちゃま。」
「完成したんだねレシピ!」
「い、いえ、まだ空想にすぎません。これから実際に調理して味をみてみないと・・・。」
「えへへ。でもおめでとうサリア!」
ニパッと笑う。
「坊ちゃま・・・。」
サリアさんが涙目になってらっしゃる。
いや~美人は泣き顔も美しいな~。
「ありがとうございます坊ちゃま。失礼を承知でいいですか?」
「ん?いいよ?」
そう言った瞬間、サリアがギュッと抱きしめてくる。
「本当にありがとうございます坊ちゃま。」
皆がうんうんと感動している。
中には涙を流して微笑んでいるグリムさんもいる。
そんな中、ミリアだけが指を加えています。
君はぶれないね。
「坊ちゃま。」
ん?
「・・・大好きです。」
真っ正面から涙目で微笑みながらの小さな声で愛の告白。
男ならクラッと来るんじゃないですか!?
正直、サリアを嫁にしたいと思ってしまいました。
けど、ここは我慢我慢。
幸い誰にも聞こえていない感じだ。
こ、子どものふりをせねば!
「よかったねサリア!」
その場は満点スマイルで逃げました。
サリアは少し残念そうな顔をしていましたが、許してもらおう。
まずは麗しの君と出会わなければね!
・・・お許しが出たらサリアのことも考え・・・。
いや、今のところは考えないでおこう。




