計画Ⅱ 6
「会場に来ると、ますます受かるか不安になるな。」
受付を済ましたブランはそのまま試験会場の指定された席に着いた。
辺りを見回すと、ブランでも知っているような有名な貴族や騎士、他国の名のある者など多数見受けられる。
何よりも驚いたのは男女比である。
ブランは騎士というのは男性ばかりだと思っていたが、女性の数も多く、また貴族ばかりではなく花屋にいそうな女性を始めとした一般市民も多い。
「ん~流石に知り合いはいる訳ないよなぁ。そもそもいたとしても何の知り合いかによっては会いたくねぇしな。にしても・・・。」
ブランはとても気になることがあった。
それは周りに立っている騎士たちではなく、前の席に座っている目を引くような美人のことでも無い。
それはチラホラ見る女性だけが持ているカードである。
「あのカードは何なんだ?男性は・・・持ってる奴いねぇし・・・てか、女性でも持ってねぇ奴はいるよな。本当になんなんだ?遠目に見ても同じカード・・・だよな?ん?マジであれは何だ?オーウェンではあのカードが流行ってるのか?」
そんなことを考えていると、一人の男性が入ってくる。
その瞬間、会場に言い知れぬ緊張が走る。
その圧に、自然と喉が鳴る。
見渡せば自分以外も同じであり、騎士たちも先程と比べても明らかに雰囲気が違う。
登壇した男性はゆっくりとマイクを手に取って声を出す。
「この度、ルーティン様の騎士選抜試験にお越しくださり、皆々様には感謝の念に堪えません。」
優しくも誠実な口調なのに、より一層迫力が増している。
「私はこの第一試験会場を担当するセバスと申します。短い時間ですが、どうぞ良しなに。」
一礼だけなのに、一つ一つの動作に目が離せない。
「さて、皆様にはこれから筆記試験を行ってもらいます。」
セバスの声に合わせて、周りにいた騎士たちが受験者一人一人の机の上に一枚の紙とペンを置いていく。
(これが試験問題・・・。)
「制限時間は60分。問題数は全部で五問。私の合図で試験を開始し、60分後の私の合図で試験を止めてください。他の受験者の邪魔やこちらの指示にないような行動をするようなら試験は失格とします。最も、私の目から逃れられるほどの実力のある不正行為があるのなら見せていただきたいぐらいです。」
(絶対に無理だろ・・・どんだけの眼光の鋭さだよ。)
「以上で私の説明は終わります。質問のある者は手を挙げていただこう。」
誰も手を挙げない。
が、ここでブランは手を挙げる。
「・・・そこの者。」
セバスの声に反応して、ブランに視線が集まる。
怯みそうになるが、臆することなく声を出す。
「2点ほど、いいですか?」
「どうぞ。」
「あっと・・・60分ここに拘束されるんですか?」
「いいえ。早めに終わったのなら手を挙げていただきます。騎士が試験問題を回収しに行きます。回収されれば退席して頂いても結構。」
「そうっすか・・・あ、じゃなくて!?そうですか!あ、あと・・・そのトイレに行きたくなった場合は・・・あ~・・・どうなんですか?」
「その時点で失格です。」
(なん・・・だと・・・。)
「騎士たるもの、いついかなる場合も万全の準備をしておくもの。試験が始まる前にトイレに行かなかったのは自分の責任。故に、失格です。」
「わ、かり、ました・・・。」
(想像以上じゃねぇーか!!)
「他にありますかな?なければこれより試験を開始します。」
セバスの言葉に皆、口を閉じる。
「・・・無いようですので、これより試験を開始します。では、始め!!」
(なるようになれ!!)
ルーティンの為の騎士選抜試験の筆記試験が始まった。
問1.あなたにとって騎士とはどうあるべきか
(騎士はどうあるべきかって・・・はぁ!?騎士は騎士だろ!?どうあるべきかって・・・。いやいやそもそも俺騎士じゃねぇから知らねぇよ!てか、周りの奴らの手が止まってねぇ!!?マジかよ!?ど、どうすんだこの問題!?う、う~ん・・・これは捨てだな。一般的な回答をしよう。)
ブランは適当に自分的に騎士とはこういうのが騎士なんじゃないかという感じで書く。
問2.騎士に必要なものは何か
(知らねぇーーーよ!!!はぁ!?騎士に必要なもの!?武力か?それとも誠実さ?いやいや知略か?もしかして主人を守るためには自分の身を顧みない自己犠牲の心か?どっちにしろ何だよこの問題!こんなの事前準備できるわけねぇだろ!!ふざけてんのか!と、とにかく今思いついたものを全部書こう。)
当たらない弓数打てば当たる精神でブランは先程思いついたもの全て箇条書きで並べた。
(これが筆記試験かよ!難しいとかそういう問題じゃねぇじゃん!)
一夜漬けに近いブランの勉強だったが、それすら無に帰す問題に頭を抱えることしか出来なかった。




