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計画112

「昨日はすみませんウォンドさん。」

出立前に別荘に訪れてくれたウォンドに、ルーティンは素直に頭を下げる。

「よしてくださいよ坊ちゃん。坊っちゃんのおかげでガラス細工は新たな発展をしたんですから。」

「と、いうことは!」

「へへっ。」

ウォンドは持ってきた木箱をテーブルの上に置く。

「どうぞ。見てくれ。」

エンラが頷いてからルーティンは木箱の蓋を開ける。

「まぁ!」

「これは!」

そこには綺麗なオレンジ色ガラスのワイングラスが入っていた。

「坊ちゃん。」

ウォンドの笑みは自信を表している。

ルーティンは手に取り、ワイングラスを太陽に照らす。

「・・・綺麗。」

「うん。見事だね。」

十分に堪能してからルーティンは木箱に戻す。

「すごいよウォンドさん!」

「いいや。これは坊ちゃんの技術だ。俺のおかげじゃねぇよ。」

「ううん!ウォンドさんの力がなければこれは完成しなかったよ。」

「へへっ。・・・なぁ、坊ちゃん。」

「ん?何?」

真剣な顔になったウォンドはルーティンに向かって頭を下げる。

「この技術、俺に譲ってくれねぇか。」

「うんいいよ。」

「そうか、やっぱりいいのか。・・・へ?」

「だからいいですよって。ね、エンラ。」

「ええ。私たちが持っていても意味の無いことですもの。それなら職人に渡した方がとってもいいですわ。」

「ほ、本当にいいのかよ?」

ウォンドは断られることを前提に、自身の全財産を賭けるつもりだった。

それが予想外の二つ返事。

喜びを通り越して変な動揺がウォンドを襲う。

「いいんです。この技術はウォンドさんの好きにしてください。その代わりといっては何ですが・・・。」

「な、なんだ坊ちゃん!」

「このワイングラスを僕に譲ってくれませんか?国王陛下に献上したいんですけど・・・。」

「か、構わねぇよ!元々こいつは坊ちゃんに渡すつもりだったんだからよ!」

「良かった。じゃあ遠慮なく貰いますね。」

木箱の蓋を閉じ、ルーティンはミュートに預ける。

「け、けど本当にいいのか?なんか他に欲しいものはねぇのかよ?」

「じゃあ専属になってくださいウォンドさん。僕が欲しい時に優先的に作ってください。」

「専属・・・か。へへっ。坊っちゃんは欲がねぇな。いいぜ!このウォンドの工房、坊っちゃんの専属になってやら!」

「よろしくお願いします。早速ですが、いくつか色の付いたグラスを作ってもらえますか?両親のお土産にしたいので。」

「おう!いいぜ!」

「用事が済み次第、取りに行きますので保管もよろしくお願いします。」

ルーティンとウォンドは握手をし、円満に商談を終えた。

その後、ルーティンたちはお世話になった人たちに挨拶周りをし、ビオラの待つ地下王国に帰るのであった。


『・・・ようやくつながったか。元気かマクス?急な連絡ですまんな。』

「・・・。」

『マクス?』

「何やってんだい!さっさと話しな!」

精神的に疲れていたマクスにそのような元気はない。

『いい情報がある。ルーティン君についてだ。』

「るー・・・てぃん・・・!ルーティンだと!?」

『ああ。』

「何だ!何を知っているんだ!教えてくれグステフ!」

『ハハハ。慌てるなマクス。ゆっくりと話そう。』

「そんな時間は!」

『ルーティン君は無事だ。心配ない。むしろすごい子だな。ルーティン君は。』

「グステフ、何を言って・・・。」

『ルーティン君に会ったんだ。』

「ッ!?」

マクスは安堵から自然と涙が零れる。

それがその部屋にいる他の者にも伝わる。

「旦那様・・・。」

「良かったじゃないかマクス。」

「ああ・・・ああ・・・ああ!」

「セバス、すぐにでもリリスとマリネに知らせてあげな。」

「ハッ!」

セバスは涙を拭き、駆け足で部屋から出て行く。

『早く君に合わせてあげたかったが、それは出来なくなってしまったよ。』

「何だと?どういう意味だグステフ。答え次第では・・・ただでは済まさんぞ!」

『これはルーティン君が望んだことだ。』

「何?どういうことだ?」

『どうやらルーティン君にはやらなければならないことがあるらしい。それが何なのかはわからないが、安全だけは保証するよ。』

「訳が分からないぞグステフ。詳しく話せ。」

苛立ちそうになるのを堪え、マクスはルーティンの居場所を聞き出そうとする。

『ルーティン君は現在、エンラ様と一緒に行動している。』

「エンラ様と?何故そのような場所に?ミリアも一緒なのか?」

『ミリア君なら私の私兵が保護済みだ。経緯はルーティン君自身から聞いたほうが良いと思うぞ。』

「分かったすぐにそちらに向かう!」

『ああ。こっちでバカンスでも楽しみたまえ。ルーティン君は自身のやるべきことが終わり次第、君たちの下に戻るそうだ。いいか、マクス。くれぐれも余計なことはするなよ?ルーティン君は今何かを成し遂げようとしているのだからな。』

「・・・わかった。ここまで必死に探しても手掛かりが掴めなかったんだ。今更少しの時間待つぐらい造作もない!」

『ハハハ。その意気だ。ではな。』

「待っていてくれルーティン!」

マカベルグ家に活力が戻ると、すぐさまマーマレイドに向けて出立の準備に入った。



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