計画109
「さてさて用件というのはですねルーティン君。」
(さっさと言ってほしい・・・とは、言えない。)
「ようやくルートが見えたわけですが、今の御心境はどうでしょうか?」
「ルートって・・・まぁ傍から見れば乙女ゲームみたいに見えるしそうなのかもしれんが、一応これは僕の現実の人生なんですけど?」
「まぁまぁ。そう怒らないでよ、ね?実際問題答えはもう既に決まってるんでしょ?」
(否定できないけどこの駄女神の満面の笑みは許せねぇ。)
「だから気持ちをハッキリと言葉として聞きたいと思ってね。」
「・・・そうだな。悔しいけど、僕の目指すべきゴールのようなものは見えてきたかな。ただ・・・。」
「正しいかどうか、皆が幸せになれるかどうか、間違ってはいないのかなどの様々な問題が君の中にあると?」
(鋭いな駄女神のくせに。)
「本当にそういう時、女神って情けないよ~。君の為に未来を見ることは神として許されないからね。今の君の心の中の問題に何も答えてあげられない。」
先程までのお茶らけた雰囲気は徐々に消え、神秘的な雰囲気を醸し出し始める。
「けれど一つだけ答えるなら貴方が幸せであるならば、私は他の誰かが不幸になろうとも構わない。そう思っています。」
「さらっと酷いこと言ってるけど?いいのか女神がそんなんで?」
「貴方はどう思う?」
(質問に質問で返すなよなぁ。でもそうだな・・・。)
「女神にそう思われることを、僕は悪いとは思っていない・・・かな。」
ルーティンの答えにアーネムは優しく微笑む。
「私のこの思いは正しいのか、この世界の誰もが幸せになれるのか、この気持ちは間違ってはいないのか。そんなこと私自身もわからないわ。けど、時にはそういう思いが未来を明るいものに変えると私は信じているわ。」
「そうかよ。」
いつの間にか真っ白な世界は色を持ち、自然にあふれ、楽園のような姿に世界は変わる。
「改めてお聞きしますルーティン様。貴方の選ぶ道を。」
「僕は・・・。」
「ルーティン様お夕飯の準備が・・・。」
エンラが声を掛けても中から返事は無い。
そのことがエンラ自信を責める。
(やはりまだ話すべきではなかったのかもしれませんわね。)
「およよ?どったのエンラちゃん?」
「リュートさん。あの、その・・・。」
「また喧嘩ぁ?」
「ちがっ!?」
「だよねん。もしエンラちゃんとルーちゃんが喧嘩したのならミュートが私にそう伝えるからね。」
リュートは笑顔を見せると、エンラの話しやすい位置に目線を合わせる。
「何があったのかなエンラちゃん?」
「私・・・実は・・・。」
包み隠さずエンラは今日の出来事をリュートに話す。
楽しかった出来事も、自分が決心したことも。
「なるほどねん。それでルーちゃんは考えこんじゃってるという訳か~。」
「まだ話すべきじゃなかったのでしょうか。せめてスクールに通ってからでも・・・。」
「遅かれ早かれ話す気が合ったんならいつでもいいんじゃね?」
「でも・・・。」
「エンラちゃんは悪気があってルーちゃんに話したわけじゃないんでしょ?だったらいいんじゃないの?詳しくは聞かないけど、ルーちゃんが抱えている問題を解決できるのはルーちゃんだけだよ?他の誰も解決することはできないんだよ。手助けは出来るけどね。まぁ何が言いたいかというと、ここからはルーちゃんが頑張るところってこと!以上!」
「リュートさん・・・。」
「そ・れ・に!ルーちゃんがここから出てきたときにエンラちゃんがそんな顔してたらまたルーちゃんが悩んじゃうでしょ!」
「そうですわね。私が落ち込んでもルーの考えは変わらないですものね。」
「そうだよ~。だからご飯、食べよ?」
「ええ!」
エンラはリュートと手をつなぎ、食堂に向かって歩き始める。
振り返ることなく、ルーティンの導き出す答えを信じて。
「そうかそうか。それが君の答えなんだねルーティン様。」
「うん!」
「ならばそれを私は手助けしましょう。」
「よろしくアーネム!」
「ええ。さて、君の覚悟を聞いたし、今回君を呼んだ用件をいい加減に話そうかな。」
(まだ話してなかったのね。)
アーネムが軽く指を動かすと、楽園に真っ白のテーブルと椅子が現れ、誘われるようにルーティンは席に着く。
「もういっちょ!」
もう一度指を動かすと、今度は紅茶とお茶菓子がテーブルの上に現れる。
「これで一息つきながら聞いてくれるかな。」
「はぁ。」
紅茶を一口飲み、ルーティンはお茶菓子を手に取る。
「そんで用件ていうのは何さ?」
「それはね、エンラちゃんだっけ?その子が君に話してくれた内容についてだよ。」
(青年の話か?あれは僕にルートを教えるためじゃないのか?)
「エンラちゃんが話してくれたのは光の部分。闇の部分は話していない、というよりもエンラちゃんも知らないのかもしれないわ。」
アーネムの表情と“闇”という言葉に嫌な感じがするルーティンであった。




