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計画99

「風が気持ちいいですわ。」

馬車の窓から顔を出し、エンラは風を感じる。

「お嬢様、危ない行動は慎んで頂かないと・・・。」

「平気よ!ルーもどうかしら?」

「僕は遠慮するよ。」

今ルーティンたちはマーマレイドに向けて馬車を走らせている。

「そう?・・・ところで、その・・・。」

言い淀むエンラの目の先にはリュートとミュートがルーティンを挟んで座っている。

しかもミュートに至ってはルーティンに抱き着いている。

「いひひ~私たちはルーちゃんのお姉ちゃんだからね!弟の面倒を見る義務があるんだよ~。」

「えっと・・・。」

「そう。リュートの言う通り。姉である私たちがルーちゃんの面倒を見るべき。」

エンラは困ったようにルーティンを見たが、ルーティンの目は既に諦めている。

「そ、そう?」

それ以上は何も言えず、エンラは黙って座る。

少しすると、馬車についている小窓がこんこんっと叩かれる。

「お嬢様、マーマレイドが見えてきたそうです。」

「早かったわね!」

もう一度、大きな窓から外を覗くと、白を基調とした美しい町が見えてくる。

周りにはたくさんのミカン畑があり、柑橘系の匂いがここまで届く。

「ん~良い匂いだわ!」

「お嬢様、滞在時の予定の最終確認を行わせていただきます。」

「ええ!」

フィーラは一礼をし、懐から小さなノートを取り出す。

「まず今回のマーマレイドでの滞在はお忍びという形であることをご理解ください。その上で本日のご予定ですが、ビオラ様が普段使っている別荘を利用させていただくのですが、メイドは私を含め3人ですので、至らない部分が多いと思いますがご了承ください。」

「ごめんね~エンラちゃん!私らメイドとしてはひよっこでさ~。」

悪びれた様子もなくリュートは言う。

「でも2人のことは命に代えても守る。」

対してミュートの言葉には本気が乗っている。

「で、できればそういうことが無いことを望むわ。」

エンラは若干ではあるが引いてしまう。

「続きをお話しします。本日は別荘で過ごして頂き、翌日にリーメ様との面会が午後からのご予定です。」

「ん?午前中も別荘で過ごすの?」

「いいえ。午前中はビオラ様のお母様にお会いしてもらいます。何でもビオラさんが会いに行くことを伝えたらお2人に会いたいとの旨を頂いたそうです。」

(これは都合がいいな。ビオラさんのお母様にも会って聞きたいことがあったし。)

「そしてさらに翌日ですが、グステフ様がお2人を歓迎したいとのことですので、簡単なお茶会に出席して頂きます。」

「い、忙しいわね・・・それじゃルーとデートできないじゃない。」

ぼそぼそとエンラが文句を言う。

「はい。ですのでさらに翌日は1日休暇を取らせて頂いてから最終日、つまり5日目にご帰還という流れです。」

抜かりの無いフィーラに感動し、エンラは抱き着く。

「流石だわ!フィーラ!」

「お嬢様を想えば造作も無いことです。」

無表情ではあるが、若干だけ口角が上がっている。

(いい仕事が出来て嬉しそうだな~。)

「流石だね~。しっかりとエンラちゃんの気持ちを把握してる~。」

「私たちもフィーラさんのようにルーちゃんのことを把握(管理)する。」

(なんか一瞬だけ内心が見えたんだけど!?)

話していると、また小窓を叩かれる。

「どうやら着いたみたいですね。」

大きな窓から外を見ると、いつの間にか立派な屋敷の前に止まっていた。


「それではこれから私たちは屋敷内の清掃、および足らない物の補給をいたします。動き回るので捕まらない可能性もありますので、何かご用件がありましたらこちらのキャタさんにお申し付けください。」

「アッハッハッハ!アタシがいれば安全は保障するよ!嬢ちゃん!坊ちゃん!」

オレンジ色の短髪を綺麗に整えている男勝りの顔の女騎士が豪快に笑う。

「頼もしいわね。」

(大きな体も相まってね。)

「だけど、アタシは器用なことは出来ないからそういう類は遠慮してくれよ?アッハッハッハ!」

「では私たちは失礼します。」

綺麗なお辞儀をし、名残惜しそうにしているリュートとミュートの首根っこを掴んで去って行った。


「早速だけどいいかなキャタさん。」

「なんだい坊ちゃん?」

「剣の稽古をしたいんだ。」

「けんのけいこぉ?」

予想外な言葉にキャタはキョトンとする。

「うん。僕は強くなりたくて剣の特訓をしていたんだ。」

(最近は色々ありすぎて出来てないけど。)

「せっかくだし、キャタさんに稽古をつけてもらえないかな~って。」

「そりゃあいいけどよ・・・。」

チラッとエンラを見る。

「構いませんわ。私もルーの稽古を見たいですもの。」

「あ~まぁそういうことならいいけどよ。先に言っとくぞ坊ちゃん?アタシは手加減とか人に理論的?に教えるようなそういう器用なことは出来ねぇぞ?やるなら感覚で覚えてくれって感じだ。」

「わかりました。それでお願いします。」

余り気乗りしないキャタはルーティンたちを連れて中庭に向かった。



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