二十二話
死ぬほど筆が遅かった…書きづらい…!
あ、初めて4100文字超えました。
「というわけでここがメインの商店街のカピラストリートだね。飲食店やお土産屋さん、娯楽施設となんでもござれでこの街に来たら必ず行くべき場所なんだ。たまーにライブとかもやってるんだって」
「なるほどなぁ、道理でこんなに人がいるわけだ」
「有名人がちょいちょい歩いてるのもそういうアレだからっすかね…」
人気と活気に溢れるメインストリートにオレたちは今来ている。全員が手に買ったフルーツ串を持って。
簡単に言ってしまえばハワイのワイキキあたりの様な風景が広がっていて、肉の焼けるいい匂いやら上手な歌声やらが飛び交い、視覚的にも鮮やかなハイビスカスなどがあり華やかに映る。
「わあっ!あのお土産屋さん凄いっすよ!行こうっす!」
パタパタ手を振るアリスにオレとセシルは目を合わせた後追いかける。
たどり着いた先にあった土産屋は不思議なものが多く並んでいる店だった。並みの店では考えられない様なものまで置いてある。限定バトルアックスってなんだよ。
異色なその店の中で良さげな土産を各自で見つけ、今は持ち寄ってどれを買って帰るか決めている最中だ。
「やっぱこういう時は菓子送るのが一番楽だろ、そこまで貰って困る物じゃないし」
エントリーナンバー1のオレが提案したのは真ん中にヤシの木がプリントされているクッキーだ。
無難で一番の安全牌を踏ませてもらった。
「うーん…それもありだと思うけど私はこっちかな?お酒ならギルドのほとんどの人が飲めるし」
エントリーナンバー2、セシルの提案してきたのは酒だ。確かにギルド団員は酒が大好きだしこれもありなのかもしれない。長くギルドにいたセシルだから思いついたのだろう。
「わかってないっすね二人とも!旅の土産と言ったらこれしかないっすよ!」
「それは自分用だろうよ」
最後にアリスが出してきたのは良く売っている中二病キーホルダーだった。これ貰って喜ぶのはアリスくらいだろう。
少なくとも他人に土産として渡すものではない、却下。
「となると選択肢はこの二つか…アリス、どっちがいいと思う?」
「えぇー!?わたしはこれがいいっす!」
「後で買ってやるから選べ」
「言質取ったっすからね!…まあその上でわたしはお酒に一票っすね。前セシル先輩が買ってきたのが美味しかったんすよ」
そういやこいつ飲酒可能な年齢だったな、外見とやってる事が中学生だからどうしても違和感が。
ともあれ、土産に何を買うかは決まったしさっさと買っていろんな店を回ろう。そう考えながら会計を済まし店を出ようとする。
「ごめん飛鳥君、ちょっと用事を思い出したから別行動するね!一回宿に戻るから荷物も貸して?」
「そうなのか、着いて行く必要はあるか?」
「ううん大丈夫! アリスの事よろしく!」
走って行ってしまうセシル。相当急いでいるようでよほど大事な用があったのだとわかる。
「あ、そうだ。ほらよ」
「わっ、とと。…本当に買ってくれたんすか」
キーホルダーを買った事を思い出してアリスに渡す。リアクション的に本当はいらなかったのか?と不安になる。それを尋ねてみると
「ううん、すっごい嬉しいっす!ありがとうっすよ!」
と花のような笑顔と共に返事を返してくれた。両手でそれを握りしめて。
「よし、じゃあここを回ってみるか。パンフレットもさっき取ってきたし」
「そっすね、行くっすよ!」
そこから色んな店を回った。やたら大きい本屋やセンスのよくわからない服屋、新鮮な魚介類の並ぶスーパーマーケットなど、娯楽が発達しているのがよくわかる店たちだった。
一番驚いたのが映画館だ。魔物がいる世界でどうやったら映画を撮る余裕が作れるのかが不思議だ。予告を見たが魔術を使ったCGにはないリアリティのある迫力が伝わってきていつか見に来ることを決めた。
そんなこんなで楽しい時間は終わりを告げ、今は二人で会議をする場所に向かっている。共振装鉄でセシルから先に向かうという連絡が来ているので彼女はここにいない。
「にしても楽しかったっすね!」
「そうだな、途中に見た曲芸師は凄かった」
「あの体が四等分されてバラバラに動くやつどうやってたんすかね…」
夕日がオレたちを照らす中今日の思い出を話しているともう会議が行われる建物が見えてくる。ストリートの端から歩いて五分ほどで着いて驚いている。もっと人気のないところでやるものだと思っていた。
「よし、じゃあ入るか」
「はいっす!」
扉を開け、中に進む。下手な事はしないようにしなければ。
ーーーーーー
「よく集まったな諸君。私が今回の邪神討伐戦の指揮を執るアルベス・ラーズレイドだ」
定時になり会議が始まった。
今この会議場となっている大きなホールには500はくだらない数の人が集まっている。誰を見ても歴戦の雰囲気を纏っており、クトゥグアの力を借りてもオレじゃ勝てないような人ばかりだ。それだけ大掛かりな作戦なのだろう。
そして指揮官と名乗った女性は語るのを続ける。
「過去五度の討伐戦を務めた弟は今回補佐の指揮に下がらせた。まあ討伐戦といっても本体は倒せていないがな!私がこの場で醜き悪を討滅する事を我がラーズレイド家の名と剣に誓おう!では我が弟に譲ろう、ルクス!」
そう剣を抜いて宣言する指揮官。彼女が呼んだ弟は舞台裾から出てきて一礼をし話し始める。
兄弟という事もあるのだろうがどちらも焼けるような赤い髪をしている。服装は弟は質素だが実用的な鎧を、
「はい。今回指揮官補佐として参戦させていただきますルクス・ラーズレイドです。よろしくお願いします。
さて、今回の作戦はガルム・ラーズレイド卿が提案した案に則って進行します。以前の小隊制ではなく前衛後衛がはっきりとします。
なので撤退、前衛の交代タイミング等はこちらから指示をさせて貰い、それには従っていただきます。」
そこからはテキパキとルクスさんが指示を出していった。前衛後衛の分担や各自の当日の配置、出現の予想されるモンスターの対策講座ようなことも話していた。その間指揮官はずっと棒立ちだ。もしかしたら彼女は家の都合でこの作戦に駆り出されたのかもしれない。そうだとしたら災難だな。
「というわけで今回の作戦会議を終了します。お疲れさまでした」
その言葉をきっかけに続々と冒険者たちはこの場から退場していく。時刻は午後9時を示している。
「うひー長かったっすね!」
「全くだな!帰って明日に備えよう」
「爺さん婆さんかお前ら…」
「カズマ君は寝てたから楽なだけでこうなるのは普通だよ。わかったらもっと真面目に話を聞こうね」
重くなった腰を上げ二人して伸びをする。その背後から失礼な事を抜かすカズマとセシルがやってくる。
「ここにいる全員が参戦するのか、なら心強いな。明日は勝とうぜ」
「おうよ、当たり前!勝つよりも生存する方が大事だからな?」
「わかってるっすよ!頑張るっすよ!」
「そうだね。これが終わったらカズマ君の奢りで何か食べに行こう…はい」
手を前に出し重ねるように促すセシル、それに従いオレたちは円陣を組む。
「明日は全部ぶっ殺して勝つぞー!」
「「おーっ!」
「物騒だなセシル!?」
それに賛同して手を挙げたオレも十分物騒だが。
ーーーーーーー
そんなこんなであの場は解散になり、四人で前祝いだとか言ってステーキを食べて来た。
どんちゃん騒ぎが大好きな奴ばっかりで本当にここでの生活は飽きないな、と思いながらオレは一人夜の街を歩いていた。アリスとセシルはすぐ宿に帰って寝るらしく、カズマはもう少し酒を飲んでから寝るんだとか。
「夜風に当たりたいだなんていきなりどうしたんだ坊主」
「…少しお前に聞きたい事があってな」
住宅街を抜けて丘のようなところに出る。夜の冷えた潮風が肌を撫でて進むのを感じながらオレは海を見据える。暗く、深い山の色を湛える海を。
「なあ、クトゥグア。お前オレになんの魔術を仕掛けてるんだ?」
「魔術?なんの事を言ってるんだ」
「しらを切るつもりか?意外と気づかれないように魔術を使うのは下手だぞお前」
ハッタリではなくしっかりと確信を持って告げる。左腕がクトゥグアになってるんだ、きっと本当にバレてる事も分かっているはずだろう。
ハァ、とため息のようなものが左腕から漏れ、一部が分離して例の掲示板モードに変形する。表示されている顔はやれやれといったものだ。
「ったく、少しは強くなったと思ってもらおうと掛けたんだがなぁ…そうだ、精神強化の魔術を施している。いや強化というよりは鈍化か。殺しに対する罪の意識を激減させるタイプのやつをな」
やっぱり。おかしいと思ったんだ。ただの高校生が一回殺しただけでそれに慣れるなんて事は。
「もう効果はほぼ発揮し終えた。お前の心はもう殺しを対して重く感じなくなるように変性したからな
それにあって困るものだろう?この仕事をしていくなら」
真剣な顔を表示してこちらを見てくるクトゥグア。
確かにそうだ。はっきり言って邪魔な物だ。けれどそれを無理やり忘れるのはおかしいんじゃないか?
何故か思考がまとまらない。頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられているようだ。
「あー…この波長はクトゥルフの影響か。邪神が共鳴しちゃあそうもなるか…。
で?質問はそれで終わりか坊主。終わったんならさっさと帰って寝るぞ。安眠の魔術をかけてやろう」
「ああ、ありがとう。じゃあ最後に一つだけ頼みがあるんだが…」
嘶く風が強くなる。それを言うな、すべきではないとオレを止めようと感じるそれを無視してクトゥグアに一つの頼みをする。
「ーーーーーーーー」
「…わかった、準備はしておこう。だが使う事は推奨しないぞ」
「ありがとう、そうならないようにオレも願ってる」
これでとりあえず気になっていた事、頼むべき事は全て解決した。安心して明日の決戦に挑める。
腰を上げ海を見る。見えない、けれどそこに感じる大いなる何かを一瞥してオレは踵を返しその場を去った。




