海の街と癒療士と
潮風の舞い込む街、アレイズに無事に到着した。街なみは白一色で統一されていてどことなくギリシャを思わせる。
荷物を置きにきた宿屋も清潔な感じで道中見かけた屋台も美味しそうなものが多く、観光地として人気なのがよくわかる。実際色んな種族の人がいた。
2mほどの背丈のオークや弓を持ったエルフなどのファンタジーでよく見る種族から翼の生えたトカゲのような人もいた。そして見た人の多くが浮き足立っているような雰囲気だったのが少し気になる。
「おっ、飛鳥か!お前もこの仕事を受けに来たのか?」
そして今オレはちょっとした空き時間が出来たので近場の屋台で手頃な値段の串焼き(何の生物かはわからない)を買い公園でそれを食べていたところだ。
「その声は…カズマか。奇遇だな」
話しかけてきたのはカズマだった。今日は一人ではなく背の高い男の人を連れている。
それにしてもこの仕事?一体何のことを言っているのか。
「全くだ。これならチーム組む相手も困らなくて済むから助かった」
「待った、さっきから何の話をしているんだ。オレはイカ殺しにきたのと船の探索をしにきただけだぞ?」
そう言うとカズマはきょとんとした顔をする。隣にいた男もそれは同様だ。
「何って…邪神討伐戦に決まってるだろ。今はそんな依頼受けられる状況じゃないぜ」
「は?」
なぁ?と顔を見合わせる両者。
さも当たり前の如く出てきた邪神という最高に最悪のワードにオレは恐怖を覚える。当然だ、神を相手取るなんて人類がやっていい行為じゃない。その事をカズマに言うと
「でも殺さねぇと俺たちが死ぬ。神だろうと人だろうと勝たなきゃ生きていけないのは変わらないだろ?」
「そりゃそうだな。よし殺そう。…ところでこの人は?」
目線の先にはカズマの仲間と思われる人。
初めて会った時にはいなかったしギルドにカズマがいる時も側にこんな人はいなかったはずだ。
「こいつか?こいつはな…」
「大丈夫だよカズマ。僕から自己紹介くらいするよ。
はじめまして、だね。僕はセフ・オースラルガ。気軽にセフって呼んでくれると嬉しいな」
「オレは了義飛鳥です。よろしくお願いします」
固く握手をする。間近で立つとより背が大きく見える。190近くあるんじゃないか?
そして気になるのが体の薄さだ。この世界に来てから見てきた人達のようなゴリゴリの筋肉質といった感じはなく、むしろ前の世界の平均のような体つきをしている。
「セフさんは後衛職なんですか?」
「敬語はいらないよ、僕も18歳だからね。
…そうだね、僕は癒療士、簡単に言えばヒーラーだね」
「同い年には見えねぇ…」
何食ったらこうも大きくなれるのか不思議で仕方ないがそこは流しておこう。
さて、そんなものが迫っているならイカの相手なんかしていられないだろう。きっとオレたちもその作戦に参加するだろうし色々と聞いておきたい。
「邪神討伐戦ってのは飛び入り参加はできるのか?あとどんな戦いなのか教えてくれ」
「前日までなら参加受付はしているはずだぜ。
どんな戦いか…ひたすら湧いてくる雑魚を潰しまくって出てきた親玉を叩いて終わりだな。少人数でチームを組んで各個撃破に当たるのが前回までのやり方だ」
「そうなんか…その前回と今回で何か変更点はあるのか?」
「指揮官が変わるらしいよ。なんでも男爵家の次男がくるんだって」
そんなことを話していると旅に出る前に買った共振装鉄がアラームを鳴らす。
共振装鉄とは簡単にいえば携帯電話のようなもので、登録した装鉄に連絡が可能だ。他にも地図を見たり天気を見たりできるので感覚としてはスマートフォンとなんら変わらない。電力で動くか魔力で動くかだ。
「っと、ゴメン。アリス達から呼び出された。また今度な!」
気をつけろよー、と手を振ってくる二人に同じく手を振り返す。サフか、いい奴なのが少し話しただけでわかるような人だったな。
そんな事を思いながら来た道を走り帰る。
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「ただいま。準備は…終わったみたいだな。一つ話したい事があるんだけど二人ともいいか?」
「どうしたの?お土産なら買う所はもう検討つけてるけど…」
「違う。今回の依頼の件についてだ」
そしてオレはカズマから聞いた情報を二人に話した。依頼が受けられそうにない事と邪神の事だ。
それを話すと二人は
「邪神かぁ…前回の討伐戦も参加したし次も行こうと思ってたけどまさか今だとは。いいねやろうやろう!」
「すっごい乗り気っすねセシル先輩…。飛鳥先輩はやるんすか?いくならわたしもついていくっすよ!」
ワクワクしてるセシルと頑張るっすといったポーズをとるアリス。二人のやる気は十分な様だし今回は参加してみるとしよう。
「じゃあ全員で参加するって事で…となるとそれの会議のある18時まで暇になるな。各自自由行動って事で」
「あ、それならこの街の観光を三人でしない?色々見て回れる所があるから時間は潰せると思うけど。案内もするよ?」
「いいっすね!行きたいっす!」
「そうだな。じゃあ案内頼む…ちょっとその前に串焼き買ってくる」
こうしてだいたい五時間ほど街に繰り出す事になった。なんだかんだ言ってこの世界で初めての観光だから心が躍る。




