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二十話

なんとか二十話まで書けました…これからも頑張っていきますのでどうか飽きないで読んでやってください

下の階に降りるとすでに依頼書を机に並べて唸っているアリスがいた。そしてその隣にはセシルもいる。どうやら何かアドバイスをしているようだ。


「よっ、何の依頼受けるか決まったか?」

「うーん…二つまで絞ったんですけどどちらにしようか悩んでる所っすね…」

「ちょっと見せてくれ…『ミニクラーケンの討伐』か『幽霊船の調査』?海系ばっかりだな」

「今は夏っすからね!海行って泳ぎたいんすよ!」


本当にこの子魔術師なの?前衛職した方が向いてるんじゃない?と思うような動機で選ばれた仕事達を見る。確かに難易度的にはベストだし報酬も美味しい。

だがこう…陰の者に海は辛いものがある。何とか説得して近場に変えてもらおう。


「それに…わたし、飛鳥先輩と海行きたいっす!」

「わかった行こう」

「坊主お前意思弱いな」


左腕からツッコミが飛んでくる。その声には呆れが少し混じっていたのをオレは聞き逃さなかった。

仕方ないだろこんな事今まで言われたことないし。


「へー、君がアリスの言ってた義手君?受けるならこの仕事の間よろしくね」

「セシルだったか?こちらこそよろしくな」


勝手に左腕が動きガシッと強く握手をする。セシルは表情から、クトゥグアは流れ込んでくる意思から「こいつ…できる!」と互いを判断した事を把握する。

そういえばセシルは割と戦闘狂な部分がある事を思い出した。この前門番してる時に難癖つけてきた奴をボコボコにしてたし。


「この仕事終わったら一試合やらない?」

「いいな、よし坊主!全身を俺に寄越すんだ」

「ふざけんな!」


こんな奴に体を明け渡したらどうなるかわかったもんじゃない。

全力で拒否をすると二人ががっかりする。いい加減にしろよ戦闘狂。


「あ、そういえば移動はどうするんだ?結構海まで距離があった気がするけど」


そう、この街は完全に海から離れている。前の世界でいえば埼玉から神奈川くらいの距離が具体的に言えばあるのだ。

それを車もなしにどう行くのか?という疑問が思い浮かび質問した。


「馬車に乗って行くっすね。交通費と速度の割合が一番良いのが馬車なんすよ、それで1日かけて行くっす」

「1日もかかるのか…まあ商品を運んだりもあるだろうしそれ以上早いと馬が持たないか」


その通りっす、とアリスが頷く。

運送用の手段は他にも牛車や竜車があるが、どちらも速度や値段に難があり普段使いには向いていないのだ。


「宿も取ってありますし早く行くっすよ!飛鳥先輩もセシル先輩も準備したらまたここで集合でいいっすか?」

「そうだな…本当にこいつらも行くのか?」


^_^という顔を浮かべる、又は表示している二人を指差す。少し前までは普通に強い人だと思っていたが今は不安材料の一つにカウントするようになってきた。セシルは暇さえあれば模擬戦をしているような血の気の多い奴なのだ。


「むっ、私だって自制くらいはできるよ!ちょっと素振りしてれば落ち着くし。出来れば対人戦のがいいけどさ!」


心外だと抗議してくるセシル。何一つフォローになっていないのに気がついて欲しいものだ。

そしてその右手は何なんだ、今すぐ槍を掴んで振れるぞと言わんばかりの右手は。


「あはは…じゃあ一回解散っす!」


パン、と手を叩き無理やり場を締めるアリス。


ーーーーーー


「平和だなぁ…」

「平和っすねぇ…」


あの後は特にトラブルなどはなく無事に出発する事ができた。屈強な冒険者の人も馬車団に同乗するらしく、セシルは彼らをみて闘志を滾らせ槍を軽く振っていた。やっぱり自制出来てないじゃないか。

そして今は馬車の上で穏やかな日差しに晒され寝落ち寸前と言った所だ。


「魔術書も難しいし休憩しようと思ったけど…こりゃ再開するのは大変だなぁ…」


魔物もあまり現れない安全なルートで騎士団や冒険者もよく通るから盗賊も出てこない。当然やる事もないから勉強でもしようと思いギルドにあった魔術書をいくつか借りてきたが思いのほか内容が難しい。文系に数Bやらせるような大変さがある。


「でもやらなきゃ強くならないっすよ?わたし達後衛職は勉強に次ぐ勉強で強くなるんすから」


ジト目で人差し指でほっぺたを突いてくるアリス。助けた日から距離感が近い気がする…が、オレとしては嬉しいので特に指摘もせず天を仰ぐ。そこにはいつもと変わらない澄んだ空があった。

本当に平和だ。しつこいようだが。


「そこの馬車、止まれ!」


剣呑な雰囲気の声が聞こえ、一気に意識が覚醒する。他の乗客もそれは同じようで全員が武器をすぐに抜けるようにしている。なかには詠唱をほぼ唱え切りあとは撃つだけという人もいた。


「我々はラインセント国第七師団所属の騎士だ!この先は現在立ち入り禁止区域となっている。アレイズ街に行くのなら回り道をしていくんだな」


騎士の人はそう言うとなにやら複雑な文様がいくつか描かれた書状を掲げてくる。それを見るや皆武装を解除しだらけ始める。どういう事なのか?

ちなみにアレイズ街というのはこれから依頼を受けに行くところだ。漁獲量がこの国随一を誇り、海が綺麗なのもあわさり主要な観光津市の一つになっている。


「凄いっすね、国王様の印まで書かれてるっすよ」

「…真ん中のやつか。偽装とかの可能性はないのか?」

「まさかっすよ!ああいう国が公認した印は一切偽装不可っす。…チートでも使われない限りはっすけど」

「不安になるような事を言うなよ…」


できれば二度と会いたくない相手なのだが少し前に見たばっかりだからかまた遭遇する気がする。

それを思い浮かべて微妙な顔をしているオレを見てアリスは笑う。


「あはは!そんなにポコポコ出てくるわけないっすよ!…ない、っすよね?」

「心配すんな。なんかあったらまた助けに行くから」


少し怯えるような表情で問うてくるアリスにオレは軽く頭を撫でることで答えとした。自然と頭を撫でている自分に疑問を抱きながらオレは勉強を再開する。海に行くのだし水魔術でもやってみるか。

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