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十八話

「…チ、チートだ!僕のカラドボルグを受けて立っていられるだなんてチートでしかありえない!お前、異世界から来た奴だろ!?なら一緒にこの世界で好き放題やらないか!?ここなら虐めてくる奴も縛り付けてくる奴もいない!」


倒さないと悟るや否や必死な形相でオレを説得しようとしてくる。だがオレは左腕を落とされ、アリスはこいつに攫われているのだ。YESという返答は返すわけにはいかない。


「ふざけんな。オレがお前にとる対応はここで殺すか騎士に突き出すかの二択だけだ。どっちがいい?選ぶ権利くらいはくれてやる」

「い、嫌だ!僕はやっと自由になったんだ!この世界で自由に生きるんだ!お前を殺してでも生き延びてやる!」

「そう、か…じゃあオレもお前を殺す方向で行こう。クトゥグア」


左腕となったクトゥグアに呼びかける。

今までの生身の腕の慣れた重さとは違う、金属特有の重さが返ってくるが不思議と違和感はない。まるで最初からこれがオレの腕だったかのようだ。


「ああ、新武装だな?共に詠唱を頼むぜ」

「わかった、…其は星を砕く厄災の剣、天を断ち神を斬る怒りの具現なり!応えろ、焔謳う不敗の剣(グレイヴ・ソリッシュ)!」


そう唱えると二つの銃が輝いて宙に浮かんで合体し、一振りの大剣になってオレの目の前に落ちて地面に突き刺さる。飾り気はほとんどなく、無骨だがそれでいてどこか美しさのある剣だ。


「こいつの能力は…まあ、簡単に言えば異世界の存在に対する強力な特攻みたいなもんだと考えてくれ。効力はお墨付きだぜ。以前とある奴は『神殺しの権能』と呼んでいたな」

「そうか…殺せればなんでもいい」

「ああ、存分にやってやれ」


声を発する剣に鍔を鳴らす事で返答とし、正気の伺えない目線でこちらを見る冬藤のほうをむく。

その目線はオレより奥を見ているようで、まるでこの世のものではないなにか(・・・)があるようだった。

そんな事は御構い無しだと歩を進めると、少し体に変化があった事に気がつく。

革のブーツだったのが銀色に輝く鉄のブーツに変わっていて、きちんとしていて傷のなかったコートは裾の部分が焼けてしまっている。そして肩の部分にはブーツ同様に銀色の肩当てが付いていた。


「…これは?」

「お前に合わせて装備を強化した。剣の能力と合わせればあいつの攻撃のほとんどは通らないだろう」

「ふーん、かっこいいな」


コートを翻して突き立った剣を引き抜き、俗に言う大張一刀流で構える。やはり大剣と言ったらこう構えるのがマナーであろう。


「行くぞッ!」


そのまま剣を右肩に担ぐようにして思い切り冬藤に突撃する。踏み込みは大地を割り噴射するブーストは空気を焼き、莫大な推進力となり5mほどあった間合いを一瞬で詰める。


「落ちろぉッ!」

「う、うわあああああ!」


全力で袈裟斬りを仕掛けるがあまりにも高い敏捷ステによりすんでのところで回避される。が、その程度は予測している、勢いを活かして避けた先に後ろ回し蹴りを叩き込み、蹴りぬく。

吹っ飛ばされた冬藤は受け身をとる間もなく木にぶつかりそのままうなだれて動かなくなる。そしてその機を逃すつもりはオレには無い。


「…今からお前を殺す。言い残す事はあるか」

「な、なぁ!嘘だろ!人を殺すなんて出来るはずが無い!?そうだろ!?」


歩みを進めながら冷酷に告げる。

人を殺さない?命一つ奪う事に何も変わりはない。こいつを殺すのもゴブリン一匹殺すのもなんの違いもない。


「…待て、待ってくれ、なんで剣をふりあげてるんだよ!同じ異世界人だろ!?そのよしみでゆるしてくれよ!な!?」


必死だな。そりゃ自分の生き死にがかかってるんだしそうもなるか。でもこいつはそうやって助けを求めた人を殺している。因果応報というやつだ。

ひどく冷たい目を向け、逆手で持った剣を冬藤に突き刺す。一度では無く何度も、何度も。頑丈だからこうでもしないと確実に殺せない。


最初は泣き喚きながら抵抗してきたがそれも徐々に無くなっていった。そして刺し始めてからたったの1分ほどで力なく腕を伸ばし、涙を流して死んだ冬藤の遺体が出来た。


「なぁクトゥグア、人を殺すってこんなに呆気ないものなのか?こんなにも何も感じないものなのか?」

「相手が相手だからだ。別に坊主がおかしいわけじゃない…そんな事より嬢ちゃんの所に行ってやんな」

「…ああ、そうだな。わかってる」


そう言ってアリスのいる方に足を向ける。遠目だが特に目立った外傷はなかったようで安心する。結構距離があるのによく見える、目でもよくなったか?


「飛鳥先輩っ!」


アリスが駆け寄ってきて飛びつき、抱きかかっくるのでそれを受け止める。…いや、受け止めようとしてやめた。こんなに血に塗れた体で彼女に触れていいのか、それはダメなんじゃないかと自問する。

が、そんな考えをよそにアリスは強く抱きついてくる。よく見ると彼女は今にも泣きそうだった。


「ほんとっ、わたし、先輩が心配で、迷惑かけてって思って」

「そんな事思ってない。アリスが無事でよかった」


安心させるために優しく抱き返す。そうすると堰を切ったように涙を流す。守れてよかった、そう思うと急に意識が暗転して何も見えず何も感じなくなる。遠くでアリスの声が聞こえるが起きる気力がない。


「少し眠れ。これ以上は正気が保てなくなる」


クトゥグアの声が最後に聞こえてオレの意識は完全に闇に落ちた。

話が書きにくくなってきた…筆遅

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