十七話
書きだめなくなったので連日投稿が怪しいかも
「あ、飛鳥先輩!?無茶っす!」
「無茶だとしてもやらなきゃろくな目に遭わない…クトゥグア、予定の時間まであと何分だ?」
「あとたったの3分だ」
「たったてお前…後ろ見てみろよどう3分稼ぐんだよ」
腕を落とされた後、熱したクトゥグアの刀身で断面を焼き止血をした。文字通り死ぬほど痛かった。
で、現在の状況はじわじわと距離を詰められていて今残されたオレと冬藤との間の距離は60mほどしかない。かといって森の出口まではまだある。詰みだ。
ーーけれどタダでやられてやるつもりはねぇ!
「一か八かだ、其は星を観る焔、終末を告げし者の代行、輝きは収束する--八幡星の閃光!」
勢いを残したまま振り向き、二つの銃をクトゥグアに浮かせてもらい閃光を放つ。そしてそれは冬藤に命中するが効果は薄そうだ。どこからか剣を取り出し、それで受け止められてしまう。…が相手は勢いが少しだけ削られてこちらは反動で加速した。
「わたしも手伝うっすよ!」
「すまない、頼む!」
体制を変えて完全にだっこしているような状態でアリスが後ろに魔術を放つ。火力はなく、ひたすら弾幕を張り視界を奪うような魔術だ。
「お前!僕の女を奪ってタダで済むと思うなよ!ぐちゃぐちゃにして殺してやる!」
「じゃあ明日戦ってやるから今日は帰らせろ!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!僕が殺すって言ったんだから殺されろよ!」
「バカかお前!?」
猛追してきながらよくわからない、小学生みたいな事をぬかしてくる冬藤。それめがけて片方の銃で牽制のビームを放ち、もう一つの銃で即席の障害物を作るために大木を切り倒す。
「アリス!頭下げろ!」
「はいっす!…大地は削り失せる、大地の怒り!」
切られて倒れてくる木のギリギリ下を通過し、倒木の少し後ろに地盤沈下…即席の落とし穴を作る魔術を仕掛けるアリス。引っかかれば少しは楽になるのだが流石にそんな罠に引っかかる奴はいないだろう。
「うわぁ!なんで落とし穴が!?」
アホで助かった。大地の怒りは縦一メートルほどの穴を作る魔術なので、勢いそのままに穴に突っ込めば肋骨の何本かが持っていけるかと思ったがその様子はない。頑丈さは凄まじいようだ。
「コケにしやがって!男はミンチにして殺す!女は一番惨い方法で自分が生まれたことを後悔させてやる!」
頭に血が上っているようだ。こうなった相手ならいかにステータスが強くても戦いやすい。
冷静さを欠いた者から死んでいく、いつだったか祖父がそう言っていたのをふと思い出した。
「ハッ、現に追いついていないお前ごときがそんな事できると思ってんのか!?無理しねーで帰って寝てな!」
「何だと!?殺してやる!」
今度は二門の銃で狙う。さっきから観察していて相手の回避の時のクセはなんとなく見抜いた。左右に連続で避けるからそれを見越して--
「うわぁっ!」
「…ビンゴ!」
当たった。が怯んだだけでこれまたダメージはなさそうだ。だがまた差は広がった。これなら逃げ切れるか…?
「ふざけんなふざけんなふざけんな!殺す殺す殺す!」
次の瞬間、視界から冬藤が消える。本能が危険を訴えてくる。それに従いその場で地に伏せるようにすると、進行方向から見て左側の木々がなぎ倒される。
同時に途方も無い衝撃も来て、オレたちは吹き飛ばされる。
「くっ、アリス!」
「大丈夫っす、けど逃げられそうにはなさそうっすね…」
オレたちの目線の先には恨めしそうにこちらを見る冬藤がいた。気合いで立ち上がり右手だけで銃を構えるとまた冬藤が姿をかき消す。
「坊主!後ろだ!」
クトゥグアの助言と直感で後ろから突き出された刃を紙一重で躱す。そこから二つ三つと繰り出される致命の一撃をいなし続け、バックステップで一旦距離を取る。
そこから連続する凶刃の嵐を避け、いなし、無効化し続ける。反撃を叩き込む余裕はないが何とか耐え切れる、これなら時間を稼ぎきれそうだ。
「その程度か?チートだと思って警戒していたが不意打ちでもしないと攻撃を当てられないとはな、やっぱ雑魚だったか」
「黙れ!…まあその余裕もこれまでだ。今まで手加減されていた事に感謝しろ?
これから僕の二つ目のチート能力でお前をぶっ殺してやる!」
「二つ目…だと?」
嘘くさい演技をしたが既にチートの内容は調査済みだ。ここに来る前に騎士の人に聞いてある。それが今回の勝負の決め手となるからだ。
こいつの第二のチート能力は『魔力増幅』。一の魔力を五として扱えるらしく、大規模な魔術を平気で行使してくるらしい。
そしてそれを使った必殺技が高出力の光魔法をぶっ放してくる様で、騎士が3人がかりで張った結界でようやく止められたんだとか。
「そうだ!僕のこの聖剣が悪であるお前を裁くんだ!チートを持っていないお前では何もできず死ぬしか無いだろう!そうだ、あの女を今差し出せば命だけは助けてやるよ。どうだ?」
急にイキイキとし始める冬藤。それさえ使えば必ずオレに勝てるとでも言いたげな顔でバカみたいな提案をしてくる。
「そんな提案飲むわけないだろ、お前を倒して二人で帰る。これがオレの返答だ」
「そうかよ、じゃあ死ね!」
そういうと剣を逆手に持ち魔力を剣に集め始める。
「…クトゥグア」
「ああ大丈夫だ。いつでも行けるようにしてある」
こちらは準備は万端、後は相手の出方に合わせるだけだ。
「収束せよ収束せよ収束せよ、三度の詠唱の元に光は集う」
ボソボソと小声で唱えていた詠唱が切り替わったように大声で、宣言する様なものに変わる。カードを切るタイミングはここあたりだろう。
「星を観る焔よ、善を呑み悪を喰らう銀腕よ!」
今はなき左腕があるかのように右腕を添え、オレも詠唱を開始する。
「昏き闇を照らすものよ、聖別の時は来た。我が呼び声に応じ輝きを放て!」
「時は満ちた、断絶の時は来たれり!我が呼び声に応じ顕現せよ!」
一人は逆手に持った剣をくるりと一回転させて日本でいう八相の構えを取る。
一人は左腕の切り口から膨大な炎を巻き上げて突撃する。
「聖剣---」
「天を焼く---」
輝きを纏う剣は上段に振り上げられ、炎は収束して形を成していく。
「金剛雷光ーーーッ!」
「勝利の銀腕ーッ!!」
そして二つの事象が起こる。
最初に発生したのは大地を砕く光の刃が現れた。それは瞬く間にオレを飲み込み、オレの後ろにいたアリスごと消し去るように思えた。
が、そうはならない。その光刃が6つに引き裂かれたかのように分散したからだ。
そのまま光の濁流に耐える事十数秒。あたりの木々は消え去り、残ったものはオレとアリスとむき出しの大地だった。
「なっ、なんだと!?なぜ生きている!」
「お前の得意技が通用しなかったからだ。…さて、反撃の時間だ。懺悔の時間はない、せめて苦しんで死ね」
そう言ってオレは生身の右手と白銀に煌めく義手に銃を構える。これがオレの切り札、対異世界人用決戦兵器の銀腕、アガートラムだ。
次で戦い終わるはず




