十一話
「っあぁ〜…頭いてぇ…」
何だかんだ朝日が昇るまで四人で騒いでいたから寝不足で頭が痛い。酒は未成年だから飲まなかったがそれでも堪えるものはある。
「おはよっ飛鳥君。…やっぱり昨日の事引きずってる?そんなに気にしなくても君はきっとやっていけるから大丈夫だよ!」
「いや…騒いでて寝不足。悩んでた訳じゃないから安心してくれ」
「そ、そうなの?ならよかったよ!…で、それが今日の依頼?」
ホッと胸を撫で下ろすセシル。目線の先にはオレが取ってきた依頼書がある。
内容は『バウンドウルフの討伐』『下級火炎精霊の討伐又は撃退』『セレスキノコのカゼル街への納品』の三つ。
「そうだ。難易度はちょうどいいくらいを選んだんだが…どうだ?セシル的には危険か?」
「ううん、これくらいならむしろ軽いかも。にしてもセレスキノコかぁ!これのソテーが美味しいんだよ!」
「へー…セレスって名前についているしこのセレス街の特産なのか?」
「そうだよ。養殖と天然があるけど天然物のが美味しいね」
「なるほどな…今日の晩飯は決まりだ、アドバイスありがとう!」
そう言って立ち上がり、昨日も行った森へと向かう事にする。それぞれ目的の物のいる位置ある位置は地図に書いてある、迷うことはないだろう。
「きをつけてねー!頑張って!」
「はいよー!」
ギルドから出る直前にセシルから激励が飛んでくる。きっと今回の依頼も何とかなるだろう。
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「ぎゃんっ!」
「よし、これでバウンドウルフの討伐は終わり…と。意外とあっけなかったな」
特筆する事が何もなくバウンドウルフの討伐は終わった。本当に何も無かった。昼時に寝ているところをザックリである。
「坊主、次の下級精霊は依頼通りにこなさないでくれ。ちょっとやりたい事がある」
「依頼を蹴れって言うのか?やだよ違約金払いたくないし」
「違う、吸収する。俺の能力は炎寄りだからな!下級でも力になるかと思ってな」
クトゥグアって火の能力持ちなのか。これは初めて知った。
「まあいなくなれば討伐扱いでいい…のか?まあ楽に終わればそれで上等だ」
「OK、じゃあ精霊の元へ行くぞ!」
森に入って30分ほどの距離にこの狼の溜まり場があって、そこから更に40分ほど行った所に下級精霊が集まっているらしい。道中でキノコを回収しつつその目的地まで向かう事にした。
道中、気になることがあったのでクトゥグアに聞いてみた。
「なあ、クトゥグアって火の精霊の中でどれくらいの立ち位置にいるんだ?外見的には禍々しいしでかいしでなかなか上のランクだと思うんだけど」
「…お前本気でそれ言ってるのか?」
「ああ、本気だけど…」
「なんかショックだな…俺有名だと思ってたんだが。まあいつか詳しく話すさ。今の坊主じゃ俺の正体に耐えきれないからな!」
「ええ!?気になるから話してくれよ!」
「やなこった!…さて着いたな。ちょい待ってろ」
話しているうちに精霊達が集まっている所についた。柔らかい光を放つ丸い玉がふよふよとたくさん浮かんでいる。幻想的な空間だ。
そして着くやいなや、腕輪からハッキリとは聞き取れない、何か冒涜的な魔術の詠唱が聞こえてくる。きっと聞き取るとロクなことがないだろう。
「…よし、詠唱終わったぞ。少し待ってれば勝手に腕輪に集まってくるはずだ」
本当か?と半信半疑でいると、本当に精霊達が腕輪に集まり吸収されていった。
「な?」
「本当だ…で、吸収して何か変わったのか?」
「いや、何も変わらねぇな。吸収した奴らが弱すぎる。…なんだよその目!いいだろ楽に倒したんだからよ!さっさとカゼル街に納品して帰ろうぜ」
「……そうだな」
「こ、この野郎…」
時間は…3時くらいか。キノコも必要数集まってる。これなら日が暮れきる前にギルドに帰れそうだ。
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オレ達のギルドのある街、セレス街から歩いて一時間半くらいの所にある街、カゼル街。ここは王都と漁港の中継地点らしく、なかなか街は繁盛している。セレス街は冒険者の中継地として栄えている。
「すいませーん、キノコ納品しにきましたー!」
「あっ、冒険者さん!大丈夫でしたか!?」
門で今度こそ証明書を提示して正式に街に入り、薬屋に入ったのだが、店内はだいぶ慌ただしい。何かあったのか?
「はい、特に何かあった訳では…何かあったんですか?」
「はい。隣の森に異世界人が現れたらしいのです!」




