十話
やっとこさ十話です…登場人物は随時更新してます
「よっ、はじめましてだな!初仕事お疲れ!」
「…誰だあんた」
あの後無事に街につき、約束通りセシルにステーキを奢った後どうしても寝ることが出来なくてギルドの食堂で水を貰って一人でちびちび飲んでいたところ、見知らぬ男に声をかけられた。マジで誰だこいつ。
「ああ、そういや初対面か!そりゃ悪かった。オレはカズマ・アルスロアだ。よろしくな?」
「飛鳥。了義飛鳥だ。よろしく」
差し出してきた手を取り握手を交わす。
「隣座るぜ。で?どうだったんだ初めての仕事は」
「なんともねーよ。ただ殺してきただけだ」
「へぇ、異世界人の割に殺しに動揺したのか。声に出てるぜ。…あ、ノクト!キープしてたボトル持ってきてくれ!」
「声に出てるだ?それってどういう…」
「はいなのです!カズマには火竜の融酒、飛鳥さんにはサービスでオレンジジュースと注文していた炒飯なのです!…カズマ、喧嘩したら三日間料金五倍に引き上げるですからね」
このギルドでメイドとして働いているノクトが会話を切りながら注文していた料理を届けにきてくれた。会話が切れた事で
「容赦ないなあいつ…ああ、さっきの声に出てるってのはな、少しだけ声が震えてたんだ。何もバカにしてるってわけじゃない。むしろ平和な世界で生きてきたんならそれが正しい」
そう言って酒を一杯飲み干す。匂いだけでもアルコールが洒落にならないレベルなのがわかる。その横でオレはジュースを飲みながら話す。
「そうならいいんだがな…あれ?なんでお前、オレが異世界人だって知ってるんだよ」
「お前が異世界って事は昨日の入団した後に知れ渡ってたぜ?」
「嘘だろ?」
「本当なんだなぁこれが」
驚きを隠せない。だってあの場にいたのは団長とオレとセシルの3人だけだ。誰も秘密をバラすような人はいないと思ったんだが…。
「酒積んだら団長がベラベラ話してくれたぜ。でもどれだけ飲ませてもお前のチート能力については話さなかったなぁ。なあ、どんな能力なんだ?」
目が戦闘狂のそれだ。話してもいいが戦うなと本能とクトゥグアが全力で警鐘を鳴らしてくる。
「さあ…まずオレは異世界人だがチートは持ってないぞ」
「はぁ!?嘘だろ!?」
「本当なんだなぁこれが」
「…目も声も嘘をついちゃいねぇ。久々にチート持ちとやり合えると思ったのになぁ…」
反応からしても戦闘狂だ。よほど自分が強くならない限り戦いは挑まないでおこう。
「悪かったな。で、一つ質問なんだがこのギルド何で女の人ばっかなんだよ、普通男が多いもんじゃないのか?」
「ああ、それか。今こっから少し行った所に王都がある。そこで女奴隷を使った剣闘士が流行ってるんだとさ。そこで戦闘に駆り出された奴隷を団長が買ってくるんだ」
「お前ら人のいない所で噂話とはいい度胸だな?」
後ろに振り向くとギルマス…ギルドの名前が『蒼炎団』だから団長のがいいのか、団長のガルラスさんがジョッキを持って立っていた。
「あ、団長さん。お疲れ様です」
「団長今日は奢りか?」
「ああお疲れ。カズマ、俺がいつも奢ると思うな?
ノクト!ビール一杯!カズマにつけといてくれ」
「ちょっ、団長!」
はいなのですー、と厨房の方から聞こえてくる。もしかしたらカズマはいじられキャラなのかもしれない。
「あ、そうだ団長さん。さっきの話は本当なんですか?」
「団長でいい。…さっきのというと奴隷の話か。本当だ。ああいう最悪の状況で救いの手を差し伸べると人の心はコロっと動くものだ。それを利用して冒険者に仕立て上げて利益を作ってる訳だ」
悪い顔でそう話すもどこか申し訳なさそうな感じが隠せていないから説得力がない。きっといい人なんだろう。そう思い言葉にせずジュースを飲む。
「とか言って団長いい奴じゃん」
「空気を読め!」
天然なのか狙ってやったのか。どちらにしろ隣に座っている団長からは「この野郎どうしてくれようか」と言ったオーラを感じるからどちらにしろ未来は変わらないだろう。
「ノクト!こっちこい!今日はカズマの奢りで好きなだけ飲め!飛鳥、お前もだ。いけるな?」
「当たり前です団長。肉もいきましょう肉も」
「ちょっ、二人とも酷いな!」
「私も来たのですよー。さあ今日は飲み明かしましょう!歓迎会なのです!」
こんな感じで夜は更けていった。カズマの財布は軽くなったようだ。




