48 超科学の道化師
俺が飛び出すと同時に動き出したのはゾロア、コルヴェール、アルセリア、クズリ、ヘクターだ
俺はオメガ・デビルの両肩部の銃兵器から放たれる大きな弾を避け、銀彗星で加速するとハルバートを押し込んだ
『ムダです!』
なんと奴は左手の薔薇で俺のハルバートを弾いたのだ
見た目は真っ赤な薔薇なのにぶつかった時の衝撃は花じゃない、それは尋常ではない強度を誇る物である
『ぐっ!』
弾かれて左手がジンジンする
真っ直ぐ突っ込んでくるオメガ・デビルに右目から銀閃眼の強化弾を撃つと奴は身を屈めて避け、鞭を持った右腕で俺の腹部を殴って吹き飛ばしたのだ
あまりにも激痛に一瞬、息が出来ない
吹き飛びながら奴を視界から離さないように見ているがあいつはゾロアの刀を薔薇で受け止めると反対手の鞭を巧みに扱い、クズリとコルヴェールの前でバチン!と音を響かせると衝撃波が発生して二人は吹き飛んでいく
『おっと!』
ゾロアの喧嘩キックを飛び退いて避けるオメガ・デビルだがゾロアは一瞬で間合いを積めて刀を何度も奴に押し込む
『道化め、串刺しマジックする勇気はないのか』
『ピエロは見た目です』
『チッ』
ゾロアは舌打ちをするとオメガ・デビルの薔薇を弾いて仰け反らせ、その隙に左手を前に出してから手の平から黒い衝撃波を飛ばすが当たる寸前でゾロアの後ろに回り込んだが速すぎるぞこいつ!
『むっ!』
『残念!』
両肩部の銃口をゾロアに向けると近距離で撃つがゾロアは間一髪で振り向きながら姿勢を低くして避けると刀を振り上げ、オメガ・デビルは薔薇を盾代わりに防ぐと地面を滑るようにして数メートル程吹き飛んだ
『やぁ!』
しかしそこにはヘクターがいる、彼だけじゃない
アルセリアとマルスもいるのだが囲まれた状態のオメガ・デビルは真上に飛んで天井に張り付くと直ぐに隕石の如く真下に突っ込み、地面を殴るとそれによって衝撃波が発生してマルスとアルセリアは吹き飛ぶ
しかしヘクターはそうならなかった
『そい!』
『あらま!』
ヘクターは衝撃波を斬ったのだ
驚きを仕草で表現したオメガ・デビルは突っ込んでくるヘクターの小さな剣に対して薔薇を振って応戦するが背後からカールが断罪を、ミミリーは双剣を振ってバツの字の真空斬を飛ばす
だがカールのその場の斬擊がオメガ・デビルの背後に現れてもそれは弾かれ、ミミリーの技も弾いてしまう
『やはり効かぬか』
『まっずいねー』
カールとミミリーが苦虫を噛み潰した様な面持ちを見せているとオメガ・デビルはヘクターの剣を弾き、直ぐに鞭を使って彼の剣を掴んだ
『えっ!』
ヘクターは引き戻そうと引っ張るがオメガ・デビルはびくともしない
あろうことか余裕そうだがかなりの力を持っているのだろう
『オメガ兵器は力持ちですよ!』
今度は逆に奴が鞭を引っ張ってヘクターのバランスを崩そうとしたがヘクターはそれを逆に利用し、引っ張られた力を利用して両足で彼の胴体を蹴った
『ぶっ!?』
見事に転がりながら吹き飛ぶオメガ・デビルだが俺は呼吸を整え終わり、強化弾をお見舞いすると転がっているオメガ・デビルはバウンドして避けてから宙で体を此方に向ける
『面倒な者が2体デスカ、まぁいいでしょう!』
そのまま着地をしたオメガ・デビルだがタツタカやコルヴェールそしてカールが直ぐ様囲んで逃げ場を塞ぎ、それぞれが闘気を武器に流し込むと技を放った
『濁流斬!』
『魔神突稲妻!』
『デットエンド!』
タツタカは頭上から8体の分身を隕石の様に落とし
コルヴェールはクローを激しく放電させると黒い闘気を纏わせ突き刺そうとする
カールは赤と黒の斑模様の闘気を纏った片手剣を振り下ろすが3人の攻撃はその場に残ったオメガ・デビルの残像を攻撃しただけでであり、奴は物凄い速度で回避をしたのだ
悲しくも地面をえぐるだけになった3人は驚愕を浮かべると『ココデスヨ!』と頭上から聞こえる声に顔を持ち上げた
オメガ・デビルは天井に張り付いていたのだ
『ヘルファイア!』
『アクアレーザー!』
ルルカの熱光線にコットンの超水圧光線が天井の奴を捕らえるがそれを避ける動作すらせず、2つの術はオメガ・デビルに触れると見事に弾かれる
『だから無駄ですよ!』
再び奴が天井から消えると奥の大きな鉄扉に飛び込んでおり、扉を蹴ってタツタカとコルヴェールそしてカールがいる近くを音速を越えた速度で通過するが彼らの中心を通過する瞬間に鞭をパチン!と響かせて衝撃波を発生させると3人は吹き飛ばされた
『ぬぉ!』
カールが吹き飛びながらも体勢を立て直そうとするが吹き飛ぶ先にオメガ・デビルがおり、足を捕まれると襲い掛かるグスタフにカールを投げつけてぶつけ、クズリのデビルランペイジという悪魔の様な両腕の攻撃を足で払ってから彼の頭を掴んで地面に叩きつけるとナッツの黒い剣の全てを高速で避けながら距離を取った
『ぐ……ってぇ』
クズリがむくりと冗談半分を起こすが頭部から血が出ている
カールやグスタフも痛そうな顔を浮かべながら立ち上がると再び武器を構えるがすでに息を切らしているようだ
『楽しいデスネ!』
『く!』
ナッツの黒い剣30本の追撃を避けながらも襲い掛かるヘクターやゾロアの追撃を薔薇で弾き、俺のハルバートの突きをムカつくぐらいのダサいポーズをしながら姿勢を低くして避けるこの敵に攻撃が当たる気配がない
『エア!アクセル!』
アルセリアがエアで背中に闘気の羽を、アクセルで足首に回転する闘気のギアを展開すると一直線にゾロアとヘクターの間を通過し、オメガ・デビルの目の前に躍り出ると素早く弓を引いて顔面を貫こうとする
『弓如き!』
オメガ・デビルはそう言いながらその場に残像を残して彼女に背後に素早く回り込むがそこにはマルスが地面を滑るかのような低い姿勢から奴を狙っていた
『ほう!?』
オメガ・デビルは少し驚いた顔を浮かべるがマルスはかまわず技を放った
『狩時襲双忍蜂』
奴の周りを素早く何度も通過しながら双剣の斬撃を綺麗に描き、斬り刻むが聞こえるのは金属音のみ、その技の連続攻撃は全てバラに塞がれていたのだが硬すぎだろうあの花
『レーザーショット!』
直ぐに振り向いたアルセリアが矢を放つと光線に変えるがオメガ・デビルは逆に振り向いたと同時にバラでそれを弾き、光線は弾かれてしまう
『効かないんですヨ!』
俺は跳躍して銀超乱で銀狼を天井近くに10頭発生させると隕石のように奴に落とすが落とす前にあいつはマルスの顔面を蹴り上げて吹き飛ばし、アルセリアの腕を掴むと彼女を天井に強く投げ飛ばした
『が・・!』
天井にめり込むアルセリアが悲痛な声を上げるが俺は気にしている暇はない
そのまま爆発属性の銀狼を10頭落とすとオメガ・デビルは鞭を上に向けて大きな音を響かせ、衝撃波で俺の攻撃を当たる寸前で全て爆発させる
『ぬお!』
『ふぁぁぁぁぁ!』
バニアルドが吹き飛ばされまいと踏ん張るがモリスは吹き飛んでいる
辺り一面に砂煙が待って何も見えなくなるがこれは悪手であったかと少々後悔してしまうと誰もが一旦距離を取って様子を伺う
『良い運動にはなりマスガ・・・』
甲高い音が響き渡り、砂煙を突き破って弾丸のように飛んできたオメガ・デビルはバニアルドに体当たりして彼を吹き飛ばし、近くのカールをバラを振って攻撃するがカールも剣でガードが間に合うがそれすら意味をなさないかのように勢いよく地面を転がって吹き飛ぶとヘクターの剣撃を避けながら背後からハルバートを振る俺の攻撃を跳躍して避けた
こんなに全員でかかってもまるで通用しないとはどこまでこいつは強いのか、流石に俺も焦りを見せてしまう
『力の差が違うンデスヨ!竹槍兵器が超科学のオメガ機械に勝てると思ってルンですかぁ!?マリオネット・グラビデル!』
オメガ・デビルはバラを掲げると真っ赤なバラが赤く光る
するとゾロアとヘクター以外全員の体が赤く発光したままふわりと宙に浮かぶと『堕ちよ!』と叫ぶと同時に俺達は地面に強く叩きつけられた
『!?』
ゾロアとヘクターだけは何故効かなかったのか、それにはオメガ・デビルも不思議そうな顔をするかのように顔を傾げる
誰もが超重力の叩きつけを受けてしまうが尋常じゃない程のパワーだ、叩きつけられて地面はひび割れるくらいだからな
それだけでコットンやカールは立ち上がるのが難しそうな様子を見せている
『ハッカーはわかりますが何故貴方は?』
オメガ・デビルがゾロアに質問を投げかける
しかし漆黒騎士ゾロアは首を傾げて反応を見せるだけ
『私の技システムの故障ですかネェ、まぁ職の全てを理解してない君らにはワタクシを倒すのはほぼ不可能ですが』
『人に作られた分際が偉そうにほざくとは滑稽だな、次はどんなダンスを見せてくれるんだ道化マン』
ゾロアが馬鹿にしたような顔を浮かべるとオメガ・デビルはその場に残像を残し、彼に突っ込んだ
『いちいち怒らせるのだけはウマいですね!』
ゾロアの近くまで迫ると鞭を振って衝撃波を発生させようとするがゾロアはその前に鞭の先端を刀で斬り飛ばし、オメガ・デビルの懐に潜り込んだ
『!?』
驚きを仕草に見せるオメガ・デビルだがゾロアの刀の振り上げ攻撃を飛び退きながら宙返りで避けると両肩部の銃口を彼に向け、2発同時に発射したのだ
『チッ!』
流石にゾロアもそれは避けるしかない
後方に素早く避けると弾道は彼のいた地面に命中し、爆発を起こす
『ロケット弾ですか…』
タツタカが立ち上がりながらそう呟く
『なんだそれは』
『ジャムルフィンさん、貴方の銀閃眼以上の弾です』
つくづく嫌になる、爆散弾以上なのだろう
『ほらほらほら!避け続けなさい皆さん!』
オメガ・デビルは間髪入れずに遠くから両肩部のロケット弾を何度も放っていくが俺達がそれを避けても爆風で吹き飛んでしまう
『小癪な道化め!』
コルヴェールはロケット弾を両断し、突っ込むが彼がエックス斬りを放つ前にオメガ・デビルは彼の懐に潜り込み、コルヴェールの顔面を掴むとその距離でロケット弾を彼に発射したのだ
2人を巻き込んだ爆発で砂煙が舞うとその中からコルヴェールが力なく地面を転がって俺達の近くを通過し、遥か後方の壁に激突していく
『コルヴェールさん!?』
タツタカが叫んでも彼は動きもしない、今は気にしてられない
『ちょっと強すぎるわ』
『でもすばしっこいだけなんだよなぁ』
ミミリーが苦笑いを浮かべて口を開くとヘクターが苦虫を噛み潰したような顔で奴の速度を煙たがった
『ジャフィン、どうするよ』
グスタフが前屈みの状態で俺の横にいると話しかけてくる
彼も結構ダメージがあるようだがまだ大丈夫だ、グスタフだからな
『ヘクターは確かにめっちゃ強いがあいつは気分に左右されやすい、今の状態だとまだ捉えきれないだろうが…』
『気分屋かよ』
『だが波に乗った時は俺より強い』
悔しいが事実だ
彼と体力を回復している間、代わりにマルスとアルセリアそしてバニアルドとモリスが四方から攻撃を仕掛けているが当たる気配はない、彼らもかなり素早い筈なのにオメガ・デビルはそれ以上だ
『がぐっ!』
モリスがオメガ・デビルに顔面を蹴られて吹き飛んでくるとゾロアの目の前で止まる
『なるほどな、単純な事だ』
倒れるモリスを見ながらゾロアが口を開くと彼はナッツとタツタカに指示を出す
『死ぬ気で攻撃しろ、俺と銀狼そしてヘクターじゃないとあ奴のスピードを捉えきれん』
ナッツとタツタカは頷く、俺はシルバ・シルヴァを使うしかないと覚悟を決めたがそれと同時にシルバの声が聞こえたのだ
《使うな!今お前らは神に見られている!それは神までとっておけ!死ぬぞ!》
ギョッとした俺に顔にゾロアが首を傾げるが、神が見ている?どこから?
『変なチームだね!オイラ頑張るよ!』
ヘクターがちょっとやる気だが本気を出してほしい、ゾロアもそうだが何故彼は魔物化しないのか
今それを問いただしてもきっと意味は無い
『さよなら!』
オメガ・デビルはマルスとアルセリアにバニアルド、そしてカールを重力で浮かすと天井に叩きつけ、そのまま地面に叩きつけた
とんでもない奴だ、ここに来て一気に俺達の状態が悪化している
バニアルドだけが先に立ち上がるが直ぐにオメガ・デビルの両肩部のロケット弾が飛んで来るのでゲンコツで闘気の拳を飛ばし、当たる前に撃墜するが爆風で彼は吹き飛ばされないように踏ん張るので必死そうだ
『意外と頑張りますねぇ、結構強めに叩きつけたのですが…胴体を貫いた方が早く終わりそうですがワタクシも楽しみたいので』
嫌な奴だ、いつでも殺せたと口にしているがどの言葉にクズリは舌打ちをしてしかめっ面をする
『ケッ!ムカツク野郎だが全員で飛び掛かるより対応できる奴だけで立ち向かわねぇと無駄に削られるぜ』
クズリの言う通りだ、無駄に全員で戦っても意味はない
あの速度に反応できる者、俺やゾロアそしてヘクターだけだ
『ヘクター、倒したらノアに怒られないように説得してやるよ』
『ほんと!?』
単純!ヘクターは目を輝かせているとナッツは黒い剣を飛ばし、タツタカはヘルファイアをオメガ・デビルに連射し始める
『無駄デスッテ!』
段幕とも言える攻撃の嵐を掻い潜るとオメガ・デビルはナッツに突っ込んでいく
俺は後輩を守ろうと銀彗星で奴に飛び込むが俺より速く移動したヘクターがオメガ・デビルの正面に現れる
『!?』
『君速いだけなんだよなぁ』
『羊風情がなにを…』
オメガ・デビルは薔薇を振り落としヘクターを攻撃しようと目論むがそれに対しヘクターは俺が見たことがあるあの目付きをした
今は真ん丸で優しい目をした彼が、リヴィの時のようなつり目になり、口許に笑みを浮かべると俺は悪寒を感じた
『鬼払い』
ヘクターは小さな剣で薔薇を弾き飛ばしたのだ
馬鹿力のオメガ機械である奴の攻撃より勝った瞬間、オメガ・デビルは驚愕を口にした
『はっ!?』
『5千年分のジ・ハードは伊達じゃないよ』
弾かれ、仰け反るオメガ・デビルは後方に飛んで距離を取るが直ぐナッツの黒い剣が彼を襲う、薔薇で捌きながらも追撃せんとするヘクターはオメガ・デビルの肩のロケット弾を切り裂き、爆発させても爆発の中を通過し、目の前に躍り出る
『ハッカーめ!』
『ほい!』
『ぐっ!』
ヘクターは強く剣を振るとオメガ・デビルは薔薇でガードする
するも奴はヘクターの攻撃を防ぎ切ることなく、地面を滑るようにして吹き飛ぶ
奴の体から蒸気が溢れるが、怒ってるのか?しかし初めて奴が吹き飛んだな
『その職をなんだかアナタ、理解シテマス?』
『オイラ知らない、だけどさ…オイラあんたより怖い人沢山知ってる』
『その怖い人は私よりも下デスヨ?』
『どうかな?君はオリジナルなのかい?』
『私は3号機ですね、それがなにか?』
『なら君は知らないんだ、兄貴は君の前のオメガ・デビルを倒してるんだね』
『何をわからぬ事をぐちぐちと……っ!?』
ヘクターは不気味な笑みを浮かべながら、懐に隠していた小石サイズの鉄の塊を掴むと彼の体から放電が始まる
あれは雷術最強の術、オメガ・デビルが知らない筈がない
『職の理を外れた者メ!』
『蔑む言葉は豊富みたいだけどさ、相手を見定める能力は乏しいんだね君は』
『事実を口にしてるだけデス、当たり前の事を当たり前にこなす以上の強さなど存在しない、冒険好きなキミタチと違い、オメガ機械は当たり前のコトヲ当たり前にこなす強みがアル』
『じゃあ頑張って』
ヘクターがニカッと笑うと俺は銀彗星で突っ込み、ゾロアがようやく体を黒い煙を纏ったままオメガ・デビルに襲い掛かる
魔物化だ




