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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
最終章 All flesh will see God’s salvation(すべての肉なる者は神の救いを見るだろう)
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49 オメガの天敵


『!?』


オメガ・デビルは瘴気を纏いながら飛び込むゾロアに視線を奪われた

左右から俺とヘクターが同時に攻撃を仕掛けた筈なのにそれはオメガ・デビルの高速回転からのバラのふと振りで弾かれてバランスを崩すがその後の追撃を奴がする筈もない


今あいつが意識を集中しなければならないのは俺達じゃなく、ゾロアだ


『魔物の力はどうだ?』


瘴気の中から刀を全力で振り下ろすとオメガ・デビルは真っ赤なバラでそれを受け止める

奴の足場には亀裂が走り、ゾロアの一撃の重さを物語っているがよくまぁ受け止めたもんだ


『ぐぬっ!』


両膝を曲げて耐えるとゾロアの体の周りの瘴気が消え、彼の本当の姿が現れた

いつ見てもおっかない姿だ、全長2メートル半の死の精霊神ギュスターブ・ハデスである

腰から黒いマントをつけているがそのマントはボロボロであり下半身は銀色で輝く甲冑

上半身は鎧等は無いが肉体が筋骨隆々としており肌の色は灰色だが何故か下顎だけは骨が剥き出しになって髪は無い

両側頭部には禍々しい角がそそり立ち、目に瞳は無く真っ白

両腕は上腕二頭筋から黒みがかっており右手にはあれで道を切り開いたと思われる赤と黒で斑模様になっている刀を持っていた


『ギュスターヴハデスゥ!?』


『そうだ!魔物の力の耐性は持っていないようだな!!!』


『ギャピッ!』


ゾロアは両手に握る刀に力を入れ、オメガ・デビルの頑丈な薔薇を弾くと直ぐに足を押し込んで吹き飛ばす


『強化弾!!』


『電龍!!』


俺は右目から銀閃眼の強化弾を放つとヘクターは右手を伸ばし、龍の形をした電撃を吹き飛ぶオメガ・デビルに飛ばす


『クラス・シールド!』


オメガ・デビルは吹き飛びながらも薔薇を前に出し、正面に銀色のシールドを展開すると俺の技を弾き飛ばした後、ヘクターの術でシールドを破壊して壁に背中をぶつけている

俺の技もあいつには効かないか、というか職で生きるあいつに人間だけで挑むのは確実に不味い状況になる所だったがそうではない、飽く迄奴の耐性が強いのは職の力を持つ人間相手であり、純粋な魔物にして純粋なアースパワーという闘気の源を扱う彼は対象外なのだ


なんでヘクターの攻撃も耐性がないのかはオメガ・デビルの言うハッカーという言葉がヒントだろうが今そんなこと考えている暇はない、倒さないと進めないし死ぬ


『銀彗星!』


俺は超加速をしてゾロアとヘクターで壁際のオメガ・デビルに襲い掛かるとまず先に到達した俺はハルバートを全力で押し込んで貫こうとした


『人間風情ガ!』


薔薇で容易く弾かれるが俺はバランスを崩しながらも銀閃眼の爆散弾を放つ

前方に飛ぶ爆発が奴を捉えたと思ったが間一髪避けられてしまう


『やぁ!』


『オマエも邪魔だ!』


目の前に出て来たヘクターに鞭を振って衝撃波を発生させようとするが俺の強化弾で奴の手首を撃って手首を弾かせる

ダメージは無くとも動きを阻害する事が出来るなら意味はある

ヘクターは勝機と見るや、小さな剣を発光させると水平に振って両断しようとするが彼が斬ったのは残像であり、気づくとオメガ・デビルはヘクターの背後に移動する


『俺を忘れているのか?』


ヘクターに攻撃を仕掛けようとしていたオメガ・デビルだがゾロアは刀を素早く振って奴を切り裂こうとするとヘクターへの攻撃を断念し、回避に専念する

薔薇と刀の攻防は甲高い金属音を響かせ、オメガ・デビルは押され始めてしまう


『お前は人間相手には卑怯な技を持っているが俺相手に自慢の当たり前な必勝法で当たり前をこなすことが出来るのか?』


『貴様とハッカーさエいなければァ!』


オメガ・デビルの体から僅かに蒸気が漏れだすと俺でも見えないくらいの速度でゾロアの刀を弾き、そのまま彼に突進すると反対側の壁まで一気に突っ込んで叩きつけたのだ


『ぐぬ!!』


壁に叩きつけられたゾロアは距離を取ろうと離れるオメガ・デビルの足を掴むと半回転して壁に叩きつける

人なら一撃で死ぬんじゃないかと思われるほどのパワーだ、ゾロアがオメガ・デビルを壁に叩きつけると軽い地震が起きるからな


『人が作った道具に魔物が負けると思っているのか!』


ゾロアは叫ぶと大声を上げ、大きな鉄扉に向けてオメガ・デビルを投げ飛ばす

しかし奴は吹き飛びながらも直ぐに体を回転させると薔薇に闘気らしき物を発光させて技を放とうとするがそれを良しとしないヘクターと俺が素早く動き出す


近付く俺達に気付くオメガ・デビル鉄扉に叩きつけられることなく、足で扉に着地するとは両肩部の銃口を向け、ロケット弾を2発同時に放つ

俺とヘクターはそれを避けて奴の前に躍り出ると俺だけ奴の攻撃を喰らうことになる


『マリオネット・グラビデル』


『くそっ!』


俺だけピタリと動きを止められるとそのまま宙に浮かび、ゾロアに投げられるが彼は惨酷にも飛んで来る俺を手で払ってあらぬ方向にゴロゴロと転がされてしまう、酷過ぎるぞ


『お前と魔物さえいなければバ!』


オメガ・デビルは愚痴を吐きながらも薔薇を使ってヘクターと武器をぶつけ合う

ゾロアが直ぐにヘクターの加勢に訪れると奴は薔薇を真っ赤に発光させ、叫んだ


『ワン・クラスター!』


『『!?』』


ピカッと眩い閃光が走ると薔薇を中心に複数の爆発が発生して3人が爆炎に飲みこまれた

その爆炎の中からヘクターとゾロアが転がりながら出てくるが彼等は直ぐに立ち上がり、武器を構えて爆炎を睨みつける


内心この時、俺はホッとしていた

本当にゾロアとヘクター無しで来ていたらどうなっていたのだろうとな

マリオネット・グラビデルって術の様なのを使われると人間全員の動きが強制的に止められて操られるからな、あれは流石にどうしようもできない


オメガ・デビルのいう当たり前のことをこなすだけ、の意味はそういう必勝法があるからこその言葉だ

しかしそれが今出来ない


『サウナから上がってこい道化』


ゾロアが爆炎の中に皮肉を口にすると激しく燃え盛る炎の中から奴の声が聞こえて来たのである


『3号機の私には対人間用マニュアルしか存在しないことが仇となりましタネェ、しかし』


アッ!!!っと大きな声が炎の中から聞こえるとその声量だけで炎を消し飛ばし、奴が姿を現した

俺は驚いたよ、オメガ・デビルの左手が欠損しており、手首からはオメガ機械特有の複雑な形状の鉄が剥き出しになりながらもバチバチと放電しているのだ


右手の鞭を捨て、目の前に落ちている真っ赤なバラを拾うと体中から蒸気を噴出させ悪魔の様な仮面の目を光らせた


『でもワククシ、3号機なので前のライプより強いのデスヨ!』


『でも倒されたから3号機なんでしょ?兄の2人は誰に倒されたのぉ?』


遠くからルルカが首を傾げながら口を開いた

するとどうだろうか、オメガ・デビルはいきなり動きを止め、電子音と呼ばれる奇妙な音を出したのだ


『な・・なんだんだ』


『むっ・・・』


ヘクターとゾロアはわけがわからぬ距離を取るとオメガ・デビルは別の声で何かを口にし始めたのだ


『1号機の録音データを、サイセイしまス…』


様子が可笑しい、カクカクした動きを見せるオメガ・デビルはそのまま別の声、聞いた事がある声を口から放ったのだ


『自分の土俵じゃ確かに貴様は強いがお山の大将じゃなぁ!引き出しが少ないお前如き土俵から引きずり出せばいいだけだ!!不死鳥種の神髄を見て溶けていくがいい!ネオ・クリメイション!!!』


聞き覚えのある声に一部の者は驚愕を浮かべた、それはヴァリミア・ラクォカ・ゴットバード・ゼロという十天のゼロの称号を持つ不死鳥種の鳥人族の声だ

あいつが1号機を倒したのだ、これはその時の1号機と呼ばれるオメガ・デビルの記録だ


『2号機の音声データを再生シマス』


ピピピと音を鳴らし、目を点滅させたオメガ・デビルだが攻撃のチャンスなのに俺達全てがその記録が聞きたいがために俺やヘクター、そしてゾロアは動きを止めてしまう

そうして訪れた2号機の記録には、あいつの声が聞こえて来たのだ


『ワンパターン、つまらぬ…マリオネット・グラビデルを使う前に首を刎ね飛ばされた気分はどうだ?スピードがお目だけの専売特許だと思っていたが欠陥品めが』


『兄貴…』


『シルバ』


ヘクターと俺は小さく囁いた、その記録は静かなこの空間全てに聞こえる様な音量で響き渡る


『当たり前の事だけしか出来ない奴に次は無い、確かにそれは武器だ…しかし生命を持つ者は次に進む事が出来るがお前等オメガ機械はそれが出来ない、何故かわかるか?感情が無いからだ…怒った振り、笑った振り、全ては嘘・・・本当の感情が無いからその場で満足するだけ…お前らが小さな島で文明を誇っている間に世界は進化を続けている事を知るが良い、また俺の様な馬鹿がここに来るだろう、その馬鹿がただの馬鹿かどうかは知らぬがな』


『記録データの再生を終了シマス』


驚愕を浮かべる俺達とは違い、オメガ・デビルは正気に戻ったかのようにハッとした仕草を見せると再び体中から蒸気を噴き出しながら怒り散らす


『最大出力モード展開!』


超音波の様な音を響かせると残った腕を真っ赤の染め上げ、体中から噴き出る蒸気の量も一段と増す


『一気にくるぞ!終わらせる気でかかれ!』


ゾロアが叫ぶと俺とヘクターは返事もせずに歯を食い縛り、地面を強く踏み抜いて奴に突っ込んでいく


『銀彗星!』


全力で加速した俺は自身の体など気にもせずにハルバートを前にして突っ込んだ

俺ですら制御できない速度、それはオメガ・デビルが右手を力強く振ると俺は弾かれて奥の壁に強く叩きつけられてしまう


『レール・ガン!!』


その隙をついたヘクターは真正面から左手に握る鉄に魔力を最大で流し込むと激しく放電しながら炸裂音を響かせて撃ち放ったのだ、電撃の閃光が音速を超え、雷というあり得ない速度で放たれる雷術最強の雷光線をオメガ・デビルはスレスレで避けてヘクターの懐に潜り込むと彼の腹部を右手でアッパーして天井に強く吹き飛ばし、叩きつけるがヘクターの雷術を完全に回避したわけではなかった、オメガ・デビルの肩が露出して機械部分がバチバチと音を立てているのだが銃兵器が吹き飛んでいるな、助かる


『ぬぁぁぁぁぁぁぁ!』


直ぐにゾロアが水平に刀を振る

オメガ・デビルはそれをしゃがんで避けると素早く彼の背後に回るがゾロアも易々と後ろを取られる奴じゃない


『背後ばかりだな!!!』


『ブッ・・・!』


体を回転させながら裏拳で奴の顔面を強く叩き、悪魔の顔をした仮面がひび割れる

おまけで刀で突き刺そうとするがオメガ・デビルは足で刀を蹴って弾くと逆足でゾロアを蹴って吹き飛ばす


彼は吹き飛びをピタリと止めると再びオメガ・デビルに襲い掛かる、俺とヘクターも同時に攻め始めるが奴は四方を囲む俺達3人の攻撃を自慢の速度を活かして捌ききっている


『これがオメガのチカラァ!魔物相手にもこっちハ戦える設計なんデスヨ!スカプ生命体である魔物に最強の文明が負ける筈がない!』


『だが2回負けてるぞ?』


『ダマレ!』


ゾロアが攻撃しながら口を開くとオメガ・デビルは地面を強く踏んで周りの地面を噴出させて3人を宙に舞い上げる


『コレハどうです!ハイ・グラビデル!』


オメガ・デビルは右手をギュッと握ると俺達3人を超重力で地面に強く叩きつけた

息が一瞬吸えなくなるがその隙にオメガ・デビルが片方の銃兵器の銃口をゾロアに向けたのだがそこで援護が入ったのだ


『稲妻突』


『!?』


ヘクターが直ぐに態勢を立て直すと鋭い剣の突きで雷の小さな光線を飛ばし、銃口の中に入れるとオメガ・デビルの肩部の銃兵器は爆発して破壊されてしまう


『この羊メガ!』


『うわっ!』


避ける間もなくオメガ・デビルの回り蹴りがヘクターに襲い掛かると彼は剣を前に出して防ぐが奴のオメガ機械としての桁外れなパワーによってそのまま吹き飛んでいく

俺は背後に回るとゾロアが刀を大きく振って斬撃を飛ばし、オメガ・デビルは間一髪ガードするがハルバートを振り下ろす俺の攻撃を避ける暇などない


『ガッ!なんで!』


少し遠かったか…、背中を深くは切り裂く事は出来なかったが綺麗に切られた傷がハッキリと奴の背中に残っている


『余所見をするな!!』


俺に視線を向けたオメガ・デビルはゾロアの声に振り向きながらワン・クラスタという技を放つために薔薇を発光させるがそれよりも先に彼の刀の一撃が飛び出た


『ルシエラ斬鉄!』


巨大な斬撃をオメガ・デビルを襲う、斬った延長線上の全てを両断するゾロアの最高峰の技だが彼はそれで奴の腕を切り落としたのだ


『両断斬』


ヘクターも突っ込むと通過しながら残る腕を斬り飛ばし、オメガ・デビルは俺達から距離を取りながらも驚愕を口にする


『馬鹿ナ!勝率は最初99%…貴様等の存在の把握で90%に下がっただけなのに何故こうまでしてやられるのだ』


『貴様の中の10%の傲慢がそうさせたのだろう、勝率など実戦で意味などない!結果は強いか弱いかだ!!!』


ゾロアは体から瘴気を噴出させるとヘクターも最後の一撃を与えんとするかのように小さな剣に闘気を溜める


『次の一撃で決めるぞ!お前等気を抜くな!!!』


ゾロアが叫ぶと俺とヘクターは横目で彼を見てから頷く

それを見た俺達の敵であるオメガ・デビルは体中を真っ赤に発光させながら蒸気を噴出させ、叫んだ


『竹槍が兵器に勝てるとオモウナ!科学の最先端のこのアーマーの力見せてやる!』


奴の口が開くと何かの粒子を吸収し始め、奴の一撃で俺達全てを仕留める攻撃をしようと準備を始めるがそれをさせる訳にもいかない

シルバ・シルヴァは使ってはいけないのは辛い、これを使えばこいつの速度以上を出して両断出来ていた筈だが仕方ないか


『いくよっ!オイラのお気に入り見せて上げるさ!』


『長期戦はジリ貧だ!行くぞ!』


『銀彗星!』


ヘクター、ゾロア、俺が口を開くと先に俺が先陣を切り

鉄扉の前でパワーを溜めるオメガ・デビルに一直線に飛び込んでいった


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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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