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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
最終章 All flesh will see God’s salvation(すべての肉なる者は神の救いを見るだろう)
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42 寝る時に寝る、食べる時に食べる

2時間後、未だに何も起きやしない

起きそうになってはいるがなんとかやり過ごしている感じかな


『…』


グスタフとカールがドアの前で武器を構え、ドアの先でうろついているオメガ・トゥテラがもし開けて来たら一気に畳みかけようとしているのだがナッツも腕を組んで黒い剣を30本全てドアに向けている

どこまで耳が良いのかわわからない以上、口を閉じるしかない


自然と俺の額から汗が流れる、気づけば息苦しくて呼吸が難しいと感じている

この世界のどの文明よりも遥かに上、それが超科学

人類は一度天井を知り、足を踏み外して落ちていったのだ

そんな文明の遺産が俺達の敵となっている


モリスは両手を合わせて祈っているがこちらも藁をもすがる思い、神様に届けばいいな

するとドアの外でピピピと電子音と呼ばれる機械の鳴き声が聞こえると飛行音は遠くに去っていく


『心臓に悪い』


カールが剣をしまいながら溜め息を漏らす

助かったようだが3時間ってこんな永く感じるのか…

半日も見張りした気分だ


『だけど助かったじゃねーかカール』


『バニアルドは緊張感が無さ過ぎるぞ』


『緊張してもろくなことはないぜ?必要なのは気を引き締めるこった』


『今のお前にそれが感じられないが…』


『見た目がこうだからよ』


バニアルドはニカッと笑みを浮かべるとカールは苦笑いする


『でも全然休んでる気分に慣れませんね先輩』


『お前はこの後グッスリ安眠スキルで寝れるだろ』


『取り柄ですから』


本当に羨ましく思える、ナッツの安眠スキルはいかなる場所や精神状態でも即座に眠りにつくことが可能だし体力回復も早い

半分わけてほしいもんだな


奥で寝ていた筈のコルヴェールが俺達がいる部屋に歩いてくるがトイレでは無さそうだ

彼は一度周りを見てから椅子に座るとドアを見つめ始めた

何してるのか聞きたくても聞くのは気が引ける、眠そうな顔だしさ

声をかけられたら会話でもするか


『暇だ』


彼はそう呟くととんでもない行動を取る

なんとドアを開け、廊下を覗き始めたのだがそれにはバニアルドやカールが口を開いて驚きを浮かべている


『ちょ・・・コルヴェール』


『安心しろ、無鉄砲に開けているわけでは無い』


しかし心臓に会悪い、彼は堂々と廊下に出るのを見過ごせなくなった俺は彼の後を追うがナッツとルルカそしてグスタフもついてくる

真夜中だ、魔物は大抵寝ていると言ってもオメガと呼ばれる機械種は寝るという懸念が無い事をタツタカからは聞いている、止めるには何かしら動きを停止させるスイッチか何かがあるらしいがあるようには思えない形状をしているんだよなぁ


『散歩か?』


グスタフが廊下の奥を眺めるコルヴェールに大剣を担いだまま話しかける


『時間は戻らぬ、こうしている間にも出来ることぐらいできる』


『んで?何をするんだ』


『散策』


彼は多くを語らず、隣の部屋を開けた

俺達は休憩所に入る事だけに執着していたから周りを見る事が無かった、そしていつオメガ・トゥテラが来るかわからないので俺達も急いで彼の入った部屋に入る

ここも床に色々なものが散らかっている、部屋は7畳ほどだが中央には立派な長テーブルがあり、奥の部屋はドアのない部屋がある


『あれ?』


ナッツは首を傾げながら奥に行こうとするが俺は彼が数歩、歩き出した瞬間にハルバートを強く握りしめた

俺だけじゃない、コルヴェールやグスタフもだがその理由は奥から僅かな気配を感じたからである

それは奥の部屋から素早くナッツに向かって飛び込んでくるが手足が異様に長い真っ黒な猫だ


『ニャ』


釣り目を細くさせ、両手の鋭い爪をナッツに向けて突きだすと彼はそれを間一髪体を逸らして避けたのだ


『んぁ!!』


避けると同時に声を出すナッツ、グスタフがギリオンカリバーを振って両断しようとすると不気味な猫は飛び込んでいるというのに空中で奴は避け、天井に張り付いたのだ


『ニャァァァァ』


恐ろしい黒猫だ、口を開くとニタァっと笑いながら俺達を眺め始めているが無駄に鳴く魔物では無いようだな

でも今の一瞬の動きで俺はこいつの強さを知る、余裕を持って回避していたからな


『隠密スキルも凄まじいな、食事中だったか』


コルヴェールは天井にいる手足の長い黒猫から少し視線を外し、奥の部屋を見る

俺も同じく視線をそちらに向けると奥の部屋の隅で血を流して死んでいるカモシカが倒れていたのだ


『ニャ』


黒猫はそう告げると天井から壁を飛び回り、ルルカに襲い掛かる

彼女にあの速さは反応出来る筈はない、俺の他にコルヴェールが同じタイミングで動くと彼は真横から両手のクローをつくがそれは避けられる、しかし俺が避ける方向にハルバートを突いて胴体を串刺しにすると直ぐにコルヴェールが黒猫の首を両手の爪武器で刎ね飛ばした


地面にゴロゴロと転がる猫の頭は壁際で立って止まるが目はまだこちらを見ている


『ケッ!』


グスタフが思いっきり踏むと黒猫の頭部は潰れたがこれぐらいしておけば死んだ筈だ

胴体は未だにビクビク動きながら床に倒れているがナッツは念のために黒い剣を数本さしてトドメを刺す


『何よこの魔物…』


ルルカが口を開くとグスタフが額に汗を流しながら答えた


『声が聞こえた』


『あの黒猫の声が聞こえたのぉ?』


『まぁな、とんでもねぇ野郎だ…鳴き声に声が重なって俺に聞こえて来たんだけどよ、このドームを縄張りにしているキャッツマンだってよ』


『もうちょい名前何とかならなかったの?』


『そう言ってたんだ、仕方ねぇだろ』


『他に何か言ってた?』


『首だけになっても話しかけてきたさ、兄はもっと強いだってよ』


凄い面倒臭い事を聞いてしまうが出来れば出会いたくない

誰もが何事もなく、ホッとするがナッツは胴体を眺めたまま奥の部屋にコルヴェールと共に行く


『俺はここで入口を見てる、2人は行け』


『おうよ』


『わかったわ』


グスタフとルルカは返事をするとコルヴェール達についていく

廊下から飛行音が聞こえるがオメガ・トゥテラだな、運よく今徘徊で戻って来たのだろうがこうなってしまっては戻れない

どうしようかと少しだけ考えると奥からナッツが俺に向けて声をかけてくる


『先輩、食料らしき物があります』


『超科学の保存食か』


『弁当箱の形の箱に入ったのが奥の棚に沢山ついてありました、しかもタツタカさんが保存食を呼びが選らせるときに使った復活レンジらしき機械もあります』


『隣見といて正解だわぁ、だってご飯食べないといくら休んでも意味ないじゃない』


ルルカの声も聞こえる

俺達は廊下の様子を伺いながら隣の部屋に戻るとタツタカ達は起きており、ゾロアは少ししかめっ面をしている

怒られるかなと思いきや、寝起きは悪いようだ


『静かにするのが苦手の様だが収穫はあったか』


『保存食が隣の部屋の奥に貯蓄されていた』


コルヴェールがそう言うだけでタツタカはパッと明るくなる、アルセリアは口から少しヨダレを垂らしているが美人が勿体ない、非常に勿体ない


『でかした、一度俺以外は腹に何か入れてから各行動を取ればよい』


という事で俺はタツタカとマルスそしてアルセリアを連れて隣の部屋に再び忍び込んだ

皆は床に転がる手足の長い猫の亡骸を見てギョッとしたが直ぐに視線を外し、奥の部屋に3人は向かう


『いや~、飯抜きとか僕あまり得意じゃないんで助かります』


『私も無理だ、飯を抜くと大変な事になる』


タツタカの言葉は理解できるがアルセリアの言うセリフに俺はあえてツッコまないようにするんだけどもそこで空気を読まないのがマルスだ


『どうなるんだい?』


『イライラしてしまう』


口からヨダレを垂らす彼女の目つきは寝起きで鋭いのではなく、飯が食いたくて機嫌が悪かったようだ

マルスは苦笑いを浮かべながらタツタカが渡してきた弁当箱の形をした保存食を両腕に積み上げていくとそれを直ぐ近くのレンジに1つずつ入れて復活させていく

しかしこれが凄い苦労だ、出来上がる度にチーン!と甲高い音を出すのでその都度、この階の廊下を徘徊するオメガ・トゥテラを気にしてしまう


『音五月蠅いぞタツタカ』


『アルセリアさん、取説ないんで勘弁してください』


『まぁ飯が食えるなら我慢するか』


最後の1つが出来上がるとマルスと俺でそれを両手で抱えて廊下に出ようとしたが廊下から飛行音が聞こえるので迂闊に出れない、しかもこの部屋の前だし緊張が走る

音で近付いてきたのか?はたまた偶然ルートを変えて戻ってきたのかはわからないがタツタカは見つかりたくないと言わんばかりに体を強張らせ、息を潜めている


きっと見つかれば仲間を呼ばれる、そういう予感がするのだ

数分間ずっと近くを浮遊しながら飛んでいるであろうオメガ・トゥテラの飛行音が更に増える

これには流石に俺達も覚悟を決めたがピピピと電子音が聞こえた後、飛行音は遠くに行ってしまう


『心臓に悪いよジャムルフィン君』


『俺もだ、マルスとアルセリアはちゃんと寝れたか?』


『実はあんまり・・・』


『私もだ』


2人共寝付くまで時間がかかったらしい、タツタカは意外と素早く寝れたと言うが3時間だけだと辛いと愚痴をこぼす

こうして俺達は部屋に戻ると待っていた皆に弁当を渡すのだがこの容器凄い、中を開ければ熱々なのに持っても容器が熱を通さないので持ってても熱くないんだよ、超科学ヤバイ


『凄いな…生姜焼き定食、ノリ弁当、カツ丼や牛丼と様々だ』


カールを驚きを口にしているがそれは皆同じだ


『ご飯だ~』


『一時の幸せを堪能できるんだなぁ』


『ご飯迄なくなっちゃえば悲しいもんね』


『早く食べよっ』


ヘクター、モリス、コットン、ミミリーが嬉しそうに喋ると俺達は保存食を有難く食べ始め、完食後はタツタカ、ゾロア、コルヴェール、マルス、アルセリアが見張りとなる


『食ったぜー、じゃあ悪ぃが俺達ぁ寝るぜ』


『少しでも寝ないと後に響くからな』


『だぜ~?』


バニアルドとカールは軽く会話を交えると直ぐに奥に歩いていく

無駄話をしている暇はない、俺も奥の部屋に向かうと適当に床に転がって寝始めたのだ

女性陣は奥の壁際で固まって寝ているがクズリは相変わらず入口の近くの壁に背中をつけて胡座のまま寝ているのは凄いと思う


『ナッツ、お前ぇの親父さん凄いな』


『根っこから軍人ですから、どんな場所でも寝れますしどんな時でも寝れる根性は桁外れかなぁって』


『だろうな、お前の安眠スキル今だけ貸せ』


『グスタフさん?無理です』


グスタフとナッツの会話を聞いた後、俺はタツタカ達を信じて寝る事にしたのだ

横になると1分足らずで会話は消え、誰もが静かになる

見張りの面子が頼もしいので俺も心置きなく寝れるよ

タツタカ、ゾロア、コルヴェール、マルス、アルセリア、ヘクターが起きているんだぞ?これ以上ない面子の見張りに安心した俺は数分足らずで寝る事が出来たよ

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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