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白翼の堕天使  作者: 紡未夏樹
第四章
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第一部 〈魔の力が呼ぶ禍〉

 薄暗い部屋。数人の男女が円卓に座っている。

「なぜ報告しなかった」

 一人の女性が追及を受けている。

「あれは危険な力だ。それを野放しにして、何か事故が起きたらどうするつもりだ」

 この場で最も位が高いであろう初老の男性が、厳しい声で問う。

「危険なのは重々承知だ。しかし、私はあの子に自由に生きてもらいたいと思った。己の生まれに関係なく、立場に縛られることなく、自由に」

 追及を受けている女性は、相手が目上なのにも関わらず、自分の喋りを貫く。

「その自由が、事故を引き起こしかねないのだが?」

 男性は、ピクリと眉を動かすも、あくまで冷静に問いを続ける。

「私はあの子に力の事を教えてはいない。自ら辿り着いたものだ。今まで、何のアクションを起こさなかったどころか、戦闘で成果も上げている。使いこなしている証拠だと思うが?」

 暴走した友人を止め、人形とはいえ、大罪の手先の侵略を防ぎ、自分よりも格上の相手に勝利も納めている。

「だが、悪事を働かないという証拠もないだろう」

 円卓の誰かが言った。

 その言葉が、彼女の琴線に触れた。

「そう言ってまた(・・)私の家族に手を出すつもりか!」

 激昂して、テーブルを叩く。

「また(・・)、だと?」

 事情が呑み込めない男性が、思わず呟く。

「ああ、そうさ。お前たちは、私の夫となるべき魔族(ヒト)を、ただ力が大きすぎるというだけで封印した! その時お前たちが言った言葉は何だ——!?」

 その場のざわめきが途端に大きくなる。

「『アレに暴走されたら危険だ。早々に討伐しろ。可能ならば封印しろ』だろうっ!? 可能性の話だけで、お前たちは命を奪えと言った! 私はその時、その場にはいなかったが、話だけは聞いているぞ。天使のような翼を持った魔族を、封印することに成功した、とな」

「だが結果として今、命はあり、魔界へ渡っているのだろう。過ぎた話じゃないか」

 初老の男性は、女性の、千春の怒りにも動じることなく、淡々と話を進める。

「私は今、なぜ報告しなかったのかと聞いている」

「まだ気づかないのか! 偶然にも私のチカラが遺伝した為に、魔力は表に出てこなかったが、もし、あいつに魔力があると分かったら、お前たちは親を探すだろう!? それでアイツが、ヴァイスが父親だと分かれば、またお前たちは危険だ何だと言って、手を出すに決まっている」

 私は、

「本当は息子を危険に晒したくなかった。だが、お前たちが私の息子だからと、この組織入れた。それが、魔族の血が混じっていると分かると、掌を返して危険だなどと、虫が良すぎるとは思わないのか!」

 千春の心からの叫びだった。

 それを汲み取ったのかは分からないが、一人の男性が動きを見せる。

「では、監視を付けるなど、如何でしょう?」

 その男は音葉永久。千春に、翼を持つ魔族の封印についての詳細を教えた人物でもある。

「監視だと?」

「ええ、一人、適役が居ると記憶しています」

「ふん、アイツに監視など要らん。私は自由に、と言っただろう」

「まあまあ千春さん。大丈夫ですよ」

 安心しろとでも言うかのように、手を振る永久。

「——同年代なら、彼も肩身が狭くなることは無いのではないですか?」

 その言葉に、この場に居る全員が反応した。

「まさか、あの子に監視を……?」

「ええ、そのまさかです」

 場のざわめきが大きくなる。

 初老の男性も思わず唸っている。

「ムゥ……確かにあやつは信頼できるな……」

 もちろん千春とて例外ではなかった。

「ま、まあ、それなら、納得がいかないが良いだろう」

「あはは、千春さんは厳しいなあ」


「——せっかく、黒羽君の周りが華やかになるっていうのに」

第四章、いつもとは違う話の始まり方になりました、夏樹です。

今回は、少し過去の話に触れてみました。なぜヴァイスが封印されていたのか、なぜ黒羽は自分が魔族だという事を知らなかったのか。

恐らく、ヴァイスが封印された時、千春は妊娠中か、子育て中だったと思います。父親が居なくなって、愛情を注ぐ相手が一人になった事により、今の彼女の性格が出来たのかな、と。一応、命を守る職ですから、それなりにお金はあっただろうし……。

何はともあれ、書けて良かったです。個人的に、ラノベ等では、あまり好まない過去編です。私が好まない、ということもあってか、結構浅い過去となりましたが、ご勘弁を。

ではでは、読んでくださってありがとうございます! いつでも感想、評価、レビュー、ブクマはお待ちしておりますので、ぜひ、よろしくお願いいたします!

また次回、お会いしましょう!

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