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白翼の堕天使  作者: 紡未夏樹
第三章
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第八部 〈道化王子の仮面〉

 黒羽は今、茶髪の双剣使い日向白夜と、黒髪の大剣使い日向極夜の二人と相対していた。

 黒羽の傍らには、鎌を装備した彩芽も居る。

 現在決闘直前。

 少し視線を上げると、そこには大勢のギャラリー。

 彼女ら全員が日向兄弟に付いてきた、所謂追っかけだ。彼女たちは日向兄弟の勝利を信じているだろう。

 ——しかし、これは出来レース。勝敗は最初から決まっている。

 その事を、ギャラリーの人々はもちろん、黒羽や彩芽でさえ、知る由は無い。

 もちろん、彩芽は決闘の申し込みを断った。通常、こんなことにはならないだろう。そして、決闘の申し込みは、黒羽に向けられたものだったため、彩芽がこの場に立つことも無い。その筈だ。

 しかし、確かに彩芽はこの場に居るし、決闘は始まる直前だ。

 なぜこんなことになったのか。


「ということで、決闘の申し込みは受けません」

 時を遡ること、僅か数十分。返事を聞くぞと現れた白夜に、昨日の彩芽の言葉を伝える。

「何でそんな甘ッ甘の話を平然とできるの!? キョクッ! これ全力で叩きたいんだけど!」

「やめろ馬鹿。本末転倒って言葉知ってるか?」

 今にも暴走しそうな白夜を諫めるのは、極夜のいつもの仕事だ。

「北条、ちょっと来てくれ」

 極夜は手招きすると、廊下に黒羽を呼び出す。

「ネタバラシしても良いか?」

「ネタバラシ?」

「ああ、今回の決闘についての話だ」

 ネタバラシというと、何かのドッキリだろうか。まさか日向兄弟と彩芽がグルになって、今回の騒動を起こしたとか……。

「決闘の話な、受けてくれないか? こっちとしても、受けてもらわないといけない事情がある。お前の母親、千春さんと、音葉司令官に頼まれたんだ。お前たちを鍛えてやってくれって」

 千春も永久も、位の高い役職に就いている。この程度の事は軽々とやってのけるだろう。

「なるほど。そういう事ですか。道理で白夜さんの印象が、聞いてた情報と違うと思いましたよ」

「その通りだ。迷惑をかけてすまなかったな。俺たちの頭じゃ、道化を演じて勝負に持ち込ませるしかなかったんだ。もちろん、ハクは本気で大神さんを狙ってるわけじゃない」

「それを聞いて安心しました。その勝負、受けます。うちの母は厳しいですから、もし、今回の事が失敗すると、何をするか分かりませんし」

 オンとオフが明確な母親だ。しかもその相手は息子ではない。あまりにも危険だ。

「分かってくれたか。なら良い。俺もこの勝負、参加するから、大神さんとタッグを組んでくれ」

「え、それは厳しいんじゃないですか? 俺たちほとんど連携訓練なんてしてないんですよ?」

 双子ということは、それだけ行動を共にしているということだ。しかも、相当な実力もあるらしい。勝てるビジョンが見えない。

「俺もハクも適度に加減する。俺の場合は早々にリタイアするさ。二人で強敵に挑んでこい」

 なるほど。

「分かりました。頑張ります」

「それで良い」

 黒羽は、白夜の元に戻ると勝負を受けると伝える。

「キョク、何吹き込んだの?」

「お前は知らなくて良い。予定通りやれ」

「……まあ良いけど。じゃあ、早速向かおうか。実は予約しておいたんだ。無駄にならなくて良かったよ」

 途中、日向兄弟の取り巻きをぞろぞろ引き連れながら彩芽の教室に寄り、極夜から聞いた話をそっくりそのまま伝えると、彼女は渋々ながらも同意した。

「そういうことならやるー」

 安心したとばかりに、黒羽の腕へ己の腕を巻き付ける。

「うーん、やっぱり全力でやっちゃダメ?」

「加減はしろ」

 日向兄弟は、そのルックスが故に、浮いた話が作りづらいのだが、それはまた別のお話。


「やっぱり勝てる気がしねえ」

 ここで冒頭に戻るのだが、明らかに白夜が本気の目をしている。

 それに何より、

 ——ギャラリーの目が怖いよー。

 王子が遂に動いたと思ったら、ターゲットになったのは全く知らない美少女だったギャラリーが、相対するその白髪の美少女を、形容できないような目で見ている。

「これ、勝てるの?」

 彩芽が吐いた言葉には二つの意味がある。

 まず、実力として勝てるか。そして、そもそも勝って良いものかどうか。

「大丈夫だ。俺が守る。そうだろ?」

「そ、そうだよね。あはは……」

 不意打ちを受けた彩芽は、思わず赤面する。

『ああ、ホントに爆発してほしい……』

 ギャラリーに紛れてその様子を見ていたケイは、思わず独り言ちる。会話の内容は聞こえてこないものの、淫魔である彼の特性上、何を話しているはある程度分かってしまう。

『羨ましい……』

 もちろん、志音もその場に居た。

 ケイとは違い、魔族ですらない彼女も、変化した雰囲気で、なんとなくの会話の内容を察したらしい。思わず爪を噛む。

『では、そろそろ始めます。ルールは三回攻撃を当てられた者から退場。先に、相手チーム二人を撃退したチームの勝ちです。開始は今から三分後。では……散開ッ!』

 アナウンスを任された少女の言葉に従い、各々、スタート地点を決める。

 勝敗が元から決まりながらも、その気配を誰にも悟らせることなく、戦いの火蓋は落とされた。

また一日空いてしまい、申し訳ありません、夏樹です。

なぜ、更新が空くのか。その最たる理由はモチベーションです。読んでくださってる方がいらっしゃるのか。そもそもこの話は面白いのか。書かなくてもバレないんじゃないか。そんなことを考えると、モチベーションがダダ下がりしまして、遅筆の二乗です。

ではでは、私のモチベーションアップに貢献してくれる方は、感想、評価、レビュー、ブクマをよろしくお願いいたします!

また次回、お会いしましょう。

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