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白翼の堕天使  作者: 紡未夏樹
第三章
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第五部 〈イケメンの執念〉

「やあ、彩芽ちゃん、奇遇だね」

 休日、家にやってきた雫と、珍しく家から出る準備をしていた彩芽に連れられ、黒羽は近くのショッピングモールに来ていた。役割は主に荷物持ち。黒羽には到底理解できない量の商品を持たされている。

 そんな中、現れたのは先日彩芽をナンパした、日向白夜その人だった。

 彩芽はその姿を見つけるや、黒羽の背中に隠れて白夜の視線を切ろうとする。

「くろにぃ、私、名前教えてないんだけど……」

 彩芽がその怯えを、より濃いものにする。

「調べさせてもらったよ。俺のファンにかかれば一発で分かるのさ。……滅茶苦茶説得に時間かかったけどね……」

 極夜に見咎められたばかりだというのに、執念がすごい。

「お兄さん、この人誰ですか?」

「ああ、雫は知らないのか? 演劇に出てた人だ。王子って呼ばれてたやつ」

「あー、あの人ですか。道理でなんか光ってるなって」

 その表現はどうなのだろうか。いや、実際本当にカッコいいオーラ的なもので、光ってるようには見える。というか眩しい。性格さえ直せば、どこ行っても恥ずかしくないレベルで。

「そんな偶然を祝して、連絡先を交換——いってぇ!?」

 突如飛んできた手刀に悲鳴を上げる白夜。

「何すんだよキョク!」

 手刀の主は、白夜の双子の弟、日向極夜だ。

「男が居る前でナンパするなって前も言ったろうが。少しは自重しろ」

「だって、この娘一人にならないんだよ? 常にこの男子と一緒なんだよ?」

「ならそういう事だろうが。察しろ」

「察する? 何を?」

「お前馬鹿じゃねえのか?」

 呆れて言葉も出ねえよ、と極夜。

「だって付き合ってるなら最初からそう言うでしょ? なら違うじゃん」

 その言葉を聞いて、彩芽は素早く黒羽の腕に手を回す。

「じゃあ私たち付き合ってます」

「じゃあ!? じゃあって言われたんだけど!」

「じゃあ、希望は無い、諦めろ」

「じゃあ、じゃないよっ!」

 ショッピングモールだという事を、完全に忘れて叫ぶ白夜。無論、周りの客からは白い目で見られている。

「俺は諦めないからなっ!」

 黒羽達を指差して、涙目で去っていく白夜。残された黒羽達は、どうしていいやら分からなかった。

「すまん。なんかまた面倒なことになったな。ああ見えて諦めが悪いから、もうしばらく我慢してくれ。峠を越えたら大人しくなるはずだ」

 双子だからこそ分かることだろうか。

「お兄さん、あの人強いですけど、大丈夫ですか?」

「何で戦うことになってるんだよ」

「え? 女を取り合うと言ったら決闘じゃないですか」

「俺が彩芽を巡って戦うのか?」

「くろにぃ、頑張って」

 胸の前で握りこぶしを二つ作る彩芽。正直言って愛らしい。

「頑張って、じゃねえ。俺は戦わんぞ」

『えー』

「えー、じゃない」

「楽しそうなとこ悪いが、俺はもう行くからな。前も言ったが、白夜がなんかやったら言ってくれ」

 そう言って去っていく極夜。

「どうします?」

「何をだ」

「どうやって勝ちましょうか」

「戦う事前提で話すの止めてもらっていいか?」

 白夜の登場でそれなりの時間を使ってしまった彼らは、足早に買い物を再開する。


「なあ、本当にこんなに使うのか?」

 尚も、ショッピングの荷物持ちをさせられている黒羽が持つ袋には、大量のアクセサリーが入っていた。とは言え貴金属ではなく、プラスチック等の安物だが。

「そもそもうちの学校、武器以外のアクセサリーは禁止だろうが」

「くろにぃ、バレなきゃ犯罪じゃないんだよ?」

「そうです。バレなきゃ犯罪じゃないんです」

「いや、そもそも法律じゃないからな。バレても犯罪じゃねよ」

 どうしてこうも、考え方がおかしい女子しか居ないのか。黒羽は己の運の無さを呪う。

「まあ、それは冗談です。普通に休日にしかつけませんよ」

「そうか、それなら……良いのか?」

 あまり校則を意識したことは無かったが、休日のアクセサリー着用までは何も言われないような気もする。

「それにほら、あたしの場合はピアスなんて付けられませんし」

 自分の耳を見せて言う。そこには彼女の武器である双剣、〈平和(レイン)の(・オブ・)雨(ピース)〉の待機形態が、イヤリングとしてついている。己の武器を外すわけにもいかない。

「彩芽も意外だよな。お前、アクセリーなんてつけるやつだったか?」

 少なくとも、黒羽の知ってる彩芽は、自分を着飾ったりするような娘ではなかった。

「んー、意識の変化、かなー」

「よく分からん」

 この場では、当人と雫にしか分からない言葉で茶を濁す。

「そのうち分かるようになると良いんだけど……」

「何か言ったか?」

「いいやー何にもー。雫ちゃん、もう行こー」

「そうだね」

「あ、おい」

 大量の荷物を持たされたまま、黒羽は立ち尽くす。正直重すぎて少し休みたい。

 彼女らの姿が人ごみに紛れて見えなくなってから、黒羽は大きな溜息をつく。

「あー……めんどくせえなぁ……」

今回は、舞台がいつもと少し違います、夏樹です。え? 前回も少し違かっただろ? そ、そうですね(汗

何はともあれ、今回のイケメン、執念深いですね。彼は書いているうちに勝手に執念深くなりました。私のせいではありません。

ではでは、感想、評価、レビュー、ブクマお待ちしております! この作品を読んでくださってる方がいましたら、感謝の意を示すとともに、次回もお会いしましょう!

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