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白翼の堕天使  作者: 紡未夏樹
第三章
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第一部 〈演劇と噂の王子〉

 人間とは不公平な生き物である。

 とある日の放課後に、そんな事を言い出したのは、黒羽のチームメイトにして同級生、三上ケイだ。

 そもそも、なぜそれを言い出したのかと言うと、

「イケメンが恨めしい……」

 そういう事らしい。

 いったいどうして急にそんな事をのたまい始めたのか。

 現在季節は秋、真っ只中。実はこの時期、この学園ではとある行事が毎年開催されていた。

 その名も、演劇鑑賞会。

 守命館学園演劇部による、演劇発表会だ。

 〈守命者〉だからこそできる独自の動きや、白熱した戦闘シーン。さらには魔法を組み合わせた、異次元の演劇。世界で唯一のイベントである。

「いやー、王子、なんて呼ばれてる人初めて見たわよ。驚いたわ」

 そう。実はその演劇部。今年からとある二年生が加入したのだが、その人物が桁外れのイケメンだったのだ。

 登場すれば会場は黄色い歓声に包まれ、何かアクションを起こせば、これまた会場が黄色い歓声に包まれる。ともすれば、そのイケメンの台詞が聞こえない程に。

「まだ耳が痛いわね……」

 顔をしかめる。

「何だ、志音は興味ないのか?」

 お前も女子だろう? 意外そうに聞く黒羽。

「んー、格好いいんじゃない? まあ、私にはくろ……何でもない」

「?」

 志音の言葉の先は、本人と、そばで聞いていたケイだけが知るものである。

「あー、黒羽も恨めしいや。爆発しろ」

「今の流れから何でそうなる」

 理解しがたい、といった表情をする黒羽。

「しーちゃんしーちゃん」

 そこで突然、志音は袖を引っ張られる感じがした。

「ん? 何? どうしたの、ノノ?」

 志音の袖を引っ張ったのは年齢の割に小柄な、いや、小柄すぎる少女、ノノ・アルセル。

 高一にしては幼すぎる言動。その百四十にも満たないかという程の小さな体躯。クラスのマスコット的存在でもある、魔族とのハーフだ。

 ちなみに彼女は、クラスに出来ているほとんどのグループに、自然に溶け込める能力があるとかないとか。

「あのね! 演劇の人、格好良かった!」

 満面の笑みで志音に話すノノ。志音はそれを、膝を曲げ、顔の高さを調節して聞いている。その姿は、年の離れた姉妹か、母娘にしか見えない。

「そうね。格好良かったわね。」

 志音の、案外あっさりした受け答えに、ノノは不思議なものを見るように、

「あれ? イケメン、興味ないの?」

 しかし、そこでとある事に気付いたのか、

「ああ、そっか! しーちゃんにはくろ……むぐぐ……」

「ノノ、ちょっと……廊下においで?」

 セリフ半ばでノノの口を塞いだ志音は、そのまま彼女を引きずるようにして廊下に連れて行った。

「いやああああ!!!」

 ノノの、とても楽しそうな声が廊下に響く。

「……何、やってるんだ?」

 その様子を眺めていた黒羽は、ケイに問う。

「とりあえずお前は爆発しろ……」

 不服そうに声を漏らすケイだった。


「——ところで、そのイケメンって結局誰なんだ?」

 黒羽は、今まで話題になっていたはずの事に対して、根幹たる部分を質問した。

「え、今まで分からずに話してたのか?」

「いや、俺はほとんど話してないが……」

 口を開いたのはせいぜい一回だ。

 そういやそうか、とあっさり納得するケイ。

「説明要るか?」

「ああ、一応頼む」

 王子とまで言われる程のイケメンの話だ。聞いて損はないだろう。

「高等部二年の日向って名前でな。茶髪が白夜(はくや)、黒髪が極(きょく)夜(や)。二卵性の双子だな。双子の分、余計に質が悪い」

 注目度が二倍だ。

「ああ、あれ双子だったのか」

 ステージに上がった男は二人居た。どちらも「王子」だったのか。

「白夜……先輩は、爽やかな人だな。ザ・王子様って感じで、人当たりが滅茶苦茶良い」

「詳しいな」

「ああ、一応少しだけ調べたんだよ。で、極夜先輩が、なんというか……お前とキャラが被るな」

「は?」

「あんまり喋らねえし、目つき悪いし、恋愛に興味無いって顔してんのに、顔が良いんだよな」

「俺はお前に目つきが悪いと思われてるんだな」

 今更かよ、そう呟くと更に説明を続ける。

「演劇部に入ったのも、イケメンだから部長がスカウトしたって理由らしい。まあ、間違ってなかったよな」

 現に、入部希望者が一瞬で一気に増えたらしい。今頃大騒ぎしていることだろう。

「ただいま」

「おう、いつもより長かったな……ってなんだそれ!?」

 見ると、先ほど連れていかれたノノが、ロープでぐるぐる巻きにされていた。

「いや、いつまで経っても黙らなかったから、ちょうど近くにあったロープでぐるぐるっと……」

「なんでロープなんてあるんだよ……」

 何の為に使おうとしてたのか。確かめようが無いため、想像するだけ無駄だが。

「ちょ、たす、け……」

 ノノが暴れている。

「苦しいから。早く……」

 志音がノノのロープを解く。

「ふう、助かった助かった」

「いや、全部あんたのせいだからね」

 疲れた顔で指摘する志音。

「いやいや、しーちゃんが素直にならないのが悪いんだよ。早くくろ……」

「もう一回廊下行く?」

「行かない!」

 志音は、走って逃げだすノノを追うが、ちょこまかと動く彼女を捕まえることは敵わない。

 だが、本気で怒ってるわけではないことは分かる表情をしていた。

第三章始まります、夏樹です。

どうなるのか私にも分かりません。が、頑張ります。そのためにも私に感想、レビュー、、評価、、ブクマを!

……読んでくれてありがとうございます。


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