第七話
その日の夜、僕は彼女へのプレゼントを持って店に出向いた。誕生日のお祝いだしシャンパンも入れるつもりで、普段よりも多く軍資金も用意した。いつも店に行く前には彼女にラインで連絡をしてから行くことにしている。
しかしその日は彼女から返信は無かった。誕生日が近いし他の客からも連絡がきているのだろう。既読も付かなかったが、それほど気にしなかった。
いつも通り店の入り口でキズナさん、と指名を告げると少々お待ちください・・・いえ中でお待ちください、と店の中に案内された。
いつもの店内だ、多くの客で賑わっている。ただ僕は違和感に気づいた。あのトラの置物が無くなっている。どうしたのかな、と考えているうちに店長らしき年配の男性が神妙な顔で席に来た。
「キズナさんですが出勤予定なのですがまだ店に来ておらず、もう少々お待ちいただけますでしょうか。申し訳ございません」
体調でも悪いのだろうか、こんなことは初めてだ。彼女が来るまでの間、ということで他の女の子が何人か席に付いてくれたが、彼女が気がかりで会話など全く頭に入ってこない。
それでも必死に笑顔で酒を喰らった。飲むことで少しは気持ちが紛れるかと思ったからだ。結局その日はキズナは店に来なかった。再度店長が来て謝罪してくれ、僕は必死に平静を装った。
席を立ち店から出ようとした時、ハルキと付き合っているという、あの金髪の子とすれ違った。
「あら、お兄さんお帰りですか?キズナさん?あれ、まだ在籍してるのかな・・」




