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おまけ 【分割ver.】お誕生日プレゼント 完

いちゃいちゃ回です。

 ケーキを食べ終え、ワインボトルも空になると、ユース様は帰りました。

 それで、フィラント様と二人でお祝いの品の確認を開始。

 私からのプレゼントは最後にしたかったですが、ユース様が自分の箱が最後というので、譲る事にします。


「これはフォンとヴィクトリア……ルミエルの名も書いてあるな……」


 箱から出てきたのは蝶ネクタイと香水。香水は、瓶が桃色で、ハート型で、どう見ても女性物。


「これは料理人とセドリックから……」


 料理本と季節の花の育て方というタイトルの、手書きの本と「ご夫婦でお使い下さい」のメッセージ。


「これはロクサス卿一家とカシムとダフィから……」


 驚いた事に、私の肖像画。顔ぐらいのサイズで、テーブルとかに立てられるような額に入っています。


「これは侍女達……」


 紺色のエプロン二枚と口紅。エプロンには流星が刺繍されています。


「レグルスとフローラ様……」


 アストライアジャスミンの香りのするボディークリーム。陶器の入れ物の柄が青い小花で、どう見ても女物です。


「どうしてでしょう。フィラント様へのお祝いの品なのに、私への品が混じっているというか、私への贈り物みたいな物ばかりですね」

「……。うん、ああ……」

「肖像画なんて私です」

「うん……いや、これはこれで合ってる」

「これで合ってる?」

「あー……いや……」


 フィラント様、歯切れの悪い返事。

 次は私です。腕時計と、私が編んだ雪の結晶柄のマフラー。

 腕時計は西の地からきた行商が売っていた貴重品。なにせ、時計がうんと小さくなって、皮製の腕輪にくっついているのです。

 市場で発見し、驚愕し、値段に驚きつつも買いたくて、私のほぼ全財産と、イヤリングを売って買いました。全財産と言っても、ほぼフィラント様からのお小遣いです。

 ユース様が私のイヤリングを高く売って、腕時計の値切りもしてくれました。

 値段の事は抜きにして、腕時計発見の話や、マフラーを編むのにアンナがうんと協力してくれた話をすると、フィラント様は私に笑いかけてくれました。


「凄いな、これ……」


 フィラント様、腕時計ではなくて、マフラーに興味津々。


「編んだのか……エトワールが……」


 嬉しいですけれど、あのー、腕時計は?


「俺の為に……」


 とっても嬉しそうで、私は幸せですけれど、腕時計は?


「それにしても腕時計なんて、世の中は広いのですね。どういう仕組みだ? 貴重な懐中時計よりも小さいなんて……。エトワール、高かったんじゃ……」


 マフラーは大感激みたいなのに、腕時計はそんなに嬉しくなさそう。マフラーはおまけでしたのに。何だか申し訳なさそうなお顔です。高級品だと、遠慮されるという発想が、頭からすっぽりと抜けていました。反省。


「懐中時計と同じくらいです。最初は懐中時計を探していたんです。この腕時計、ユース様がうんと値切ってくれました。時間を見て、帰ろうかなと思ったら、私の事も一緒に思い出すと思って」


 えいっ、と遠慮なく腕に抱きつきます。

 もう両想いですもの。いえ、最初から両想いでしたもの。

 フィラント様は私にそっと優しいキスしてくれました。微笑み付きで。


「思い出すも何も、いつも考えているよ。両方とても嬉しい。ありがとう」


 胸がきゅうううう、と締め付けられます。はあ、両想いって素晴らしい。

 もう一回キス、それから抱きつこうと思ったけれど、まだユース様からの小箱があります。


「フィラント様、ユース様からの本当の贈り物はこちらの小箱らしいです」

「ん? いい。明日見る。エトワール……」


 情熱的な目で見つめられ、顔が迫ってきたのでキス——……ダメです。

 キスもいちゃいちゃも、湯浴みしてからです。それで、寝巻きの下の肌着と下着を脱いで隠さないと。

 この明るい談話室で、というのも却下。ランプを消した寝室でです。


「あ、あの、寝る準備をしてからで」


 フィラント様の胸を押し返し、身を捩り、ついでにユース様の小箱を手にしました。


「ユース様からは何でしょうね?」


 不服そうなフィラント様に向けて、箱を開きました。ふわりと香ってきたのは、アストライアジャスミンの匂い。

 小箱の中身は、乳白色の四角い物体。


「蓋の裏に何か書いてある。えーっと……。これで洗ってあげたら……贈り物は完成……」


 私が手に持つ蓋の内側を見つめていたフィラント様が私を見たので、目が合いました。

 少しして、視線が私の頭の上に移動。


「プレゼントはエトワールって……」


 つんつん、つんつん、とフィラント様は私の髪に結ばれたリボンの垂れを引っ張りました。

 ユース様の意図が分かり、全身が火のついたように熱い。


「大事なユースからのプレゼントは、受け取らないとならないな。うん」

「な、なっ……」


 うん、て……可愛い。フィラント様、ウキウキして見える。

 私、絶対にこの石鹸で洗われる。この顔のフィラント様は、私が嫌だって恥ずかしがっても「嫌じゃなくて恥ずかしいだけだよな?」って意地悪してくる。逃してくれない。

 つまり、寝巻きの下の状態もバレる。


「い、いや……」

「嫌って俺が?」


 始まった。悪戯っぽい微笑は、少しユース様に似ているかも。

 両想いになったら、フィラント様は意地悪かつ強引になった。


「いえ、フィラント様は嫌ではないです……」

「うん」


 熱烈な目で見つめられ、顔が迫ってきたのでキス——……ダメです。ダメ、ダメ、ダメ!


「あの、寝る準備をして……」

「うん、する。その石鹸、持ってて」


 フィラント様の胸を押し返したけれど、無駄でした。力を入れられたら、逆らえない。全力で拒否しない、それどころか受け入れると見抜かれてる。


 キスされて、抱き上げられました。暖炉とかランプの消灯は?

 聞きたくても、キスの雨。少し見つめられてから軽いキス。それが何度も何度も続く。

 こんなの、甘くて、幸せで、流されちゃう。

 上の寝室のある階へ連れて行かれる。これは、浴室へ運ばれるんじゃ……。


 予想的中。


 浴室内の天井近くの棚にランプが置かれていて明るい。浴槽にお湯が張ってあります。

 脱衣所に入った時点で寝室より暖かく、湿度が高かったです。

 もう準備されている。ユース様だ! 絶対にユース様の指示だ!


「ここまで根回ししてあるのか……」


 そう言うと、フィラント様は私を床に下ろしました。


 よし、逃げよう。


「準備万端ですね。では、フィラント様がお先にどう……」


 手を繋がれて、軽く引っ張られました。無視して背中を向けておきます。でも手……離したくないな。


「あはは、エトワール。真っ赤」


 ……。そんな無邪気な笑い声を出さないで下さい。

 こんな笑い声、どんな顔をしているか見たくなります。見ますとも。ええ、見ますとも! 貴重です!

 振り向いたら、フィラント様は機嫌良さそうなニコニコ顔。珍しい。

 心底嬉しい、というような本当に珍しい満面の笑顔。私の胸にブスッと矢が刺さります。


 はうっ。


 私……この表情……大好き♡


 ぼけっとしていたら、フィラント様の手が、しゅるり、と私の髪のリボンをほどきました。


「ユースの奴、何がプレゼントはエトワールだ。煩いだろうけど、絶対に教えてやらない」


 ああ、無邪気で素敵な笑顔♡


 ぼけっとしていたので、寝巻きを脱がされました。


「き、きゃああああ」

「えっ……」


 体は腕では隠せません。フィラント様、目を見開いて固まっています。

 驚きではなく、食い入るような目付き。


「こ、これ、これは違います!」

「違うって、着たのに?」


 逃げようとしたら、捕まりました。抱き竦められて、熱烈なキス。


 その指摘はその通り。着させられのだけど、着てますね、私。脅されたけど、徹底抗戦はしてません。


 フィラント様の意地悪。


 可愛いは嬉しいですが、耳元で色っぽい声は反則です。

 いつの間にか、私の手から石鹸の入った箱は消えていて、どんどん浴室へ追いやられていきます。


「フィ、フィラ……トさ……まあ……」


 大変な事になりました。浴室の壁のタオル掛けに、リボンで拘束です。

 それで、浴槽に座ったフィラント様が、熱心な目で私を観察。

 恥ずかし過ぎて、小さな声しか出てこない。

 嫌です。恥ずかしいです。見ないで下さい。全部無駄。


「い、いやあ……」

「恥ずかしいだけだよな?」

「いじ、いじわる……しないで……」

「ん? 悪さなんてしてない。プレゼントを堪能してるだけだ」


 ここのところ、いちゃいちゃが始まると、遠慮しまくっていたフィラント様は行方不明。

 少し帰ってきて! お願い、帰ってきて!


「こんなの……はずかしい……」


 無言で近寄ってきたフィラント様は、私の下着に手を伸ばしました。

 下着を脱がされ、肌着も脱がされる。この肌着、肩紐がボタンになってました。着るときは上から被ったから気づかなかった。なのにフィラント様は目敏い。


「もう一回着たら、もしかしたら慣れるかもしれませんよ」


 ええええええ。それって浴室を出たらもう一回着させられるって事です。で、またジロジロ見られる。

 私の肌着と下着が脱衣所へ運ばれていき、フィラント様は石鹸を片手に戻ってきました。

 洗われる。この体勢のまま、フィラント様に洗われる。

 凄く楽しそうな、キラキラした目をしているから、絶対にそうだ。


「ぬ、濡れますよ……。服……」

「ん? どこが濡れるって?」


 フィラント様、完全にスイッチが入ったようです。目が蕩けてる。服は後で脱ぐつもりなのでしょう。この顔、とにかく私の反応を楽しむ気です。


 私の体、触られまくりの泡だらけ。


「最高の……唯一の……プレゼントだ……」

「ですから……いやあ……」


 私の体、泡だらけで触られまくり。


 初めてお互いの気持ちを伝え合った日と、似たような状況。多分、明日、謝ってきます。それでまたしばらくぎこちない二人になるでしょう。


 この日の夜のフィラント様は、始終意地悪で、色々と驚くことを要求してくるし、おまけに初めて何回も求められました。


 ユース様のバカ! バカバカバカ!

ご想像にお任せします。詳細に書いたら15禁ではなく18禁。

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