65 ちゃーはん
久しぶりの投稿です。ごめんなさい。
大変なことになった。
「ま、ますたー...?」
「アリス?」
「ますたー!ますたー!」
アイラがちゃーはんとやらを作ると言い出し、その次の瞬間にはその場からいなくなってしまった。
またお得意の転移なるものなのだろうが、それを理解していないアリスの目の前でやるのはアイラの失態であろう。
アイラはすぐになんでも作る。しかし、料理は別なはずだ。
それを理解しているからこそ、今の私にはどうすることもできない。
「だ、大丈夫、アイラはどこかに行って帰ってこないわけじゃないかr」
「ますたー!!!!!」
ついには、その小さな拳に力を込め始めた。
魔力を込めていないといえども、単純に殴っただけでこの宿は一瞬で消えさる。
特に事情を追求してこなかったエレガルのためにも、それだけは止めなければ。
とは思うものの、どうしたらいいのか皆目見当もつかない。
「アリス、アイラを探しに行きましょうか」
「...さがす?」
「ええ、そうよ」
良かった、食いついた。
これ幸いと、アイラに関することを口早に語っていく。
この時間稼ぎの間に、帰ってきてくれることを祈るばかりだ。
だが、安堵もつかの間で、次にどこを探しに行くのかという問題にぶち当たる。
苦し紛れな私は、時間稼ぎに出ることにした。
「でも、探しに行く前に、準備をしてからいきましょうか」
「じゅんび?」
「ええ」
準備をする、というのは建前で、実際は、その間にアイラが返ってくることを待つというのが目的だ。
まあ、帰ってこない時にために、他の方法も考えなければいけないのだが。
と、そこまで考えて、私はもう一つ問題があることに気がついた。
「準備する荷物が無いじゃない」
「...?」
武器や多少のお金、手軽に口にできる食べ物以外は、全てアイラが所持している。アイラが言うには『アイテムボックス』なるものらしいが、そんな名前の魔法は聞いたことがないし、道具としても同様だ。
ともあれ、大量の荷物があれば、その中から選んでいるという言い訳ができたのだが、これではまず計画が成り立たない。
内心焦っている私の服の裾を、アリスが引っ張ってくる。
「じゅんび、しないの?」
「...もう少し待ってて。今あなたのますたーがどこに行ったのかを考えているのよ」
「そっか」
純粋な子で助かった、私は安堵した。
先ほどは止めることに成功したが、また暴れ出した場合、止められるかどうかがわからない。
焦りが増していく中、私達の目の前にアイラが現れた。
「なんか、嫌な予感がしたから戻ってきたんだけど...何かあった?」
「ますたー!!」
「何かあったも何も、これから起きそうだったわよ」
抱きついてきたアリスをなでながら、どういう意味だろう、みたいな顔をしているアイラ。
私がどれだけ焦っていたかわかっていないようだ。後でしっかりと説教、もといい話し合いをする必要がありそうだ。
しかし、この後にアイラが出してきた謎の料理のせいで、全てを忘れてしまった。
「これ、作りたてだから、あったかいうちに食べちゃおうか」
「...これは?」
「チャーハン。言ってなかったっけ?」
アイラがさも当然のように言うが、そもそもの話、アイラが言うそのちゃーはんとやらを、私は知らないのだ。
しかし、これはなんとも食欲をそそる匂いである。
学園長として、いろんなところに顔を出し、各地の料理を食べてきた私だが、この匂いはかいだことの無い匂いだった。
アイラは手にしていたちゃーはんを机に置き、人数分のスプーンを置く。
「それじゃ、召し上がれ」
「いただきまーす!」
「いただきます」
このいただきます、という挨拶も、以前アイラに教えられたものだが、アイラは普通の人が知らないようなことを知りすぎているような気がする。
ときどきそれが怖くなることもあるが、今はどうでもいいだろう。目の前に置かれている料理が問題だ。
きらきらと黄金に光る粒をスプーンですくい、口に運んでいく。
「...おいしいわね」
「それはよかった」
私がそういうと、アイラは心の底から嬉しそうに笑うのだった。
今書いているこの話は、100までに完結させようと思っています。
その後、もう片方の方を更新していこうと思うので、よろしくお願いします。
そういえば、ごめんなさいで思いだしたんですけど、ごぺんなさいって懐かしくないですか




