63 依頼に罠があることを初めて知りました
そういえば、始めてアクセスというものを見ました。
ブクマありがとうございます!
なんだか、書きたいことを書いてるだけなのに、こうしてみてくれていると言うのは、なんとも、嬉しい話ですね。
依頼を1つ、受けた。
依頼内容は、この国と、隣の国を行き来する商人の護衛。
こたらからあちらまでの一方通行の護衛だけで良いとのことなので、これ幸いとばかりに、依頼を受けたのだ。
「でも、これおかしくない?」
「え?」
依頼を受けたその日の午後。
ルノウが改めて依頼内容を確認していると、おかしいと言いだした。
依頼を受けた場にはルノウもいたはずなのだから、それでおかしいというのは過去の自分をおかしいというようなものなのだが。
しかし、ルノウはそんなことはどうでもいいような顔で、おかしな点を挙げる。
「まず、この依頼を受けるランクについてよ。
そもそも、この国の周りにはかなりの強さの魔物がいるくせに、どうしてランクはFからの募集になってるの?」
「どれどれ...ホントだ」
僕も依頼を受けるまで忘れていたが、ハンターにはランクというシステムがある。
1番下は、F。そのままアルファベット順で上がっていき、Aが最高だ。
よくゲーム内の評価でSがあるが、どうしてSが1番上なのかは、未だに謎だ。
ちなみに、Aランクのパーティーはこの世界では3つしかないとも聞いたことがある。
「最低ランクの私達でも受けられる依頼。
他にも複数のパーティーを募集してるみたいだけど、これが下のランクの人たちに経験させるような目的だったらまだ良いわ。
でも、そうじゃなかったら?」
「そうじゃないって...例えば?」
「...今ここでする話じゃないわね」
「それは確かに」
今更なのだが、ここにいるのはサイの中にあるカフェだ。
ここで出されるパンケーキが異常に美味だ。何か特別なものでも使ってるのだろうか。
カフェは、ゆっくり心を落ち着かせて、リラックスする場所だと、僕は思っている。
その点に関してはルノウも同意なのか、ひとまず頼んだパンケーキを食べている。
アリス?
アリスは既にお腹いっぱいになって隣で寝ているよ。
「でも、お金はまだありますし、最悪依頼を達成することが困難になっても、そうなったということはそれなりの理由があるからで、ギルドも調査をしてくれるかもしれないし」
「確かに、そうかもしれないわね」
僕の出した案に、ルノウも頷く。
頷いているのは、パンケーキの美味しさなのではないかとも思うが、ここは僕の案に頷いたということにしよう。
そうでなければ、嫉妬でこの店を爆破してしまうまである。
いや、ないな。
「それじゃあ、この店から出て、人の少ない裏通りで話しましょうか」
「うん、そうだね」
そうして僕達は、会計を済ませた後、さっさと裏通りに入り、これからのことを話しあうことにした。
それにしても、文明が現代とは全然違う方向に進んでいるのが嫌でも伝わってくる。
会計の際にも、レジなんてものはもちろんないし、今も、裏通りには家の外についている機械が出ていることなんてこともない。
「さて、それじゃあ、私達が焦って食いついちゃった、見た目はいい依頼の詳細でも見ましょうか」
「...」
そこまで皮肉を言わなくても、と思う僕だった。
そもそも、先ほども言ったように、この依頼はルノウも同伴で選んだのだ。責任は半分だろう。
もちろん、アリスに責任は無い。
「まずは、さっきも言ったように、依頼内容は隣の国までの護衛。一方通行だから、向こうへ行きたい私達からしたら、一石二鳥の依頼ね」
「まあ、よく見たらおかしいってわかるんだけどね」
「...そうね」
まあ、おかしいと判断できるのは、ルノウが持っている情報のおかげだが。
僕が持っている情報なんて、まともに外を歩いているわけじゃないから、アリスが可愛いってことぐらいだ。
うむ、役立たず。
「他のパーティーの情報も仕入れなくちゃいけないわね」
「その前に、僕達が受けた依頼って、いつやるんだっけ」
僕がそういうと、ルノウは顎に手を当て、考えるそぶりを見せて。
「さあ」
わからないと言った。
「あ、さっきのとんでもパーティーさん」
「や、新人さん」
「さっきは世話になったわね」
「い、いえ、すみませんでした!」
ギルドに戻り、依頼の確認をしようとすると、ルノウが怒っている奴のセリフを言う。
予想通り、ルノウにはおびえてしまったようだ。まあ、別に誤解を解くつもりはない。その責任は間違いなくルノウ1人の責任だ。
「そんなことより、さっき受けた依頼の確認をしたいんだけど」
「ああ、あの依頼ですか。...あ、忘れてたんですけど、パーティー名はお決まりですか?」
受けた依頼の情報を聞こうと思ったのに、別のことを聞かれているようだ。
何、パーティ名だと?
「ねえアイラ、パーティーに名前なんているの」
「僕も正式に組んだことなんてないし...」
以前会ったジェームズ達も、パーティーを組んでいたようだが、その時は名前を教えられなかった。
その代わりに、何か別の勘違いをされていたような気がするが、まああの時のことはどうでもいい。
「どうしたの、ますたー」
「えっとね、名前を決めなくちゃいけなくて」
「なまえ? ありす!」
「..うん、そうだね」
僕がアリスに説明したのが間違いだった。アリスにはまだ難しすぎたようだ。
「『アリス』ですね、かしこまりました」
「...あれっ?」
今の会話を聞いていたのか、新人職員は、僕達のパーティー名をアリスとして登録したようだ。
ふむ、これは僕1人の責任だ。
「まあ、良いんじゃないの。私の名前じゃないし」
「他人事...」
しかし、まあ、別に良いか。
確かに、特段困るということもないし、長い名前よりも全然いい。
長い名前で思い出したが、現代は無駄に名前の多いラノベが増えていたようだが、今はどうなのだろうか。
そのままの勢いで、ラノベの題名が二行になっていたりするんだろうか。
ルノウは、新人職員に、依頼内容を聞く。
「それで、私達の他に受けているパーティーと、その依頼の日時を知りたいんだけど」
「えっと、まずは日時からですね。
依頼を遂行する日は、明後日。『アリス』さん以外に同行するパーティーは、Cランクの『月下』さん、同じくCランクの『バレット』さんです」
どちらもCランク。まあ、実力は多少は信用できるのだろう。
正確に知りたいのなら、直接見るか、そのパーティーを知っている人たちに聞き込みでもするかだが。
「なるほど、それだけ聞けたら十分。場所はここでいいのよね?」
「は、はい。大丈夫です」
またこの新人さんがミスをしないか心配だが、ひとまず知りたいことは知ることができた。それで十分だろう。
それだけ確認すると、僕達3人はギルドから出た。
以前あったような、誰かに突然話しかけられるようなことがなくてひとまずは安心だが、これからのことについてはまだ気が抜けない。
「まあ、依頼の当日に顔を合わせるのでもいいけど、私としては今すぐにでも会っておいた方がいいと思うの。アイラはどう思う?」
どう思うも何も、そういったことはルノウの方が慣れていると思うんだが。
「ルノウに任せるよ」
僕がそういうと、ルノウは少し変な顔をして言う。
なんだその顔。あえて言葉にするなら、輪ゴムを噛みちぎった時の顔をしているぞ。
自分でもどんな例えをしているのかわからなくなってきた。
「あのね、もしこれで私が間違ってて、3人とも仲良く犯されたらどうするのよ?」
「...んとね、道の真中で言うべきではない単語が聞こえたんだけど」
「だから、しっかりとあなたの意見も聞かせなさい。アリスに聞くわよ」
「わかりましたこれからは僕の意見も出します」
流石にアリスに聞かれても困る。
まともな回答が返ってくるとは思わないし、事態がさらに悪化するような場面しか想像できない。
「わたしがどうしたのー?」
そんなことを考えていると、足元にいたアリスが、自分の名前が会話に出てきたので、気になったのだろう。顔をあげて不思議そうな顔をこちらに向けていた。
天使なアリスを犯されないために、努力しないとな。
いざとなれば、僕が身代わりにでもなるとしよう。
「いや、何でもないよ。少し歩こうか」
「ますたーとさんぽ!」
アリスが嬉しそうにその場で跳ねる。
マスター。
昔、ご主人様と呼ばれていたことを思い出し、少し過去を振り返る。
アリスは、どちらかというとリナ寄りの性格をしている。
年齢を少し下げ、実力を大幅に上昇させた感じだ。
サリナとリナは、2人を足して割ったら、ルノウみたいな感じだろう。
サリナのようにしっかりと全体を見てくれながら、リナのように、僕のことを少なからず認めてくれているのだろう。
「アイラ、どうしたの? 変な顔をしてつっ立てるけど」
「...何でもないよ。少し考え事」
考え事をしていると、ルノウに呼ばれた。
気づけば、2人は少し前を歩いていて、僕の方を心配そうに振り返っていた。
アリスに心配そうな顔を向けられるのはなんとなく納得できるんだけど、ルノウにそんな顔を向けられるのはなんだか納得いかない。
そんなことを思いつつ、ルノウに少し早足でついていく。
「まずは、他の2パーティーになんとか連絡を取らないとね」
「そのためには、もう1度ギルドに向かったほうが早いわね」
そうして、僕達は、先ほど出てきたばかりのギルドに、再び足を向けたのだった。




