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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第2章 学校編
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56 アリス限定の独占欲

ちなみに、電気も止まってたので、かきためることもできませんでした。

泣きそうです。

「私のことを放って何をしていたんですの...それに、ヒジリは先ほど別れたときとは打って変わって上機嫌ですわね」

「まあ、誤解が解けたのよ」

「...なんの誤解なのかは詮索しないでおきますわ。どうせ、また勘違いでしょうし」

「良く分かったわね」


ヒジリと一緒に戻ってきて、シャルに合流したら、シャルにはなぜか呆れられてしまったようだ。どうしてなのかはわからないんだが。


「それで、どうして手をつないでいるんですの?」

「アイラがまた変なことをしないように」

「僕何か変なことしたっけ...」

「...」

「あ、うん、した」


シャルに手をつないでいることを指摘されると、ヒジリは僕が変なことをしないようにと言う。

僕としては変なことをしている自覚は無いのだが、それを指摘しようとすると、すごい顔で睨まれた。

あれを見ても反論できるのならしてみてほしい。僕には無理だ。


さて、どうして手をつないでいるかと言うと、戻ってくる道の途中で、ヒジリがそういったのだ。




『ねえ、アイラ、1つお願い事があるんだけど』

『? まあ、僕に出来る範囲なら』

『ホント?

なら、私と手をつないでほしいの...ダメかな?』

『いや、別に』

『やった』




という流れだ。

僕自身にも、どうして突然ヒジリがそんなことを言い出したのかはわからないが、先ほど言ったような、僕の監視のためじゃなければ何でもいい。


「でも、ずっとしているわけではありませんわよね?」

「え? ずっとしてるに決まってるじゃない」

「...」


そこまで僕の監視にお熱なんでしょうか、この人は。

そして、僕にプライベートなんてものは無いんでしょうか。


僕がそんなことを考えていると、シャルと話していたはずなのに、突然僕に話を振ってきた。


「アイラも、別に迷惑なんかじゃないわよね?」

「え、うん」


そりゃ、ヒジリのような可愛い子と手をつなげるなんて、現代での僕では、女子とすら手をつないだのは中学以来だ。

僕としては嬉しい状況なのだ。なのだが...。


「...そうですの」


僕を見るシャルの目が怖い。

なんでかは知らないけどすごい怖い。

僕がシャルに対して何かをしたんだろうか...あ、まさか、ヒジリの言っていた『変なこと』をもうすでにしてしまったのでは?

だとしたら、ヒジリがそれに感ずいているはず。僕はそう思い、ヒジリを見る。


「ふふん、だから、離れる必要は無いのよ」

「...まあ、ずっとそのままでいられるものならそのままでいてくださいまし。私はアリスちゃんと手をつなぎますわ」


しかし、ヒジリはシャルとただ会話をするだけで、逆にシャルをどこかに行かせてしまう。


それにしても、アリスと手をつなぐ、だと?


この僕ですら経験していない(はずの)体験を、シャルに譲る気は無い。


僕は真剣に、ヒジリに手を放してくれと訴える。


「ヒジリ、手を放してくれ」

「...アイラ?」

「少し、急ぎの用事が出来た」

「あら、そう。それなら仕方ないわね。

でも、その用事が終わったら私のところに来なさいよ」

「...わかった」


その言葉を『僕は』聞いた。しかし、いろんな状況や条件によって、僕がいけなくなるかも知れない可能性を考慮してほしい。


なぜなら、これからアリスの元に向かうのだから。


「...待てよ?」


ヒジリと別れ、曲がり角を曲がったところで、そもそもおかしいことに気づく。

僕がアリスの元に向かう。これは、一般的に言えばその通りで、その必要性があるのだろう。

しかし、相手はあのアリスだ。もしかしたら...。


「アーリースー」

「よんだ?」


僕がアリスの名前を呼ぶと、アリスは背後から、まるで先ほどまでそこにいたかのようにあらわれた。


ほうら!


「アリスー、かわいいなー」

「やぁ、ますたーくすぐったい...」


僕はアリスをつい抱きしめてしまう。

中身を現実に投射すると、大の大人が女の子を抱きしめているという危ない図だが、今の僕は女の子だ。

年はかなり離れてるが、それでも、危なくない図に変化する。


性転換、万歳。


異世界系のラノベの主人公は、誰もがチートの能力を手にするのに、どうして性転換をしないのだろう。

あ、1線を越えられないからか。まあ、それもチートで生やせばいい。

あ、いや、足せばいい。オプションは後からつけ放題だ。

ちなみに、子供もちゃんと出来る。

しかし、この場合子供を産むのはどちらになるのだろうか...いっそのこと、どっちもなんて展開もアリかもしれない。


「ますたー...?」


アリスの声を聞いて確信した。

そんなことをアリスで想像しちゃいけない。ただの1欠片もだ。

そんなことを考えるのは、アリスに失礼すぎる。

そうだ、失礼だ。


次そんなことを考えたら自分で自分の死刑執行をしよう。男の...いや、可愛い人を愛でる人たちにとっての恥だ。


さて、先ほどまで何を考えていたのか忘れてしまった。

何か大事なことを忘れているような気がするのだが...。


「...シャル?」


そうだ、シャルだ。

シャルはたしか、アリスを探しにどこかに行ったはず。なら、このままヒジリの元へと向かえば、シャルに見つかるのは時間の問題か。

いや、別に見つかっても問題は無いんだけど、独占欲が出てきちゃって。


さて。


「ヒジリとも何かあったような...」


まあ、いいか。忘れてしまうということは、どうでもいいことなのだろう。

きっと僕の中の僕、リトルアイラがこう言ってる。

『別に忘れて良くない?』って。多分。


「それじゃ、戻ろうか」

「うん!」


やはり、アリスの笑顔は眩しすぎるようだ。

心が浄化されていく。






「あら、戻ってくるの早かったわね」

「うん、まあね」


この短時間で、僕達のたまり場のような場所と化してしまったこの場所、フィールドの目の前のこの場所だが、そこにはヒジリしかいなかった。

シャルは未だに探しているのだろうか。スキルを使えば1発なのだが、なんとなく使う気分にならない。


アリスと手をつなぎながら、ヒジリが座っている横に座る。

僕の左側にヒジリ、右側にアリスという状況だ。


少し寝ようかなと思った時、ヒジリに話しかけられる。


「ね、アイラ。手、つなごう」

「...あ、うん。いいよ」


そういえば、戻ってきたら手をつなぐだかなんだか言っていたような気がする。

まあ、別にいいだろう。ヒジリは好きだし、こんな美人と手をつなげるなんて、僕としては得しかない。


「ますたー...眠い...」

「ああ、うん。ゆっくりおやすみ」


ヒジリと手をつなぐと、今度はアリスが眠いと言い出し、体を僕に預けながら寝てしまった。

うん、自由だけど、可愛い。

これが僕だったら、単純にうざい奴になってしまうんだろう。そもそも、眠いからって眠っていいなんてことじゃないし。

いや、この世界なら、そうなのだろうか。

あれだけ先生相手に自由にやっているヒジリを倒したんだ。

僕だって多少は自由にしたって...。


「あ、そうだ、アイラ」

「な、何かな?」


良からぬことを考えていたのがばれたのかと思い、少し声が裏返ってしまう僕。滑稽である。

しかし、それにヒジリは気づいた様子もなく、ヒジリもアリスと同じようなことを言いだした。


「私も、少し寝ていい? 最近寝てないのよ」

「あれ、そうなの?」


最近、と言っても、僕と同じ部屋なのだから、相方の就寝時間ぐらいは把握している。

ここ2、3週間のヒジリの生活は、とても健康的だ。

朝7時前には置き、夜は10時には寝る。

まあ、それを感知している僕は、それより早く起きて、それより遅く寝ていることになるから、必然的に僕の睡眠時間は少ないのだけれど。


まあそれはいい。僕は別に、テスト週間なのに、睡眠時間2時間で、しかも勉強していないなんて時もあったしな。


しかし、これだけ寝てもまだ寝足りないというのだろうか。その気持ちはわからないでもないが。


「まあ、いいよ。僕も少し寝ようかと思ってたし」

「そう? それなら、遠慮なく...」


このまま座りながら寝るのも辛いと思い、僕はアリスを起こさないように仰向けになる。

そこに、ヒジリが僕の腕を抱きかかえるようにして寝る。

うむ、両手に華。


そして、僕も眠りに落ちようとしている時、悪魔の声が聞こえた気がした。


「あら、アリスちゃんがどこを探してもいないからここにきてみれば、3人仲良くお昼寝だなんて、羨ましいですわね」



そしてヘッドホンが壊れました。

今年は厄年かもしれません(今更)。

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