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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第2章 学校編
66/79

55 思わぬ誘い その裏には

最初自身で揺れたと思って、そのあと寝て目が覚めたらインターネットが使えなくなってるのはびっくりしました。


ここから更新頻度上げていくので、よろしくです。

少々ズルなのではと疑われるような結果を出した所詮。

ブロックではなくトーナメントで進むこの競技は、なんということでしょう。あっという間に決勝戦です。


そもそも、この学院で行う競技全部がトーナメントなんだけどね。


「それにしても、意外だったのは、サリナ達のクラスが残らなかったことよね」

「そうですわね」


ヒジリとシャルが休憩中の時間を使って情報を照らし合わせている間に、なぜかサリナ達のクラスの話に。

ヒジリがサリナと呼ぶのは、もうすでに仲良くなったという意味で捉えていいのだろうか。


決勝戦を行うフィールドを見つめて、口を開く。


「意外も何も、予想できた結果だよ。そもそも、サリナはすぐに寝ちゃうし。この間のだって、緊張感があったからだけど、今回の競技は全然緊張してなかったみたいだし」

「それって、大丈夫なの?」


ヒジリが心配そうに聞く。

この反応からして、もう友達だな。僕も嬉しいよ。


「大丈夫も何も、ルノウに大目玉食らったらしいけど」

「そういう意味じゃなくて...まあ、いいわ。それなら大丈夫だったってことでしょ」

「...?」


ヒジリは、自分の求めていた答えと違ったのか、少し不満げな顔をして、しかしすぐに元の顔に戻って、床に寝転がる。

いくら毎日掃除しているからと言っても、汚いと思うのだが?


「そうですわね...でも、どんなクラスが来ても、アイラがいたら絶対に勝てる気がしますけど」

「本当なら、ラピッドにも出てもらいたかったけど」

「無茶言わないで...」


シャルの、僕自身でも確かにと思ってしまうほど的確なことに続いて、ヒジリがとんでもないことを言いだした。


そもそも、競技にほとんど出ていること自体がおかしいのだ。

競技のスケジュールは基本的にどんどん進んでいくのだから、休憩をとる時間は少しだけ、ご飯を食べるどころの話ではないのだ。


まあ、自分の対戦はすぐに終わらして、他がやっている間に、という手も無くな無いが。


「そもそも、僕がいくら強いからって、人間なんだから、過労死とかで死んじゃうよ。もしくは魔力枯渇とか」

「それもそうね」


ヒジリはそれだけ言うと、空を眺めていた視線をフィールドに移す。

気のせいだったらいいんだけどさ、僕に対して冷たくない?

まあいいんだけどさ、他に友達が出来ているんだし。

僕も1人の時間がほしいと思っていたのだ。


...そうだ、サリナと僕の部屋を交換できないかルノウにかけあってみるか。

そうしたら、あの2人の仲はさらに進展するだろう。

僕はどこか1人部屋にでも入れてくれれば十分だ。

アリスもその部屋に置いておけば、完璧に1人の時間が出来る。

1人の時間が最高すぎて、部屋から出ないまであるな、これ。


「...なんか変なこと考えていないでしょうね」

「いや、別に」


僕が1人化計画を立てていると、ヒジリが疑惑の目でこちらを見てきた。

別に、どこも変じゃないと思うのだが。


とはいえ、僕も嘘をつくのが苦手なわけではない。元からね。

というか、現代では嘘をつかなければいけないような状況に生きてきたのだし、嘘は息を吸うように出てくる。いや、息をはくだったか。それとも、息をする?


まあ、それはどうでもいいのだ。


さて、僕は少し腹ごしらえと、日常に役立ちそうな魔法でも開発しようかな。


と、思っていた矢先だった。


「あの、俺と一緒に食事でもどうですか?」

「...えっと、僕?」

「はい、アイラさんです!」


立ち上がり、部屋に向かおうとした時だった。

誰かが僕の前に立ったと思ったら、弁当箱を両手に持った男が立っていた。その後ろには、さらに男2人。

計3人だ。


「なっ...」


後ろからヒジリの声が聞こえる。

弁当が羨ましいのだろうか。


確かに、いいにおいがする。ここはお言葉に甘えるとしよう。

そう考えた僕は、快く了承した。


すると、男子3人は目に見えて明るくなった。

もしかして、誰かにあげる予定があるから、僕で味見をしてもらおうとでも考えたのだろうか。

だとしたら、青春しているねえ。

しかし、普通は逆なような気もするが。


「じゃ、じゃあ、あっちで座って食べようか!」

「うん、そうだね」


左の男が指定したのは、ここから少しだけ離れた、テーブルが1つ、椅子が4つある場所だった。

確かに、この人数なら、誰かの迷惑になることもない。

こういった気配りができるのなら、この子の恋はきっとうまくできるのだろう。


「ちょっ」


ヒジリの慌てたような声が聞こえる。これから作戦会議でもしようとしていたのだろうか。だとしたら申し訳ないことをしたが、それはシャルとしてほしい。僕はそれを後で聞くとしよう。


「シャル、僕の代わりに会議しといてね」

「会議?

え、ええ。何のことかわからないけれど、わかりましたわ」


これでオッケーだ。





指定された椅子に座り、弁当を持っていた男が包みを開ける。

中から出てきたのは、重箱のような箱だった。もしかしてだが、この世界にはだいぶ昔に日本人でも来たのだろうか。

そう疑わざるを得ないような状況に何度も出会っているのだが。


しかし、この弁当は非常にうまく出来ている。

野菜もしっかりと入っていて、栄養面はばっちり。それでいて、食欲がわいてくるような見た目とにおい。

これは完璧だ。見た目は。

僕が作る弁当よりも上手な気がする。


「これ、君が作ったの?」

「あ、ああ!

俺が作ったんだ。どうかな...?」

「すっごくいいと思う!」

「そ、そうか!」


弁当を開けた男が照れている。

なるほど、こいつが作ったのか。少しだけ見直すとしよう。


「それじゃあ、さっそく食べてみていい?」

「も、もちろん!」


僕はさっそく、黄色い、卵焼きのようなものに手を伸ばす。

少ししっとりしているが、それもまた卵焼きに似ている。

そのまま口の中に入れると、口の中に甘さがいっぱいに広がり、噛むとうまみがあふれてくる。

こいつ、料理、出来るな?


「おいしいよ!」

「そ、それはよかった!」


これなら、もらった人も変なことは思わないだろう。感謝の言葉を素直に口にするだろうし、仮にその男に何も思っていなくとも、意識はするようになるだろう。

まあ、僕は試食をさせてもらったのだ。これ以上は食べない方がいいだろう。

幸い、まだ卵焼き1つだけだ。これだけなら、もし追求されても『味見をしたんだ』とかで誤魔化せるはず。


「ごちそうさま、おいしかったよ」

「いやぁ、喜んでもらえて...え、ごちそうさま?」

「うん。誰かにあげる予定だったんでしょ?

私がこれ以上食べるのも悪いし、ね。ほら、その子のところに行ってきなよ」

「え、あ、おう...」


僕がそういうと、男は弁当を片づけると、フラフラしながらどこかへ行ってしまった。

なんだか元気が無くなったようだが、もっと元気づけられるようなことを言えば良かっただろうか。


「お、おい待てよ!」

「ごめんね、アイラさん。僕達はこれで。また試食してくれたら嬉しいよ!」

「うん、おいしかったから、僕としても嬉しいよ」

「わかった。あいつに伝えておく。ありがとう」


付き添い(?)の2人も先ほどの男についていく。

廊下で肩を抱き合う3人。その後ろ姿を見ていると、昔の自分を思い出す。

僕にも昔、あんな、仲の良い友達がいたな、と。

昔のことなんて、思い出そうとしても思い出せないのに、こういった時に、突然思い出すもんだから、困ったもんだ。





「あれ、アイラ?」

「シャル。ヒジリは?」


さっきまでいたところに戻ってくると、既にそこにヒジリはいなかった。

いたのはシャルだけで、何かを考えている様子ではなく、ただボーっとしているように見えた。

こんなところで何をしているのだろう。


「何って、アイラを待っていたのですわよ。どうせ、あなたのことですし、ここに戻ってくるような気がしたので」

「...」


なんで僕の行動がわかるのだろう。まあ、それはいい。

そのことに関しては後で問い詰めるとしよう。


「それで、ヒジリは?」

「ヒジリなら、会場設営の手伝いですわ。何かしていないと、余計なこと考えちゃう、って言っていましたわね」

「そっか。ありがとう」


シャルのその情報を聞き、今もなお、大人が集まって準備しているフィールドに足を踏み入れる。

ここにヒジリがいるのかどうかは、シャルが言っていたとはいえ、確証を持てないな...。


中に入ると、そこでは、決勝戦に向けて、ルノウが壊れないようにフィールドを補強している最中だった。

お手数をおかけします。多分、私のせいなんだろうし。


「あら、アイラじゃない。まだ準備は終わってないから、来ても何もできないわよ?」

「あ、別に手伝いに来たわけじゃなくて」

「あら、他に用事?」

「はい」


僕がそういうと、ルノウは少しだけ考えるそぶりを見せ、何かを察したかのような顔になる。


「そういえば、ついさっきヒジリが来たわね。何か手伝わせてくれって」

「そうなんですか」

「でも、手伝えることなんてないから、返しちゃった。でも、ここに来るってことは、素直に帰ってないのね?」

「ええ、まあ、そんなところです」


僕がそういうと、ルノウは悪戯を思いついたような顔になった。最悪だ。


僕が危機感を感じていると、ルノウは出口を指さす。


「あの...?」

「ヒジリが出て言った方向よ。まあ、どこかで方向転換しているかもしれないから、あんまり有用な情報じゃないけどね」

「ありがとうございます」


ルノウにそういうと、僕はルノウに何か余計なことを言われないようにすぐさま行動に移す。

あの顔をしたってことは、少なからず僕にとって余計なことしかしない顔だ。


「ふふ...」





フィールドを出た僕は、すぐさまヒジリを探す。

スキルを使うのは、なんだかストーカーみたいで後ろめたかったのだが、今はもう気にしている暇は無い。

ルノウも恐らく探しに出るだろう。ならば、事態は一刻を争う。


スキル発動...。


いた。...けど、あそこは僕も行ったことがないな。

念のため、ルノウの場所も確認しておくか。


しかし、ルノウの場所は変化していない。何が狙いなのかまったくわからないのだが。


...まあ、今どうでもいいだろう。動いていないというのなら、僕がそこまで警戒する必要もないかもしれない。

急いで反応があった場所に向かう僕。

道中、誰かに話しかけられた気がするが、気のせいだろう。





「いた、ヒジリ...」


ヒジリがいた場所は、ただの更地。こんな場所に何をしに来たのだろうか。

とにかく、それは後で聞けばいいか。もう少しで準備も終わるだろう。それまでには間に合わせないと。


「ヒジリ」

「...アイラ?」


ヒジリに話しかけると、なんでお前がここに、みたいな顔をされた。

まあ、それは当然だろうな。僕だって、こんなところに来たのは初めてだ。


まだこの国を端から端まで調べたわけじゃない。


「ほら、帰るよ?」

「...いや」

「えぇ」


突然小学生のようになってしまったヒジリ。一体何が彼女をそこまで幼児退行させてしまったのだろうか。


「アイラは、あの男たちの誰かと付き合うんでしょ」

「...はい?」


どうしてそんな話に?

というか、あの男たちって...ああ、さっきの奴らか。


「あの人たちは、他に好きな人がいて、でも、お弁当をあげるのは恥ずかしいから、僕に勇気をもらいに来たんだよ」


残念ながら、僕が元気づけることはできなかったが。あの2人が上手く立ち直らせてくれたことを祈る。


しかし、僕が誰かと付き合う、か。

...想像できないな。女の子相手ならまだしも、男相手とはそういう関係になる気は全く起きないな。どうしてかは知らんが。

いや、どうしても何も、僕が男だからに決まっているだろうが。何を思っているんだ、僕は...。


...1人称も、僕から私にした方がいいのかな。


それは追々考えるとしよう。今はヒジリだ。


「...どういうこと?」


ヒジリは、自分の予想している考えとまったく違う答えが返ってきてしまったのか、鳩が豆鉄砲くらったような顔をしている。

実際にこの目で見ることになるとは思わなかったが。


「だから、あの人たちは他に好きな人がいるんだって」

「...そうなんだ...少し安心したかも」

「え、ごめん、最後の方良く聞こえなかったんだけど...」

「なんでもない!

ほら、さっさと戻るわよ」


ヒジリは、そういうと、心なしか上機嫌に、僕が来た道を戻っていく。

何を言ったのかは気になるが、まあ、この際だ。それはどうでもいいだろう。

今は、こうしてまたヒジリと歩けるようになっただけで、僕は楽しいんだし。


...それにしても。


「何かを忘れているような...?」



最近、携帯が小さくなってきたような気がするんですけど、勘違いでしょうか。


リズムゲームをしていると、指と指がぶつかって邪魔で仕方がありません。

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