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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第2章 学校編
45/79

34 魔眼って何それかっこいい

「魔眼?」

「ええ、そうよ」


あの『浄化の儀』から既に2週間、学院の授業も再開し、いつもと変わらない日々を過ごしていた。

変化したことと言えば、この、『毎日ルノウ会長のお風呂の世話をする』ということである。


これ、卒業までするのだろうか。


「その魔眼は、目からとんでもない魔力の塊の何かを打ち出すだとか、睨みつけた相手の動きを縛る

だとか、いろんな噂があるんだけど、そんな魔眼の持ち主がこの近くにいるみたい」

「へぇ...」

「...会いに行っちゃだめよ、って言っても、アイラは行くんでしょうけど」

「...まあ、確かに」


会長も僕に体を洗われることを恥ずかしいと思わなくなったのか、いつもの顔で話をする。

僕としては、僕に洗われることに慣れるより、自分で洗うことに慣れてほしかった。


とはいえ、僕がこうして洗っていなかったら得られなかった情報かもしれない。

そこについては感謝しよう。


「でも、行くのなら条件があるわ」

「条件?」

「ええ」


はて、建物を破壊しちゃいけないとか、そんな理由だろうか。

まだ魔眼の持ち主が物騒な人だと決まったわけじゃないのだが。


というか、どこにいるのかもまだ定かではないのだ。


「私を含めて、最低2人は連れて行きなさい」

「てことは、あと1人は、ってことか」

「その通り」


1人で行動しない分、情報を集めるのはたしかに早い。

僕のスキルで場所自体はわかっても、能力自体はわからないのだ。


「でも、そうなると...」


会長と同レベルの誰かを連れていくのが1番良いのだが、そんな人は思いつかない。


ヒジリは少し戦力面に不安があるし、そもそも僕達と上手く協力が出来るとは思えない。

ヒジリはマイペースすぎるのだ。


他に強い人と言えば、僕のパーティーメンバーになるのだが、正直言って、最近の実力はユサしか把握していない。

まあ、こういったことに長けているのは間違いなくリナなのだが。

ユサはすぐに突っ込んでいきそうだし、サリナは寝そうだ。

...我ながら、良くこの4人で生活してきたと思うよ。まあ、リナのおかげなんだろうけど。


じゃあ、これが終わったらリナのところにでも行ってみようか。

それで何か用事があったら、シャルにでも。


「最悪、スキルで僕の分身でも...」

「ねえ、早く洗ってちょうだい」

「あ、うん」







「ってわけなんだけど」

「喜んでお供させていただきます」


ルノウ会長のお世話も終わり、普段ならこのまま帰って寝るところなのだが、魔眼の件を早く話しておきたかった僕は、リナ達の部屋を訪れていた。


「しかしご主人様」

「うん?」

「私で大丈夫でしょうか」

「...どういうこと?」


正直言って、こういったことにはリナが1番向いていると思ったのだが。


リナに聞くと、リナは少し言いずらそうに言った。


「私では、戦力不足かと思われます。もし、その魔眼の使い手が私に奇襲をしかけてきた場合、私では対処しきれないと思うのです」

「ああ、そういうことか」


なるほど、確かに、こちらが向こうのことを嗅ぎまわっていることがばれたら、つぶしに来るだろう。

誰だってそうするだろう。僕なら逃げるが。


でも、その点に関しては心配ない。


「大丈夫、そのことについては僕に任せてほしい」

「ご主人様にですか?」

「うん。もしリナに奇襲をしかけてきても、僕が全力で対応するよ」

「...ご主人様がそうおっしゃるなら。わかりました、このリナ、誠心誠意努めさせていただきます」

「あはは...頼むよ」


少し大げさな気がするが、まあいいだろう。これがリナなのだし。

しかし、出会った最初は普通だった気がするのだが、何かあったんだろうか。


「...どうかされましたか、ご主人様」

「あ、いや、何でもないよ。それじゃ、おやすみ」

「はい、おやすみなさいませ」


リナにおやすみの挨拶をし、部屋から出る。

まあ、そのうち聞くとしよう。急がなくてもどうせ3年後には聞ける時間が山ほどあるだろうし。


そのまま僕は、自室へと戻って行った。






この世界は、基本現代と変わらない日月年で回っている。

1年は基本365日だし、1月も29~31日だ。1週間は7日で、そのうち学院が休みなのが、最後の3日間。

休みの日が多いというのが、現代とは違う点だろうか。


さて、この休みの3日間利用しない手は無い。


僕はさっそく、休みの日に会長を誘ってみることにした。





「そうね、確かに、行くとしたら休みの日よね」

「だから、ルノウのいける日にしたいなって思って」

「てっきりアイラのことだから、伝えたその日にでも行くのかと思っていたわ」

「...」


地下4階、毎日ここで洗っているルノウの体は、僕が洗い続けたことによって、さらに輝きを増していた。

こんなに綺麗な人がいていいんだろうか。

正直に言おう。現代の女性では誰も太刀打ちできないだろう。2次元なんて話にならない。


「それで、もう1人は見つかったの?」

「情報を集めるのに長けている人物が1人いたから、その人を」

「あら、それはよかったわね」


会長の背中をこする。

たまに、この綺麗な背中を見ていると、いたずらをしたくなる。


「ひゃあっ!?」


こんな風に、背中を冷たくした指でなぞるとかね。


とはいえ、そんなことをしたら。


「あ、の、ねぇ...私はそんなふざけた話をしているつもりはなかったんだけれど...?」

「す、すみません...」


今日はまだ静かな方だが、ひどい時は魔法を打ち込んでくることもある。

1番ひどかったのは初めてやった時だ。

あの時は本当に死ぬかと思った。


どれだけひどかったのかは、思い出したくないぐらいだ。

それだけの経験をしてもするのは、全て会長が可愛いからだと思う。

会長の可愛さは世界は狂わせるだろう。

現代にいたら第3次世界大戦だ。


それは言いすぎか。


「それじゃあ、さっそく次の休みにでも行きましょうか」

「え、ルノウの用事は...」

「私の用事は普段からそんなにたまっていないし、生徒の平和を脅かす可能性のあるものを、放ってはおけないもの」

「...」


なるほど、会長はかっこいいなあ。


「さ、体をあっためたら戻るわよ」

「うん」






ルノウとの毎日の夜の営みで、体のリフレッシュは出来ないが、心のリフレッシュをし終えた僕は、部屋に戻ってくるなり。


「ねえ、アイラ、なんか隠してない?」

「えっ!?」







約束の休日の日。

僕はリナを連れて、朝早くに会長室を訪れていた。

時刻にして7時だが...ルノウ会長なら起きているだろう。


そう信じてドアを開けるが、誰もいない。


「...あれ?」

「もしかして、用事があって今はいないのかもしれないですね」

「なるほど」


確かに、ルノウ会長なら、休養の用事があったとかで、いない可能性もある。

しかし、僕達も早くに来すぎたという点を含めても、会長は約束を破るような人ではないはずだが。

というか、ルノウと呼ぶよりも、会長と呼ぶ方が慣れているなあ。


「...スキル使うか」


感応スキルを使い、会長がどこにいるのかを探る。

すると、思いがけない場所から反応があった。


奥の部屋だ。

しかし、寝ているわけでもないらしい。先ほどから細かに動いている。

何をしているのだろうか...ナニをしているのだろうか。


「リナ、会長は奥の部屋にいるみたいだから、呼んでもらえる?」

「わかりました」


なんとなく僕が行くのはいけないような気がしたので、リナに行かせる。


リナが扉を開けて入り、数秒の間があった後聞こえてきたのは、会長の楽しそうな声とリナの困ったような声だった。


一体何をしているのだろうか。


「仕方ない、入るとしよう」


会長とリナの声からして、ナニをしている可能性は無くなった。

しかし、会長は楽しそうでリナは困っているというのは、一体何をしているのだろうか。

逆に謎だ。


これならまだ、リナのつやっぽい声が聞こえたほうが想像がたやすい。

まあ、数秒でそんなことになったのだとしたら、それもそれで謎なのだが。


「入るよ、会長」

「あ、アイラッ!?」

「あ、ご主人様...」


そこには、ベッドの上に大量の服がばらまかれており、会長はいろんな服を両手に持ち、リナはその会長に押し倒されている光景が広がっていた。


「...」

「ち、違うの、これはね?」

「会長が服を選んでいたのですが、私が入ったとたん、私を着せ替え人形にしました」

「ちょっ」

「なるほど。会長はお留守番ですかね」

「そ、それはいや!」


とりあえず、なんで服が散乱しているのかを聞かないと。


散らばっている服を適当に拾いリナに渡す。


「これ、たぶんそこのクローゼットの中にあったやつだから、そこに片づけておいて」

「わかりました」

「ね、ねえアイラ、これにはわけがあって...」


僕とリナが片づけている間、会長にはおとなしく座っていてもらおう。

なんとなくなのだが、会長がこういうことを出来るとは思えない。


最初に出会った時の強キャラ感はどこへいったのだろうか。


「それで、なんで服が散らばっていたんですか?」

「ふ、服を選んでて...」

「服を...なるほど」


確かに、現代でも女の子の準備は長かった。

だが、別にデートでもないのに、そんなに服を選ぶ必要があるだろうか。


「だ、だって、友達と出かけるのは初めてなんだもん...」


もん。会長が。もん。


「...わかりました。リナに選ばせるので、それを着てください」

「え、ええ。わかったわ」


リナに服を選ばせることを伝え、そのことをリナにも言い、僕は部屋から出る。


風呂場で見る体は、普通にエロいのだが、着替えている最中に見える肌にも、また別のエロさがある。

しかし、それを見るのは今ではない。

そう、今ではないのだ。


いずれ来るだろう。


というか、風呂場に入るときに服を脱いだりするから、その時に見ていると言えば見ているのだが。

その時の、僕の視線に気づいた時の、顔を赤らめながら『何よ』と言いつつ脱ぐ姿と言ったらもう。

興奮せざるを得ない。


興奮せざるを得ない(2回目)。


「...まあ、今日の目的はルノウ会長の肌を見ることじゃないし」


そう、今日は町に出て、魔眼の持ち主を探さないといけない。

そのためにも、この街の中でそれっぽい魔力の反応をしめしている者を探しているのだが、意外といない。

この国全体まで探査エリアを探しているのだが。


「まあ、のんびりと探せばいいよね」

作者の趣味がばれそう。


アイラは欲望に忠実ではありますが、節操がないわけじゃないです。

え、矛盾していないかって?

いいんです。多分。

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