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一度でいいからと望んだであろう世界で  作者: すずはっぱ
第2章 学校編
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23 シャルって強かったんだね

「アイラさん、おっはようございます」

「あ、おはようございます」


大会当日、部屋から出た僕は、ルノウ会長にさっそくあった。

これから体育館に集合して会うのだし、その時でもいいだろうに、僕に改めて何か用事だろうか。


「あの、何かあったんですか?」

「いいえ、アイラさんの顔を見ておきたくて」


え、何、やっぱり会長ルート?


と思ったら、会長は僕の近くに来て、囁くように言った。


「エキシビションマッチ、楽しみにしていますね」

「あ...はい」


そして、笑顔でその場を去っていく。


うーむ、それを男子にはしないんだろうけど、もし男子にやったら瞬殺なんだろうなあ。

いや、僕も中身は男子なんだけど。ついこの間まで学生だった身だけど。


「アイラ、どうかしたの?」

「いや、会長がいてさ」


部屋が同じのヒジリが、ドアを開けて出てきた。

もし仮にドアにはりついていても聞こえないような声量だったし、そこの心配は無いだろう。


これから体育館に向かうので、ヒジリもしっかりと制服だ。

...僕は、それに似せた服を造った。


「でも、相変わらず見てもその服ちょっと違うよね」

「うーん、やっぱり予備の制服が無かったんじゃない?」


ヒジリが着てる制服は、白のシャツに黒のマントみたいなのをはおっている形だ。

胸元の赤のリボンが良いアクセントだ。下はスカートだけど、そっちは特に変わりは無い。

ちなみに僕は、なんかそれを改造したかのような服だ。

上も下も、着心地を上げるために素材を変更しているので、微妙な見た目の違いで出てしまう。

まあ。そんなことはどうでもいい。


「それより、ヒジリなんか髪の毛ぼさぼさじゃない?」

「あれ、ホント?」


遠目から見たら問題は無いような感じなのだが、近くに来るとところどころはねている。

A型の僕の血が騒ぐのか。制服のポケット(ヒジリの正規の制服には無い)から櫛を出す。


「歩きながらセットしようか」

「えへへ、ありがとう」


嬉しそうに歩くヒジリ。

まあ、友達っぽくていいか。





『みなさん、ようこそお集まりいただきました』


体育館に集まった僕達の前で、ではない。

外の特設会場から、会長の声がスピーカー(魔法による)越しに響く。

体育館に集まった僕達は、それを聞きながら、準備をするということだ。


「ヒジリは何してるの?」

「私は決勝まですることないから昼寝かな」


なるほど。確かに、ヒジリは決勝まですることがない。

それを言ってしまうと、僕もすることが無いのだが。


「僕は、シャルの応援でもしようかな」

「あら、嬉しいですわね」


シャルは嬉しそうに僕に抱きつく。

あは、ちょっと幸せ。


「あら、何かいいにおいがしますわね」

「あ、これは僕が作ったシャンプーとコンディショナーとボディソープのおかげだよ」

「なんですのそれ! 私にも使わせてくださいな!」

「もちろん」


ふふ、これでもうこの3点セット無しでは生きていけない体になってしまうだろう。

というか、そろそろお風呂を作る予定をたてておかないと。


「シャルの試合は?」

「第3試合ですわね」

「最初だね」


1対1の試合を、1つの会場で戦っていたら日が暮れてしまう。

なので、会場はいくつかにわかれている。

会場は全部で6つ。試合と会場の番号には関係は無いため、事前にシャルの試合はどこの会場なのか知っておく必要がある。


「それじゃあ、行ってきますわね」

「はい」


とはいえ、シャルの試合会場はかなり近い。

なので、そんなに急がなくてもいいだろうに、シャルはもう行くみたいだ。

気合い十分って感じだろうか。


『皆様には、我が学院の生徒の晴れ舞台を見届けていただけたら、幸いです』


会長は外で挨拶をしている。

挨拶の相手は、この学院に通っている生徒の親や、こういったバトルものが好きな人たち。

そして、国王だ。


僕もまだ直接見たことは無いが、女の人らしい。名前はサイ。この国と同じだ。

これまでに行った国でも、国名と国王の名前はほとんどの確率で同じだった。

何かしらのルールでもあるのかもしれない。


ちなみに、まだ20歳だとか。


「さて、シャルの試合は」


会長の挨拶を聞いていたら、意外と良い時間になっていた。

少し早歩きで場所を移動する。


シャルの試合会場は第3会場。

会場はどこも同じような作りになっている。コロシアムのような形に似ている。

フィールドも意外と広く、50mはあるだろう。


「あ、シャルが出てきた」


このフィールドに出てくる入口は1つしかない。

その入口から2人が出てきた。


シャルの顔に緊張の様子は見られない。

逆に相手は、緊張のしすぎで顔がこわばっている。

これは、戦う前から結果は分かっているようなものだ。


それをシャルも察しているのか、ちらりと相手を見たのち、興味を失ったかのような顔をした。


シャル、それはいくらなんでも可哀そうだが...。

まあ、シャルは強い人を求めているからな。ヒジリみたいな。

ただ、ヒジリはちょっと強すぎるとも思うぞ。


「試合開始!」


どこからともなく響いた開始のアナウンス。

これは魔法でも使っているのだろうか。


シャルは魔法を主軸とした戦闘スタイル。

逆に、今回の対戦相手は剣を主軸としたスタイルだ。


相手は自身に強化魔法をかける。

見た感じ、俊敏性の強化だと思う。

それに対し、シャルは魔法の詠唱を開始する。

シャルの詠唱速度はかなりのものだと思うのだが、意外と時間をかけている。

何か大技を使うつもりだろうか。


「はっ」


詠唱が遅いとみたのか、相手は即座に接近する。

しかし、それはシャルにはよまれていたようだ。


「甘いですわね」


シャルは自身に防御魔法を張り、超近距離で爆発を起こす。

その爆発をもろに受けた相手は、フィールドの端の方まで吹っ飛んでいく。


腕輪で威力を抑えられているのか、気絶で済んだようだ。

しかし、実戦だったら死んでいた。この事実は変わらない。


「...フン」


シャルは、弱い奴には興味が本当に無いのだろう。

気絶した相手に何もせずに、そのまま会場を出て行ってしまった。


しかし、観客は盛り上がる。

ああ言った派手な方が、観客受けは良いのか。

僕はまた1つ賢くなった。


「さて、次のシャルの試合まで少し時間があるなあ」


そんな感じで、僕はシャルの専属の応援のようなことをしていた。


そして、シャルの3回目の試合の時。


「...まさか、相手がユサだなんて」


シャルと一緒に出てきたのは、ユサだった。


「あなた、アイラと一緒にいた子ですわね」

「えっと、誰?」

「私を知らないんですの? 無知な子」


始まる前から火花を散らさないでほしい。片方は僕の家族のような存在だし、片方は僕の友達だ。これからは少なからず顔を合わせることも多くなるだろう。


「試合開始!」


いつも変わらない声の開始の合図。

それが鳴り響いた瞬間、2人はすぐに距離を取った。

ユサが手にしているのは、自身の身には少し不釣り合いな長剣。

魔法が得意だというのは聞いたことが無いし、近づいていくのが良いとは思うのだが、ユサなりの考えがあるのだろう。


この2人のバトルはなかなか、見応えのある試合になるかもしれない。


「おや、ユサがやってるのね」

「あれ、ヒジリ?」


寝ていたんじゃなかったのか。


「いや、なんか面白そうな気配がしてきた」

「あ、そう...」


まあ、ヒジリならそうだとしてもおかしくは無い。


独自のアンテナとか持ってそう。体内に。


「でも、この組み合わせだとシャルは少し厳しいかもしれないわね」

「それはまたどうして」


今までのシャルの動きを見ていたら、ユサとは良い勝負をすると思うのだが。


「今までのユサとの訓練、私魔法を主体としたスタイルでやることが多かったから、慣れがあると思うのよ」

「なるほど」


仮にも前回優勝者と訓練していたのを忘れていた。


「でもまあ、ユサは油断することが多いんだよなあ」

「...」


それは想像がつく。

この国に来る前からその兆候はあったし。


だけど、ユサが強くなっていることは、我が子のように嬉しい。

頑張れ、ユサ。

さっきまでシャルの応援をしていたけど、今回は2人の応援をしよう。

どっちかなんて選べないしね。


コンタクトつけながら扇風機をいつも通りつけてたら乾いて死にそうになりそうでした。

危険ですね。

あと、コンタクトつけながら寝ないようにも気を付けないといけません。


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