22 僕は乗り気じゃない大会が始まるようです
シャワー騒動からはや1週間。
現在、学院生徒全員が、体育館に集められていた。
内容は、最強決定戦の開催。
物騒だ。
「今回は、会長である私も参加いたします」
ルノウ会長のその一言で、体育館は騒がしくなる。
会長が出ることにより、ライバル意識を燃やす人や、意気消沈する人、他人任せにする人などだ。
まあ別に、僕からしたら関係ないのだが。
「会長が出るんですか。これは燃えますねえ」
隣にいるヒジリが、闘志を燃やしている。
楽しそうなこって。
改めて、体育館のを視線だけで見渡す。
学院の生徒の総数は約1000人。大体のクラスが男子20人、女子20人で構成されているため、全部で25クラスはあることになる。
そんな中から1位になったヒジリ。やはり、最強はだてじゃないようだ。
しかし、僕は出ないのだから関係ない。何か大事なことを忘れているような気がしないでもないが、まあどうでもいいことだから憶えて無いのだろう。
「そして、前回優勝者のヒジリさんは、決勝戦への直接シードとなります」
「ぶー」
会長の説明を、ただ1人、ヒジリがブーイングしている。
しかし、まわりの生徒も、会長もそれを気にした様子はない。
滑稽だ。
「そして、数時間の休憩の後、ヒジリさんと謎の美少女とのエキシビションマッチが開催されるので、そちらも楽しみにしていてください」
会長のその一言で、また体育館内はざわつく。
そう、謎の美少は僕のことだ。
しかし、会長さんも僕のこと美少女だなんて、嬉しいなあ。
「なんでアイラが嬉しそうなの?」
「あっ、いや、見るのが楽しみだなあって」
「ふーん」
ヒジリは戦闘狂だ。見るのが楽しみなんてわからないだろう。
まあ、僕も、ゲームとかを見てるのではなく、自分がしたい派だ。
僕だったらもっとうまくやるのに、とか思ってしまう。
「それでは、各自教室に戻ってください」
会長は最後に、僕にウインクをした。
まさか、会長ルート...。
「まあ、そういうわけだ」
教室に戻ってきた僕達は、サンバール先生からの軽い説明を受けていた。
試合は1対1。試合をする際は、双方会長特製の腕輪を付ける。対戦相手は、前日に自分の部屋に紙が届くから、それを確認すること。以上だ。
「腕輪って?」
ヒジリは、教室に帰ってきてすぐに、睡眠に入ってしまった。
まるで、サンバール先生の話は興味が無いかのようだが、実際無いのだろう。
なので、その隣にいるしゃるに聞くことに。
「腕輪は、会長特製の腕輪で、一定量の魔力しか流れないようになっていますわ。魔力量の差でごり押しされては、技術がないのに強いことになってしまいますから」
「なるほど」
つまり、エキシビションマッチでは、それを付けないでやりたいことを伝えるか、無効化するなんらかの仕掛けが必要になるな。
ばれたら怒られるのだろうが、怒られなければいいのだ。問題はない。
「しかし、ヒジリはよく寝ますわね」
「そうだね...」
ヒジリは教室にいるときはほとんど寝ている。
起きているのはホントにまれだ。
まあ、起きていても起きていなくても、特に変わりは無いのだが。
「それで、アイラは今回の大会、自信はおありで?」
「あー、どうかな」
大会自体に出ないことは別に言ってもいいだろうか。
うん、いいよな。嘘はついてないし。
「いや、今回は出ないんだ。僕はそんなに強くないし、この学院にも来たばっかりだし」
「あら、そうなんですの? 残念ですわね」
シャルはそういうと、本当に残念そうな顔をした。
ヒジリといい、シャルといい、戦闘バカしかいないのか、このクラスには。
「あ、そうだ」
サリナたちの様子も見に行かなくては。
ユサは間違いなく出るだろうが、リナはどうかわからない。
もちろん、怪我はしてほしくないから、新しく造った防御魔法は教えておくとして、何か他に出来ることがあったらするとしよう。
リナには、僕が、会長が言っていた最後のエキシビションマッチに出るということも伝えておかないと。
リナには、隠し事をしない方が得な気がする。
「え、アイラ出ないの?」
「うん。そう。だから、ヒジリは僕の分まで頑張ってね」
「うん、任せて」
僕が適当に応援の言葉を口にすると、ヒジリは今から闘志を燃やしていた。
うん、早いよ。今からだと始まるときには燃え尽きちゃうんじゃないかな。
「わ、私にはにもないんですの?」
「あ、シャルも頑張ってね」
「ふふ、もちろんですわ!」
シャルも案外さみしがり屋さんかな?
まあそれはいいとして、今日は少しやることがある。部屋に戻ったら作業に入ろう。
「アイラ、何してるの?」
「集中力をつけるための特訓だよ」
先生の話も終わり、部屋に戻ってきた僕はさっそく、作業に取り掛かっていた。
その作業は、強化魔法の開発。
前回聞いた、全種類の強化魔法同時にかける、という話は、とんでもなくリスクをはらんでいるとのことだったので、僕がリスクのない魔法を作成するのだ。
そのために、ベッドの上で座り込んで、考えているのだ。
ヒジリには、集中力とごまかしておいた。
まあ、嘘はついてない。
この作業には集中力が必要だから。
「楽しそうじゃないね」
バーサーカーじゃんかもう。
ほら、お外に行って遊んできなさい。
あ、そうだ。
「ねえ、ヒジリ」
「うん?」
「クラスが違っても、訓練はしていいんだよね?」
「うん、そうだけど」
よし、それなら。
「ちょっと訓練に付き合ってほしいって言ってる子がいるんだけど」
「ふむふむ、それは興味深いですな」
そんなわけで。
ユサがいる部屋にム向かった僕達。
部屋の扉を開けると、予想通り、そこにはユサがいた。
「あれ、どうしたの、ご主人様」
「ご主人様?」
あ、そうか。ヒジリは僕の奴隷の存在を知らなかったか。
まあ、本当は奴隷なんて造るつもりはなかったんだけど。
「紹介するね。僕の奴隷の1人の、ユサ」
「はじめまして、ユサです!」
「あ、ヒジリです」
そんなわけで、ユサには、訓練に付き合ってくれる人だということを、ヒジリには、これがその子だということをそれぞれに説明した。
「なるほど。それじゃあ、さっそくやろうか」
「うん!」
ユサとヒジリは、駆け足で外へと向かった。
うん、2人ともバーサーカー。
「どうかなされましたか、ご主人様」
「あ、リナ。ちょうどいいところに」
ここに来たついでに、1つ目的を果たしちゃおう。
防御魔法を教えておくのだ。
「ありがとうございました、ご主人様」
「ううん、気にしないで。サリナとユサにも、教えておいてね」
「わかりました」
ものの数分で教え終わった僕は、部屋を後にし、自室へと戻ってきた。
感応スキルによると、ヒジリとユサはいまだに激しくやっているようだ。
決して、混ざりたいとは思わない。
さて、続きだ。
「やっぱ、時間の短縮はするべきだよね」
この前造った防御魔法の時は、僕以外の人も使うから、魔力消費も考えないといけなかったけど、今回は違う。僕だけが使うのだ。
最初はヒジリにも使ってもらうかなとも思ったが、既存の魔法の危険性を確かめ、その魔法を改ざんするだけでいいかなと思ったのである。
「...」
しかし、なかなかに上手くいかない。
今回は強敵のようだ。
創造スキルは、便利だが万能というわけではない。
シャンプーやコンディショナーだって、この世界に素材がなければ造れないし、そもそもの知識がないと、漠然とした想像はできても、創造までは至らない。
そんなスキルなのだ。
今回の強化魔法も、それに近い。
「だけど、糸口はつかめてきたぞ」
わずかだが、土台は出来てきた。
あとはこれをなんとか形にするのだが。
「まあ、急がなくてもいいかな」
ベッドに身を投げ、睡眠をとることにした僕だった。
欲望には忠実である。
PC!
君はなんて便利なんだ!
こんなにも早く打てるなんて!
これなら1回に1万文字は余裕かもしれない(今回は3千文字)




