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追憶の辺獄  作者: 香取 仙狐
第二章 幻日の箱庭
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終演 ending

「アルラト、ナナフシギ? なんですのそれ」


 アフェルディータが、フェイルツィーオのスマートフォンに映し出された文字を読み上げる。


「アーカイブだ。今から十五年前に閉鎖したサイトのな」


 チェン兄妹は、アルラト県エスイナ市を訪れていた。


 聞き込みの末に得られたのは、ヤアタマナ山の麓に時折現れるという、薔薇園の存在だった。


 ――季節、天候、時間帯に関係なく、度々現れる薔薇園。

 そんな、よくある都市伝説の類。あるいは怪談話。


 何の目的で現れるのか。

 誰が所有し、あるいは管理しているのか。その詳細は、一切が不明だった。


「ふぅん」


 アフェルディータは、つまらなそうに画面を見下ろす。


「で、まさかこの『薔薇園』が、『幻日の箱庭』と関係あるとでも言うんじゃありませんわよねぇ?」

「ここからなら、徒歩三十分以内といったところか」


 フェイルツィーオはスマートフォンをしまうと、車を降りた。


 二人の目の前に広がるのは、見渡す限りの草原。


 枯れて茶色く変色した草の上には、降ったばかりの雪が薄く積もっている。


「それで、どこにあるんですの? 薔薇園。どこにも見当たりませんわよ」


 アフェルディータは手を息で温めながら、フェイルツィーオの後を追いかける。


「待て。義眼で探る」


 フェイルツィーオが足を止め、義眼へ魔力を流し込んだ瞬間だった――。


「――え?」


 突如として、二人の眼前にそれは現れた。


「……兄様!」


 煤けた煉瓦壁。

 広い敷地を四方から囲うようにそびえ立ち、その内側には、何本もの高い木々が生い茂っている。


「ま、さか……これが噂の……」


 アフェルディータが息を呑む。


「薔薇園……!」


 彼女は壁際まで駆け寄り、確かめるように手を伸ばした。


 しかし――バチッ!

 強烈な火花が弾け、指先に鋭い痺れが走った。

 慌ててアフェルディータが手を引っ込める。


「な、何ですの〜〜〜、これ!?」


 アフェルディータは手を振りながら、壁の上方を見上げた。


「結界だろうな。それも、かなり高度な」


 フェイルツィーオが、忌々しげに眉を顰める。


「恐らく、ここが件の薔薇園だ。都市伝説でも怪異でもない。人為的――そう、魔術師によって作られたものだろう」

「……それって」


 アフェルディータが呟く。

 フェイルツィーオは、その先を言わせなかった。


「とりあえず、先を急ぐぞ」


 そう言って、壁へ視線を戻す。


「魔術師だって人間だ。出入りがあるとするなら、入り口の一つくらいあるはずだ」


 フェイルツィーオは壁伝いに歩き始めた。

 アフェルディータも慌てて、その後を追う。


 ――その時だった。


「雪那――!!」


 おかっぱ髪の少女が、二人の目の前を駆け抜けていった。


「……今のは」


 つい先ほどまで、そこには何もなかった。

 気配すら感じなかったはずなのに。


「行くぞ!」


 フェイルツィーオとアフェルディータは、互いに目配せを交わす。


 そして、少女の後を追って走り出した。

スランプゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ到来ィィィィィィィィィイ!!!!!!!!

次で終わるから!!!!次で終わるから!!!!見捨てないでくだしあァァァァァァァァァァア!!!!!!!!(うるせえよ)

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