↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶の辺獄  作者: 香取 仙狐
第二章 幻日の箱庭
67/93

終演 part.5

「ンッフフ、フフ……♡ エフィムく〜ん、エフィムくぅぅぅうん♡」

「くっ……!」


 黒煙を吐き出す焔と、明らかに様子のおかしな美青年。

 エフィムは、追い込まれていた。


「――光よ、我が命に従いて敵を討たん」


 回り込まれれば、その分逃げる。

 足元へ向け光の矢を放ち、足を止める。

 それでも、少しずつ追い込まれていた。


「……っ!」


 右へ逃げる。先回りされる。

 今度は、左へ跳ぶ。先読みされている。


「あはははは、楽しいねエフィムくん」

「くっ!」


 まるで、エフィムの動きを、最初から全て読んでいるかのように。

 猫に追われるネズミとは、こんな気持ちなのだろうか。


「はあ……はぁっ……!」


 息が上がる。魔力も体力も限界に近い。

 それでも、止まればそこで終わる。


「ンッフフフフフフフ。こっちにおいでよ、お兄さんといいことしようよ♡」


 この手の変態には、慣れている。

 だが――慣れているからと言って、受け入れられるわけではない。


「くっ……! 触るな!」

「ンッフフ、フフフ♡」


 逃げ場がない。だが、そのとき――空気が変わった。


 ――強い耳鳴りと眩暈、そして頭を内側からカチ割るような頭痛。

 ぐにゃりと、あたり一面の空間が捩れるような、奇妙な感覚に襲われた。


「おっとぉ?」


 ウィリディアスの声さえ、遠く聞こえる。


「今更、お出ましなのかい?」


 気持ち悪い――吐き気と共に、強烈な眩暈が襲いかかる。足元が揺らぐ。


 思わず何かを掴んだ。指先で握り込んだのは、見事な装飾が施された臙脂色の上着。


「――僕のエフィムくんに何してんのさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。