↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶の辺獄  作者: 香取 仙狐
第二章 幻日の箱庭
54/93

Grand Guignol part.2

 エカチェリーナは、その足でウィリディアスの執務室へ向かっていた。


「――パパァ! リヒェンツァに襲われたの! あの娘、どうにかして!!」


 ウィリディアスは安楽椅子に腰掛けたまま、キョトンとした顔でエカチェリーナを見上げる。


「『イル・マット』は異性恋愛厳禁だけど、女の子同士の恋愛は大歓迎だけどぉ?」


 それで?

 そう言いたげに首を傾げ、わざとらしく肩を竦める。


「違う! そういうんじゃない! ワタシはキスすら、好きな男のために取っておいてるの!! なのに、あの変態が……!」

「へぇ?」


 怒りに震えるエカチェリーナの訴えを聞きながら、ウィリディアスは興味深そうに笑みを深めた。


「君ぃ、今の発言は撤回できないからね〜?」

「え?」

「好きな男のために、ナニ、かなぁ?」


 その一言で、エカチェリーナの顔が一気に青褪めた。


「つまり君は――“イル・マット”の理念に反旗を翻している。そういう解釈で、間違いはない?」


 ウィリディアスはゆっくりと椅子から立ち上がり、彼女を見下ろす。


「墓穴を掘るとは、まさにこのことだねぇ。ンッフフ」


 まるで子供のような笑み。

 しかし、その奥にあるものだけは、決して子供の純真さとは呼べない。


「……なっ! そ、それとこれとは別でしょう!? 今は――」

「は〜い、ダメ♡ 没収〜!」


 次の瞬間。

 エカチェリーナは、天井を見上げていた。


 何をされたのかまでは分からない。

 ただ、ろくでもないことをされたのだけは理解できた。


「僕は優しいから、君の魔力を一時的に封印するくらいしかしないけどぉ」


 ウィリディアスは、何事もなかったかのように微笑む。


「次やったら、どうなっても知らないよ〜?」


 ただ、それだけ。

 それだけのことで、全ては終わってしまうのだと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。