一匹狼 part.10
そこからの説明は、駆け足で行われた。
「つまり、あなた方は全員、ウィリディアスと何かしらの接点があると」
「ま、それでいけばアンタも当事者になるけどね〜」
バライバの指先が、ライツォフィオナへ向けられる。
「――私は、親友を探しています」
ライツォフィオナはソファから立ち上がった。
そして、その場に集う全員へ宣言するように、静かに声を響かせる。
「『イル・マット』の手によって連れ去られた可能性のある、大切な友を。ですから、魔術師育成協会に、私個人の依頼をお願いしたく参りました」
一瞬の間。
「ウィリディアスが捕縛、あるいは討伐されるのであれば、私は協力を惜しみません」
「ほう」
空蝉は片眉を上げる。
「貴様は、その親友とやらのために、人生を捧げているのか」
「ええ」
ライツォフィオナは迷いなく答えた。
「結婚し、子を授かっても……この想いが消えることはありませんでした。もう、何年経ったのかも分かりません。それでも、私は諦めるつもりはないのです」
「ふむ……」
空蝉はしばし黙り込み、やがて小さく笑った。
「人とは、げにをかしな生き物よな」
感心したように、静かに頷く。
「良かろう、この己が直々に力を貸して進ぜよう。“癒し係”として集めた信仰ポイントがちょうど貯まったところだ」
「信仰、ポイント……?」
エフィムが不思議そうに呟く。
「真剣に取り合わなくていいよ、エフィム坊ちゃん」
バライバが呆れたように手を振った。
「ともかく、これで決定でいいかいね」
バライバは改めて、集まった面々をぐるりと見渡した。
「異論なし」
リヒェンツァが即座に答える。
カレンデュラも静かに頷き、エフィムが小さく息を吐く。
「詳しい内容はメールで送るからさ。各自、明日の準備を整えておきな」
バライバはそう言うと、席を立って大きく伸びをする。
「明日、またここに集合。それまでに覚悟くらい決めておくんだね」
一瞬だけ、その場に沈黙が落ちる。
「……じゃ、解散だ。いつまでも居座ってないで、さっさと散りな」




