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驚いた ending
ひらひらと、枯葉蝶が舞う。
どこか優雅でありながら、淫美で艶かしい。
見る者の感情を静かに掻き立てる、ある種の魔術だった。
「ンッフフ」
掌ほどの大きさの蝶が、男の指先へそっと舞い降りる。
今し方、仕事を終えたかのように、静かに、されど確かに報酬を求めている。
「……へぇ、リヒェンツァが副会長ねぇ」
答えるように蝶が羽を広げた。花弁を思わせるその翅は、夜の帳へ溶け込むように滑らかだった。
「よくやったね、愛しのリ・リル」
蝶は小さく羽を震わせる。その仕草を満足の返事と受け取ったのか、男はふっと口元を緩めた。
「さてと。あの娘が、どう組織を転がすか見物だねぇ。『イル・マット』の元・指揮官としての実力を、存分に発揮してもらいたいものだ」
蝶は男の指先を離れると、ゆるやかな弧を描いて宙を巡る。
その軌跡はどこか落ち着きなく、不安を拭い切れない主人の心を代弁しているようでもあった。
「まぁ、焦ることはないさ」
男は窓越しに夜空を見上げ、愉快そうに目を細める。
「僕は、その時を待てばいい」
蝶は一度だけ男の周囲を旋回すると、唐突に枯葉のようにふわりと舞い落ちる。
夜風に溶けるように、その輪郭は黒へと滲み、やがて跡形もなく闇へと消えた。




