5.羽みがえり
?な部分も多いかと思いますが、細かいことは本編で答えあわせできたらいいなと思います。
リリィが赤ん坊のころから、
窓が空いているとこっそり部屋に入り込み、リリィの前に現れるようにしていた。
実は、私たちセント・イーグルは、通常、人の目には見えない。一定の神聖力をもつ者にしか、その姿は見えないようになっている。
まだ神聖力をうまく使えない赤ん坊に、私の姿を見えるようにするには、こちらの神聖力を多少消費しなければならない。
そのため、老いた身としては少し疲れるのだけれど、いざというときに頼ってもらうためにも、存在を知らせておく必要があると思ってのことだ。
リリィは、初めて目を合わせたときから、私を見ると笑ってくれた。
顔を近づけると、優しく額をなでてくれたし、羽根を近づけると弱ったところに手をあててくれた。
そうすると、リリィの聖霊力が流れて少しだけ治癒ができるのだが、
赤ん坊のリリィがそのことに気づいていたかどうかは、わからない。
独りが長かったぼくにとって、リリィは孫のようでもあり、娘のようでもあり、
セント・イーグルとしての使命とは関係なくても、
この娘を守りたいと思うようになっていた。
それから、リリィの成長を見守りながら
穏やかで楽しい月日が流れ、
リリィが13歳になる頃、僕は羽みがえりの時を迎えた。
「...白い鷲さん、そろそろいなくなっちゃうの?」
「うん。…1年間は会えないけど、生まれ変わって、また会いにくるよ。」
卵の状態は少し危険だ。
リリィにも場所は教えられない。
そもそも隠れる場所の条件が特殊だし、人が足を運べるようなところじゃない。
...今回は、クレモント島内に条件のあう場所が見つかってよかった。
あそこなら、1年間なんとかなるだろう。
セント・イーグルにとって一番危ないと言われているのが、この卵の状態のときだ。
絶壁の洞窟で、陽当たりがよく、東向きの入り口。
土地の持つ神聖力と魔力が拮抗した力の渦が激しくうねる場所。
洞窟内に藁やら落ち葉やらを敷き詰めて、断熱を兼ねたカモフラージュをし、入り口をふさぐ。そして、神聖力と魔力がさらに濃くなった洞窟の奥深くにもぐっていく。
しばらく自身の神聖力を洞窟に馴染ませたところで、大きな卵を産み落とすのだが、
自身が持つほとんどの神聖力や記憶を卵に受け継がせるため、産卵は命懸けだ。
練った神聖力の源を、卵に注ぎ込む。
ああ、この時点で意識が朦朧としてきた。
続いて、記憶も送り込む。
送り込む記憶は、再生用に複製した情報や経験値ではなく、オリジナルそのものを送り込むため、送ったあとの記憶はほぼ残らない。
(創造主なる神よ。どうかこの身を、一年間無事にお守りください。また、リリィと会えますように。)
記憶を送りこむと、卵を抱き守るように覆いかぶさって、深い眠りにつく。
産卵といっても、胎生にも似ている。
11ヶ月かけて体内の成分が溶け、卵に付着した部分が外郭から新しい鳥体と吸収されていく。
最後に残った羽根が卵を包み、孵化するまで卵の温度を一定に保つのだ。
意識は卵に移っているけど、核も神聖力もあるから状況把握はできるし、考えることもできる。
ただ鳥体ができてくるまでは動けないだけだ。
一年間、眠りながら起きているような静かな時間をすごす。
ゆっくり、溶解と吸収を繰り返す、穏やかな時間が流れていった。
そして、何事もなく、11ヵ月の時が経った。
読んでくださってありがとうございます。
...意識してなかったのですが、これって
ちょっとだけ初代○ッコロ大魔王の最後みたいだな、とデジャヴありました。
まぁ、本人からすると、鳥体(外皮)をリニューアルしただけ、という衣替え的な感覚です。
神聖力自体は加齢で衰えたりはしないのですが、
羽みがえりすると、力が出しやすかったり、動きやすくなるようです。
あと、聖獣の話し方が初めのほうと後のほうで変わっていきますが、設定なのであまり気にしないでください。




