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6.予期せぬ闖入者

あと一週間で孵化を迎えるか、というところで、なんと、問題が発生した。


洞窟に馴染ませていた神聖力が、別の新たにどこからか流れてくる神聖力に圧倒されて、卵内の成長速度が乱れているのだ。


例えるなら、ドミノ倒しの最後で、どこかからボールが転がってきたようなかんじだろうか。最後の最後に、成長過程がめちゃくちゃになってしまった。


鳥体に問題はなさそうだが、このままだと神聖力の機能がうまく使えなくなる可能性がある。それでは、ただの見えない鷲だ。

リリィを守るどころじゃない。

下手したら、気づいてもらえないまま、周りをうろうろするだけの迷惑鳥だ。


混ざり込んできた神聖力となんとか調和して、卵内の神聖力を正常な流れに戻さなくては。


とりあえず、流れこんできた別の神聖力を辿って、出所を確かめに霊体をとばしてみる。

洞窟を抜けて神聖力の根源と思われる場所に進んでいくと、崖の上に人影がみえた。


あれは、、少年だ。

とても迷惑なことに、強大な神聖力を放出している。

いや、あれは暴走しているのか…??


少年を中心に四方八方に雷のような閃光が走っているが、彼には意識がないようだ。


しかも、

「なんてこった。リリィまで近くにいる。」


幸か不幸か、リリィが近くにいるのを感じた。


主であるリリィの神聖力と、

守護鳥の僕の神聖力は親和性が高いため、

リリィが洞窟の近くにいれば、コントロールが可能かもしれない。


でも、リリィの強大な神聖力と、

この少年の禍々しく乱れた神聖力が拒絶反応を起こしてぶつかれば、

リリィの神聖力に傷がつくかもしれない。


もちろんその場合、

少年の神聖力も損なわれる可能性はあるが、まぁ、今さらだろう。

すでに、だいぶ傷ついているからな。

あっちはもういいや。


…!

あぁ、マズい。

そんなのは人でなしの考え方だ。

僕の優しい心にすでにダークな精神が生じてきている。

サイコパスとかなんとかいう…自己中心的価値観だ。

残虐な為政者に多いと言われる傾向だ。


神聖力と思考は密接にリンクしている。

流れ込んできた神聖力の影響だろうか。

まずい。性悪なうろつき鳥にはなりたくない。


仕方がない。

とりあえず、一か八か、リリィとのコンタクトを試みる。

...霊体のままで意志疎通ができるだろうか。


リリィは汗だくで森を駆け抜けてきたようで、

だいぶ息を切らしていた。


『リリィー!…リリィー!!』


(聴こえるかな?)


リリィはそもそも、なんでこんな森の奥の崖なんかに来ているんだろうか。

危ないじゃないか。


あぁ、霊体だからか、リリィの神聖力に近づくとよけいに癒されていく。

乱れた霊気が鎮まって、心地よい波動に息を吹き返すようだ。

あの少年の神聖力が電撃だとしたら、さしずめ、リリィのそれは電撃から守り、栄養を与える胎内の羊水のようだ。



「―ん?!白い鷲さんの声がしたような??

それとも、あの男の子かしら?」


よし。リリィに声が届いているようだ。

さすがは、僕とリリィだ。


『リリィー!僕だよ、白い鷲だよ!』


「―っっ!白い鷲さん!」


声をたよりに、必死で僕を探している。


『ごめんね、リリィ。

まだ僕は生まれてないから実体がないんだ。今は、霊体だけで君に話しかけているんだ。』


リリィのすぐそばで話しかける。

すると、ピンときた顔をして、


「そう、白い鷲さんは今、霊体なのね。

実は今日、すごく白い鷲さんとよく似たエネルギーを持った人にあったの!

でね、初めは、エネルギーを感じて白い鷲さんかなと思ってたんだけど、知らない男の子だったの。」


えぇっ。リリィはもしかして、あの少年に接触したのか??


「声をかけてしばらくお話ししていたんだけどね、その子は誰かを探しているらしくて、

森に行きたいって言い出したの。

絶壁の崖で、東向きの洞窟のある場所を知らないかって言ってて。。」


うそだろ。何者だ。

もしかして、探してるのって。。

僕が目的か??


「私、洞窟の場所は知らなかったけど、朝陽のあたる絶壁の崖へ案内することになって。

森を抜けたところで急に男の子の様子が変わって、

急に空を飛んで崖の上に登って行っちゃったの。

ねぇ、もしかして、白い鷲さんの生まれ変わりと何か関係のある人なの?」



なんてことだ。とんだ迷惑少年だ。

せめてあと一週間、大人しくしていてくれたらなんとか対応できたのに。

何が目的だ。


『そうなのか、教えてくれてありがとう…。』


『その少年は、リリィの言うとおり崖の上にいたよ。

意識がなくなっていた。

それから、リリィの感じたエネルギーは神聖力といってね、リリィもたくさん持ってるんだよ。あの少年を助けるためにも、ちょっと力を貸してくれないか?』


リリィは、少し驚いたようすだったが、小さく頷くと

しっかりした声で、

「私にできることは何でもするわ」


と言った。


『リリィ、まずはバリアを覚えなくちゃいけない。まだ成人していないからやたらには使えないけど、大きな力を跳ね返す、空気が固まったような、安全な空間をイメージするんだ。』


「わかったわ」


いつもは何事にも習得が遅いリリィだけど、緊急時だからか、ものの数秒で直径3メートルほどの見事なバリア空間を造りだした。驚異的な集中力だ。


しかも、すこし目の焦点があっていないような...

神聖力が漲り、覚醒したような雰囲気があった。


読んでくださってありがとうございます。

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