第二十四話 地に埋もれるもの5
(なんだこの感触…!?明らかにおかしいな。例えるならそう、ヤスリを纏った拳で何発も殴られたようなそんな感触だ…)
僕は今、少しばかり距離を取っている。というかなんなんだあの能力。炎やさっきまで持ってたあの剣もどっか行って炭のような体になって圧倒的な速度で殴ってくるって…
「ほう、面白いな。先ほどの一撃は、確かに貴様の命を削り取るに値するものだったはずだ。それが、なぜ生きている?興味が尽きないな。」
「ははっそりゃどうも。(つうかまずいな、このままだと『黒王は此処に再誕せり』まで使わされかねない。そうなったら、僕の負けだね。あれもまだ、完成していない現状だし…うん結構これ無理ゲーかも!)」
「ふむ、やはり貴様は例外だな。数多の戦士がいれども多くは相手と話している間に、必ずわずかな隙ができる。だが貴様には、それがない。まさに、我らの悲願を叶えるものと言えよう。」
彼は、何を意味するのかはわからない。というか考察する時間すらない。今現時点で優先すべきは、彼に見せていない手札を使用すること。それでしか、彼の虚をつき倒すことは不可能と言える。
(それが、一番難しいんだけどね…)
「だが、我も燃え尽きるまでに時間がない。故に、そろそろ仕留めさせてもらおうか。」
「そりゃどうも。こちらとしても死を待つだけはお断りなもんでね。」
そう言い終えると、僕は『黒天鍵』を構える。そして唱えるは、僕が開発した魔術の一つであり火炎を操る彼に対しては到底使いようがない技。
「汝、永久なる花園の守り人よ。汝、大いなる日陰のものよ。日を隠せ『月光運河』」
「見たことのない魔術だ!だが、これでは目隠し程度にしかならぬぞ!我が身焦がした、かつての憧憬と咆哮を、かつての愛を今ここに表したまえ!汝が名は『FENRIS』!」
僕が構えると、一瞬で多くの花びらが舞い散る。その花びら一枚一枚に、『黒焔の魔犬』を参考に大量の魔法陣が込められており触れた瞬間起爆する。はずだった、その数百枚にも登る花びらたちが一瞬で凍りついた。そして、彼の拳が僕の腹を貫かんとした。だが、僕は自らの血液で生成した剣を振るってそれを切り裂き、続きざまに彼の腹を十字に切り裂いた。
「残念だったね。もしもあなたが炎を発し続けていれば、僕はあの技を使えなかっただろう。だが、かといってあの状況であれば確実に僕が負けていただろう。あの技は目眩し用だったから。」
「そうか、我は負けたのか…すまぬな、君の技を使っておきながら負けてしまった我の弱さを許してくれ、友よ。そして、若き英雄よ、」
そういうと、彼は自らの胸に手を突き刺し脈打つ心臓を取り出し、言った。
「受け取るがいい。これは貴様の功績なのだ。これは、我が命そのもの。貴様であれば、うまく活用することができるであろう。さあ、そろそろ行くがいい。敗者のことは考えずにな」
「!待て!あなたが先ほど言っていた、アレとはなんだ!あなたは、一体何を知っている!」
「我からは何も言えぬさ。だが、そうさなあ二十四柱の怪物たちそれらを全て殺せ。そうなれば、あれは自ずとあらわれるさ。」
そう言い終えると、彼の肉体は霧散し荒野に僕と宝石獣たちが残された。
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