第二十四話 地に埋もれるもの4
この絵面をなんと表せば良いだろうか。『蹂躙』その一言で、全てを物語れる。彼が放つ熱波により宝石獣は接近した瞬間体を溶かされ死亡する。かといって、彼が防御だけにとどまるわけもなく彼が剣を一振りするだけで荒野の大地は大きなヒビが入る。だが、なんとか避け切れてはいる。依然決定打は見つからないが。
(さて、どうしたものか正直いって時間を稼げば稼ぐほど双方に有利に働く。だが、天秤が傾く速度が圧倒的に彼の方が早すぎる!)
「クハハハハ!どうした?この程度の強度では、我に傷一つつけることなどできないぞ!」
「そりゃあ、そうだろうね。こっちだって、傷をつけさせるのが目的じゃないんだから。」
そう言い終えると、僕は杖へと変化させた『黒天鍵』を彼にむけて構え、魔法陣から魔法を放つ。
「汝根源を知るがいい。『暗球』」
「甘いわ!」
僕が彼にむけて黒魔術の基本の技を放った瞬間、彼は自らが持っていた剣を突き刺した。その瞬間、彼の眼前に烈火の如く荒れ狂う炎で構成された壁が出現し僕が放った魔術を打ち破った。
「この程度か?まさかこの程度が貴様の限界なのか!?だとするのならば、貴様に先ほど言った新たな英雄という評価も取り消さねばならぬな。」
「いいや、違うね。僕が放ったのは、時間稼ぎもいいところの魔術だ。」
「ならば!なぜ我に全力の技を放たん!?このままでは、貴様も我が熱気に焼かれて死ぬぞ!」
「さっき言っただろう?時間稼ぎもいいとこだってね。」
「何?」
その刹那、彼の体を数多の牙や爪が切り裂いた。先程やられていた宝石獣の生き残りだ。
(成功か!よかった、シンプルな能力なら時間も少なくて済む!)
「…何をした?なぜ、我の炎で焼かれていたその獣たちが我に至近距離で攻撃を与えられる!我が炎は我に近づけば近づくほど火力も上がり温度も上がっていく。だが、なぜ先ほどまで焼き尽くされていたその獣たちが、我に攻撃を見舞うことができる!」
「そうだね、行っても問題がないから言おうか。僕の能力『地下冥界・第一層葬送』その真価たる能力は『死を思え』その効果はありとあらゆる能力・体質・力・技を解析し、耐性と有効打を獲得する。シンプルだろう?」
「ありえん。それだけはありえん。その能力には、一つの欠陥がある。我が放った炎をこの短期間で解析し終えるはずもなし!そして、その能力には一撃で終わってしまえば意味がないであろうが!」
「人の話はよく聞くものだよ、炎天の剣持ちし落焔の巨人誰がそれだけだと言った?僕が作るこの子達は個体であり群体でもある。この子達は全員集合意識で繋がっている。だから、経験や記憶を共有できる。だからこそ、『死を思え』を十全に発動できるんだ。」
まあ、それもあまり良いことでもないしね。なんでか知んないけど、この子達誰が先に僕に撫でてもらうかとかで戦いまくってるし……
「クハハハハ!」
僕がそう言い終えた瞬間、彼は気が狂ったかのように急に笑い始めた
「そうか、そうか!アレを倒すための手段は、残されていたのか。いいだろう、先ほどまでの言葉は失言だった。謝っておこう。貴様の能力は素晴らしいものだ。大切にするが良い。」
「そうかい、それは何より。それでできることなら、降参してくれれば助かるんだけども。」
「それは無理だな。ああ無理なことだ。我とて、戦士として王としての矜持がある。我は数多の屍を踏破し、我は数多の民の屍の上に立っている。その業は決して負けてはならぬものだ。降参するわけにもならぬ。故に、ここに全力の姿へと至るとしよう。」
そういうと、彼は周囲に放っていた熱気をおさめ自らの肉体に集中させ始め一つの言葉を言い始めた。
「我は敗北者!我が刃は天地を焦がす刃なり、故に汝太陽に座するものよ。未来を照らすものに見せるため今ここにかつての力を叩き起こさん!『黒の黄昏・再臨』」
その一言で、周囲の熱気は完全に収まり冬のような寒さすらも感じるほどになった。そして、彼の体が纏っていた紅蓮の炎は止み、まるで焼け焦げた炭のような姿の巨人がそこには立っていた。
「!?どういうこ「おそい」」
その一言で、彼は一瞬で僕の眼前まで駆け僕に掌底を10発も叩き込んだ。
まあ軽いタイトル回収となっております。
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