第二十四話 地に埋もれるもの
『人の営みのなんと尊いことか。そうは思わんか?ロムルス。彼らは、この都市の主人が変わろうとも日々を必死に生きている。かつての我が祖国を思い出す。』
「ははは、それほぼアンデッドみたいな種族の僕たちが言えることじゃ無いだろうけどね…だが、確かに僕もそう思うよ。だからこそ、少し悪く思ってしまうね。彼らの平穏を短期間とはいえ脅かしてしまったのだから。さて、それはさておきモルガン今のところどんな感じなの?そっちは。」
『こちらは今のところ順調だ。もう数分ほど経過しさえすれば、目的の場所へと到着するであろう。故に、早々に終わらせろよ。ロムルス、貴様の『変世機』とやらとともにな。」
「はいはい。わかったよ。」
そう言い終えると、僕は通信機能を取り付けた水晶をしまい会話を終えた。今僕は、ダンジョンに入る。それもただのダンジョンじゃない。モルガンがいた頃から存在していたとされる『特殊ダンジョン』に訪れていた。まあ、別に目的は僕のレベルを上げるためじゃ無いんだけども。
「創造主様この階層にいるすべてのモンスターの殲滅を完了しました。次は、何をすればいいでしょうか?」
「ああ、ありがとう。ベロボーグそろそろ『クラムボン』へ戻ろうか。流石に三日間もダンジョンに潜りっぱなしは疲れてしまうからね。」
「はい、そうですね。人形である私には理解し得ないことですが…」
(うっわなんか言わなかったら良かったかなこれ…すっげえ気まずいんだけども。)
彼女の名前はベロボーグ。僕の『変世機』である『地下冥界・第一層』が内包するTIPE『人形』によってつくられた人造生命体のようなものだ。まあ本体は別にあるけども。
そして、僕は一つの水晶玉を取り出し地面にぶつけて叩き割った。これも、先程の水晶も先日討伐した『鏡写しの影』の討伐報酬である『未完の物語』の効果で刻印したものである。そして、僕たちは光に包まれた。
「相変わらず、何度使っても慣れないものだね。まあ便利なのは認めるけども。」
「それ以上に費用対効果が少ないですからね。如何せん宝石程度で済んでいるから良かったもののそれ以外だと少し難しいですよ。」
ちなみに、宝石は以前の『クラムボン』領主が経費で購入した私物をそのまま使用している。
「おや、どうやらついたようだね。」
すると、僕たちの周囲を纏っていた光が晴れ『クラムボン』内の掘削現場へと転移していた。
「ふむ、帰ったか。ご苦労であった。」
「やあモルガン。三週間ぶり。」
「どうも。」
「うむ、ところで首尾はどうだ?」
「完璧かな。今のところは目的も達成することができた。」
そう言い終えると、モルガンは穏やかな笑みを浮かべながら言った。
「そうか、それはいいことだな。それと、こちらももう完了した。」
「へえ!嬉しいね。ちなみに聞いておきたいんだけど、中に何があるのか、わかる?」
「うむ、わからんな。高度な保護が行われておるようだが…何者によるものなのかはわからん。あまり無いことだ。」
そう言って話を一度区切ると、僕は『黒天鍵』を携え掘削されおえた地下へと続く大穴を覗き込みモルガンたちに向かって言う。
「それじゃ、行ってくるね。」
「おい、待て!」
「お待ちください創造主様!」
そうして僕はその穴へと飛び降りた。すると、そこにあったのは横たわる巨大な犬科の動物の遺骸だった
「ははは、これはすごいな。なんなんだ、これ。」
領主は普通にイカれた脳筋野郎でした。




