第十九話 準決勝
「さあ!良くも悪くもやっべえことがあり過ぎた『コロッセオ』もいよいよ終盤!準決勝の始まりを飾るのは、ベロボーグvs『聖女』の組み合わせだ!」
「ああ、申し訳ありませんが今回の試合僕は実況できませんので。そこのところよろしくお願いしますアイさん。」
「はい?」
その言葉に、会場中が静まり返り数秒の間沈黙に包まれる。そして、言葉を認識し終えた彼らは僕に向かって憤怒の言葉を発する。
「ふざけんじゃねえ!」
「実況ちゃんとしやがれ!」
「ブッキングしてんじゃねえよ!この妖精やろう!」
「ベロボーグちゃんを解放しやがれ!」
「なんか、変なこと混ざってる気しません?」
「しますね。あと、妖精だけはやめてもらえます?その言葉僕の心にすっげえ刺さってるんですけど…」
とりあえず事態が収集し終えた数分後、僕たちの眼下にあった闘技場にイシスとベロボーグが現れる。
「初めましてベロボーグさん。」
「ええ、初めまして『聖女』殿。お噂は創造主からかねがね。」
「そう、…あの人は私についてどう言って居ましたか?」
「それは、ご自分で見極められてはどうですか?」
「はい?」
「『悪諾の器』・発動」
その一言で、ベロボーグの目の色が黒色へと変わり身に纏っていた服が『天衣無縫』へと変化する。
そして、僕はいつの間にやら形態を増やしていた『黒天鍵』を手に取り言葉を発する。
「さあ、久しぶりに稽古をつけてあげよう。どこからでもかかってくるといい。今の僕に出せる全身全霊を持ってイシス、君と戦おう。」
「そっちこそ、反則じゃないですか…どこの何奴が自分の『変世機』を操作して敵と戦うなんて想定しますか。」
「今回ばかりの奥の手と言ったところさ。制約を持たせることで、願いを叶えさせる『U・B・M討伐報酬』それに二回限定で他者の肉体を乗っ取ることを可能とした。」
「まさに反則ですね。というか、そんなやつどうやって討伐したんですか?」
「これ以上はダメだ。僕たちの間だったら、」
「剣で語り合えでしたね。良いですよ。私も、少しあなたに言いたいことがありますかっら!」
イシスは、そう言い終えるや否や僕に向かって切りかかってくる。上段突き、下段突きそれらを合わせた動きだ。
(僕が教えた覚えのない技だね。イシスが独自に開発したのかな?)
「燃えよ炎天、砕けよ氷壁『陽炎の剣』」
「なるほど、付与魔法か。いいね、白兵戦などにおいては便利だろう。だが、炎はいけない。」
「!?疾い!」
僕はイシスの腹に向かって掌底を叩き込む。その衝撃で、イシスは結界の縁へと押し込まれる。
「まだまだぁ!」
「君の強みは、圧倒的なまでの慣れと経験によった流れを作ることだ。だが、その炎では流れが途切れる。せめて、流れが途切れなくなり自らの身体能力にも直結する雷や風であったのならば酷評はしなかっただろうけど…付け焼き刃なのが見え見え。」
「…わかっている。そんなことは誰よりも!あなたが、誰よりも厳しいことも!あなたが、誰よりも自らを嫌悪していることも!あなたが、誰よりも優しいことも!だから、だから私は強くなった!あなたを安心させたくて、あなたの、あなたの誇りになりたかったから!」
(ああ、やはりそうだったんだねイシス。君は本当に優しい子だ。僕のようなろくでなしなんかを家族と思い信じてくれてありがとう。だが、僕はそれほどまでに良い人ではないんだ。僕はそれほどまでに強い人ではないんだ。だが、今だけは。ああ今だけは君に誇れる僕であろう。)
「そうか、わかった。ならば見せよう。ならば戦おう。僕が、僕に出せる全力を以て」
そういうと僕は『黒天鍵』をイシスに向けて構える。
「『異空召喚略式戦型集』」
「コレ、は?」
「僕がこの三ヶ月の間に狩ってきた『U・B・M討伐報酬』たち。そのうちのしめて二十九個の武装の使用を解禁した。さあ、全力でやろうじゃないか。」
「うん、ありがとう。『神に似たものは誰か』発動。」
(やっぱあの詠唱はブラフだったか。)
その刹那、僕の目前にイシスが移動する。
「!?」
「雷鳴轟け」
「ちっ!厄介だね。予想はして居たけれども」
「あなたのそれの方が厄介そう。」
「はは、確かにね。彼らを倒すのは、苦労したものだ。特にこの子は苦労した分感動もひとしおだよ。『灰刃の剣』」
その一振りは、刀身には切れ味というものはなくされどその剣の本質は刀身を灰へ変換すること。そして、その灰はそれぞれ人さじの大きさしかないが正に名刀というにふさわしき切れ味を有している。
そしてそれを自由自在に操ることこそ、その本質。
(あれは疲れたね。正直言ってコレでもかなり弱体化しているし。)
「空間固定」
「やっぱ防ぐか。そりゃそうだよね。ならこちらはどうかな?」
えーまあ察している方もいる可能性もあるので言いますが、イシスちゃんの『変世機』の能力は詠唱を不要にすることと魔法の威力を上げることですね。(まあそれ以外にもあるけど)
羽とかが黒くなったのなんで?と思う方もいらっしゃると思うんですがまあそこら辺は便利なものでして、色々とイシスちゃん自身で調整が効くんですよね。
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