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第十一話 その槍は何を見据えて

「あいつは何を考えている?」


「どう言ったおつもりですか?私が話せることは、すべて話したのですが。」


「言った通りだ。あいつが何を考えているのかが、よくわからん。あいつは、先ほどから敵にとって()()()()()()ばかり行なっている。しかも、なぜあいつはあそこから動こうとしない?あいつの実力であればそれこそ、お前とも打ち合うことができるだろう。」


「ええ、まあそうですね。どうやら()()()()()()()()が大きく異なっているようですし。それでいて、一振り一振りがとても重そうですしね。それでいて技術もある。正直言って、今のあなたが戦ったら負ける可能性すらもありますよ。」


アキレウスは、自らの主人のことを思い出す。肉体の年齢は二十歳を超えてないくらいだろうが明らかに彼の精神はその()()()はある。どう言った原理かは知らないが、彼は自らの精神の年齢と肉体の年齢が合致していない。


「まあそれはさて置くとして、主人様からあなた(モルガン)が聞いてきたらこう言えとおっしゃていましたよ。『長期的な目で見て、これが最善だと判断したまでさ。僕たち人間は、ややこしいように見えて案外単純だからね。』と」


「意味がわからん……」


「はは、確かにそれに関しては激しく同意しますよ。まあ今私にできることは、とりあえず攻め落とそうとし続けることですので。さて、それではあなた(モルガン)も早めに命じられたことをした方が良いのでは?」


それを聞くと、モルガンは舌打ちをしながらも渋々了承した。


「チッ、わかった。だが、忘れるなよ。もしも貴様が裏切ろうものならば、地の果てまで追いかけて必ずや貴様の息の根を止めてやる。」


「ええ、わかっておりますよ。」


アキレウスがそう言い終えると、城壁へ向かって行った。そして、一人になったアキレウスは自らの過去を思い返す。そして、今の話し合いさえも予感していたのでは無いかと思わせるかのような雰囲気を持った自らの主人についても。





「正気ですか、ヘクトール、パリスいかにあなたたちが万の盾すらも貫く神槍(ドゥリンダナ)神弓(ヒュドラ)を持っていようとも、我らトロイアに勝てうるはずもなし。」


「わかっている。わかっているのだ、アキレウス。我が真の友よ。」


「わかっていても、叶わないことというものがあるのです。すみませんが、死んでください。」


その言葉にアキレウスは数秒眼を瞑りながらも、覚悟を決め戦車を出し槍を構えて言う。


「我が名はアキレウス。トロイアが誇りし至高の英雄なりてこの槍は故国を守るために。」


「ありがとう、アキレウス。助かるよ。」



その刹那、戦いが始まった。






戦いが終わるのは、数分後だった。


「やはり、私の負けですか。予想はしていましたが、全くもってああ全くもって残念です。できることなら、故国を守り抜きたかったのですがね。」


「………」


「なぜ、涙を流しているのですか。買ったのならば笑うそれがあなたたちの戦いに臨むときの姿勢でしょうッガハッ

貴様、アポロン!」


「やれやれ、何をチンタラしているのかやら。アキレウス、お前邪魔なのだよ。我らとソロモンの支配には邪魔としか言いようがない。故に死ね。もしも貴様がモーガン・ル・フェイと手を組んだとしたら最悪以外の何者でもないのでな。」


「ふざけるな、ふざけるなよ!そんな、そんなくだらないことのために私の友を、彼らを利用したのか!?」


「当然だ、貴様ら人は所詮我らの傀儡。一部の例外はあれど、それに変わりはあるまいて。」


そう言い終えるとアポロンはさらにアキレウスの心臓に目掛けて数百本の矢を放った。



「それが私が死した理由といったところですね。」


「なるほど、ね。随分と波乱万丈といえば良いのかなそんな人生を歩んでいたようだね、」


「ええ、敗戦した将のみですが。」


「その割には嬉しそうだね。ヘクトールさんたちと、仲良かったのかな?」


「仲が良いと言うまでもありませんでしたが…戦友でした。だからこそ、決着がつけれたことにはうれしくもあります。ですが、だからこそ私はあの戦いを勝手に決めたアポロンが許せない。故に、何卒


「わかっているよ、アポロンも倒すことを視野に入れておこう。まあ僕が必ず殺せると言うわけでもないけどね。」


「感謝の極み。長々と話をしてしまい申し訳ありませんでした。それでは、失礼します。」


そういって、アキレウスは遠ざかっていった。そして遠ざかるアキレウスを見据えながら、ロムルスは呟く。


「アポロン、そしてソロモン。予想が正しければ、そう予想が正しければ。()()がどこかにあるかもしれない。そうなれば、彼らもまた大きな戦力になるだろう。だとするならば取るべき手段は一つだね。」


そして、何かを決めたような表情でクラムボンを見据えた。



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