第七話 黄泉帰り
僕は今、2日前にモルガンが攻撃した西方大陸最大の要塞都市『クラムボン』に訪れていた。
まあ、攻め入るわけではなく招待された上での話だが。
「ようこそ、いらっしゃいました英雄どの。我々は貴公を歓迎いたします。どうぞお入りください。開門!」
そう門兵がいうと目の前にあった巨大な鉄でできた門が音を立てて上がり始めた。
その様はまさに雄大。それでいて長い歴史と共にそこに住まう人々を守り続けていたということを証明するかのような数多の傷を負いながらも決して壊れなかったという事実。そのふた文字をまさに形容するかのような姿でありその見た目にはまさに驚嘆に値するものだった。
「どうぞ、我々についてきてください。これより、貴公を剣の丘にご案内いたします。」
「ああ、ありがとうございます。わざわざすいません。」
「いえ、それが我々の仕事ですので。」
僕が今回訪れようとしているのは『剣の丘』という、この大陸の名だたる英傑たちが眠る場所でありその英傑たちが生前使っていた武器などが墓標として突き刺さっている場所だ。そして何よりその場所の特徴を言うのなら、そこに眠るのは剣士や魔法使いなどではないと言うことだろう。『剣の丘』にはこの大陸の発展に大きく関与した人物たちも眠っている。それゆえに、この大陸は他の大陸に比べて技術などが高くなっているのであろう。
かれこれ十分程度歩いただろうか、前を歩いていた門兵が止まった。どうやら目的地に到着したようだ。
「つきました。此処こそが、わが大陸が誇りし最高の栄誉である『剣の丘』でございます。では、私は此処から離れます。ですが、此処はとても神聖な場所ですので愚かなことをされることがなきように。さもなくんば、死よりも辛き苦痛が待ち受けているでしょう。」
そう言って、門兵は元来た道を歩いて戻って行った。
(なるほど、墓標となっている武器などに触ろうとした場合すぐさま呪いなどがかかるのか。確かに、どうりで盗まれる心配をする必要がないわけだ。これなら、盗もうとした奴の方が先に死んでしまうだろうね。だが、)
僕が今回することとはただ血液を垂れ落とす。それだけだ。なんら盗むようなこととは関係がないし、問題もないだろう。だが、流石に僕といえどもこの範囲を一人でやると言うのは少し難しいが…まあ時間をかけてしまえさえすれば3日で終わるだろう。
そう考えを固め僕は、ちょうどいいところにあった『アウィディウス』と刃に刻まれた、両刃の剣を見つけ英傑の墓標となっているそれに向かって血を滴り落とした。すると、その剣が埋まっていたところが少し揺れ地中から突如として、黒色の鎧が地面から飛び出した。
「はは、いいね。面白い。流石に英傑。流石に強者といったところかな?まさか、普通の死霊を通り越してデュラハンに最初からなるだなんてとても嬉しい誤算だね。初めましてかつての英雄殿?いや、こういった方がいいかな?現代に甦りしかつての英雄にして僕が作り出した原初の死霊アウィディウスと。」
彼の姿はまさに騎士というに相応しいが僕が血液を与えた影響というべきか、彼の本来であれば厳かで神聖な雰囲気を纏っていたであろう鎧は黒く染まっていた。そして頭部はなく、首の部分には青白い炎が灯るだけだった。
(これは会話は期待できないだろ「ええ、それで構いませんよ我があるじ。」ウェ!?」




