第三十七話 突発性ダンジョン2
我は、血液を杖に纏わせ槍を作り出した。だが、先ほどまでとは異なり今回は魔力で操るわけではなく自らの手で持ったまま振り抜いた。そして、ノースたちの胴体を切り裂いた。されど、奴らはもう一度現れる。此度はさらに先程の倍になって。
「なるほど、それが貴様の能力か。」
【御明察。吾輩方は、死にません。そして、肉体が砕かれれば砕かれるほど吾輩方は増えていく。さて、あなたはどうしますか?あなたはたった一人。吾輩方に勝てるはずがない。さあ、今からでも『黒王』を連れてきてください。そうすれば、命は取りません。】
(なぜこれほどまでに、ロムルスの命に執着する?正直言ってこいつらと戦った記憶もない。そして、あいつがこいつらに狙われそうな理由というものも想像ができない。まさか……『落焔の巨人』の心臓か?いや、まさかな。)
我は浮かんできた考えを頭の隅に追いやり、槍を構える。だが、その姿を見せたとしてもノースたちは一切動こうとしない。異常なことだ。これほどまでに、殺意を醸し出しておきながらそれは目前にいる我に当てたものではない。異常としか言いようがないだが、ここで殺して置く必要性がある。殺しておかねば無限に倍増する可能性がある怪物が地上に溢れる可能性が万が一、否那由多の果てにあるというのならば殺しておかねばなるまいて。
「仕方がない、こう言った場所で使うということは不本意極まりないが。おい、ノースと言ったな?貴様らは先程数の力ほど強いものはないといったな?先ほど言ったことを訂正しよう。確かに、数の力というのは脅威だ。一部の生物を除いてな。」
【随分とおかしな言い方ですね?その言い方ですと、まるであなたには関係ないというような言い方だ。】
「ああ、実際関係ないからな。それに、我は今かなり不愉快な心境だ。本来であれば、我は魔術は完成し切った状態で使うことを至上としているそれは、絶対普遍の信条だ。だが、この場では信条を曲げたとしてもロムルスを守り抜くという信条を優先することにした。」
【あなたは……いったい何をしようと言おうのですか?】
「我がこれより紡ぐは、我が最も大切な友が、自らの世界で最も愛しそして聴力を失いながらも世界最高と呼ばれた音楽家が作った至上の戦慄なり。存分に、聞きそして慄くがいい。第一楽章『幻想行進曲』!』
その瞬間、ダンジョン中が閃光に包まれた。
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