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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
パラオの絶対守護神

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想定外

 アメリカ第七艦隊旗艦「ジョージ・ワシントン」艦長にして今回の《オペレーション・リゲイン》の作戦総司令官である私は、万全の態勢で出航した。

 ヨコスカにいる30隻の艦を選出し、原子力潜水艦も3隻密かに作戦行動に入った。

 初めてこの作戦の命令書を受け取った時にはとんでもない作戦だと感じた。

 まさか先制核攻撃でパラオの日本人と住民を殲滅するとは。

 非人道的という言葉では足りないほどの恐ろしい作戦だった。

 宣戦布告無しに、密かにパラオにいるパラオ人、日本人たちを一掃するのだ。

 これまで戦争で核兵器が使われたことは二度だけだ。

 日本のヒロシマとナガサキ。

 そこで非戦闘員が数十万人死に、その後も尚も核の影響で苦しむ人々を生んだ。

 敵国であったとはいえ、後の世界が核兵器の使用を抑制して来たのは、ヒロシマとナガサキの惨状を知ったからだ。

 もちろんアメリカもあの後は一度も使用していない。

 だがそこに《ウラオニ》がいることを知り、やむを得ない戦略だと説明された。

 とんでもない戦力を持つ《ウラオニ》が相手では、通常戦力での侵攻ではこちらにも犠牲者が出るためだと。

 私は個人的には反対だったが、命令とあれば従う他無い。

 万一原潜からの「トマホーク」が無力化された場合は、「ジョージ・ワシントン」から核ミサイルを搭載したF-35Cが出撃する。

 そのことももちろん承諾している。

 その上、ペンタゴンは《ヴァーミリオン》200名の中隊を同行させた。

 本来は《ヴァーミリオン》を出動させるためには「特殊兵軍総司令部」の許可が必要なのだが、ペンタゴンとNSAの上層部の人間たちが密かに命令書を作成したようだ。

 恐らく「特殊兵軍総司令部」はパラオを占領した後に事態を知ることになるだろう。

 いかに《ウラオニ》が途轍もない戦闘力を有していても、絶対に勝てる作戦だった。

 何しろ《ヴァーミリオン》の中隊には10名の士官クラスがいたのだ。

 小さな島を攻略するのに核兵器の使用も大概だが、《ヴァーミリオン》の中隊が出撃するのも史上初だろう。

 艦隊の出撃は極秘に始まり、太平洋上のある地点で合流してのものとなる。

 公に演習の情報も流しているので、我々の《オペレーション・リゲイン》は始まるまでどこにも察知されないはずだった。

 特に原子力潜水艦3隻の行動は誰にも分からない。

 実際、パラオ近海に到達するまではどこからも通信は入らなかった。

 第七艦隊の全艦にも無線封鎖を命じていた。

 パラオ近海に全艦隊が集結するまでに、私も作戦遂行の覚悟を固めていた。

 だが接近する我々に流石に気付いたジエイタイが幾度も通信で接近を拒む内容を送って来た。

 当然無視した。

 そしてジエイタイの高速艇が来て、「ジョージ・ワシントン」の前で引き返すように拡声器で怒鳴って来た。


 「これは明白な侵略行為と受け取る! ただちに帰還されたし!」


 この第七艦隊の威容を前に、なんというバカげた勧告か。

 私は笑って機関砲で破壊するよう命じた。

 この艦隊を前に単独で来た彼らの勇気は認めるが、無謀を通り越してまるで喜劇だ。

 日本のジエイタイは対外戦争を知らないためだろう。

 戦地に来たことは幾度かあるが、戦闘に参加しない腰抜けたちだ。

 私は「アッシュビル」「アナポリス」「ミネソタ」に直ちに「トマホーク」を発射するように命じた。

 第二次世界大戦以降初めての核攻撃だ。

 良くも悪くもこの作戦総司令長官である私の名前は後世に残るだろう。


 その時、パラオの島の一つの上空で空間が揺らいだ。

 レーダーには何も映らなかったが、肉眼で前方を見ていた観測員からの報告を受けて、艦橋の我々もその方向を見た。

 信じられない光景が展開した。


 長さ20キロ以上の葉巻型の巨大な何か。

 どうしてあれほどの巨体がレーダーに反応していないのか。

 何か、底知れぬ恐怖が湧いて来た。

 あれは尋常な兵器ではない。

 艦橋の作戦参謀たちも同様している。

 表面には幾つも砲塔を思わせるものが伸びており、巨大な戦艦のようなものの下部から何かが13個飛び出して来た。


 「なんだ、アレは!」

 「アンノウン! 余りにも巨大過ぎます!」

 「UAP(未確認空中現象)では?」

 「何故そんなものがここにいるのだ!」


 状況的に、あれは確かに日本の物体だ。

 レーダーに反応せず、視界にも突然現われたことは確かだ。

 13個の物体はまるで金属の天使のような外観であり、それらが4グループに分かれて海上を高速移動した。


 「マッハ20オーバー! 未知のテクノロジーです!」

 「何とか撃墜しろ!」


 無理なことは分かっていた。

 マッハ20などで移動する物体を攻撃する武装は無い。

 ミサイルも機関砲も無効だ。

 それでも全艦で攻撃の準備を始めた。

 そして次の瞬間、全ての機関、電子機器が動かなくなった。

 艦橋内で巨大なスパークが走り、ほとんどのクルーがその一瞬で全身が焼け焦げて死んだ。

 それを見て、何らかのEMP攻撃と悟ったがこんな規模で発生するものを誰も知らない。

 私は奇跡的に生きており、ショックで手足は動かなかったが意識はあった。


 「何があった……」


 一瞬のことで通信も出来なかったが、金属の天使たちが本体に引き返すのが見えた。

 「トマホーク」は一発も発射されなかった。

 もちろん艦上の爆撃機も飛べない。

 他の艦船も沈黙しており、同じEMP攻撃にやられたことが分かった。

 しかし、海中の原子力潜水艦をどのように攻撃したのか。

 この強烈なEMP攻撃は、海中の原潜には通じないはずだ。

 何らかの別な攻撃法があったのだろう。

 あの機械の天使たちが人智を超える何かを行なったのだ。

 絶対に勝利するはずの《オペレーション・リゲイン》は失敗した。

 何人が生き残ったのかは知らないが、我々は捕虜となりジエイタイに囚われるのだろう。

 私の他にも運よく生き残ったクルーたちが慌てて甲板に飛び出て行くのが見えた。

 もう抵抗は出来ない。

 私は目を閉じた。





 そして衝撃を感じた瞬間、全ての意識を喪った……

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