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押し掛けギャルは殲滅者  作者: 青夜
パラオの絶対守護神

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第七艦隊消失 Ⅱ

 《機神》を「超次元」に収納して、僕は島に転移した。

 海岸で風祭さんと四家さんが怯えたような顔をしていらっしゃった。

 約束通り、お二人は双眼鏡のみを手にしている。

 俺を見て、一層脅えた。

 申し訳ない、つい《機神》に乗るとやり過ぎてしまう僕のせいだ。

 お二人に笑顔で近づき、もう大丈夫だと声を掛けた。


 「すいませんでした、大勢だったので時間が掛かってしまいました」

 「い、いいえ、それは、2分も……あ! あの、ご苦労様でした! どうぞ中でお休み下さい!」


 ようやく風祭さんがいつもの自分を取り戻した。


 「大丈夫ですよ。僕よりもお二人は大丈夫ですか?」

 「も、問題ありません! あの、あまりにも想像を絶した戦闘で驚愕しております!」

 「大したものでもありませんでしたよ。火力もほとんどお見せすることもなく、申し訳ありません」

 「とんでもありません! お見事な一撃でした!」


 最初に《機天使》が運んだ3名は生きており助かるようだと聞いた。

 今《裏鬼》の上の人間の許可を得て、救助隊がこちらへ来ることになっていると。

 僕の姿を見せない段取りが必要だろう。

 四家さんがそれを促した。


 「風祭さん、中でお話ししましょう。那智様をこんな所で立たせていては失礼です」

 「は、申し訳ありませんでした! どうぞ中へ」

 「はい」


 リヴィングで四家さんが紅茶を淹れてくれた。

 風祭さんが幾つか質問を許して欲しいと言い、僕は答えられる範囲でお話しした。


 「あの戦艦のようなものが那智さんの能力なのですね」

 「そうです。《機神》と名付けています。正式名称はまた別にありますが、それはお答えできません」

 「はい、我々が質問しても、御答えになれないことは全てそのようなことで結構です。最初に《機神》から出撃したものも那智さんが操っていたのですね?」

 「そうです。今回は《機天使》を13体出しましたが、あれで全てではありません。総数についてもお答え出来ません」

 「分かりました。あの《機天使》たちも凄まじい攻撃力を持っていたようですが、まず海中の原潜を攻撃したとお見受けしました」

 「はい、その通りです。原潜が3隻いました。もう核を積んだトマホークを射出する準備をしていたので、先に潰しました」

 「その攻撃が我々には観測出来なかったのですが……」

 「特殊な周波数の攻撃です。これも詳細はお話し出来ません」

 「そうですか。それで3隻はどうなりましたか?」

 「海中で圧搾されました。破片が散開していますが、回収にご興味はありますか?」

 「はい、宜しいでしょうか?」

 「結構です」

 「ありがとうございます。そうですか、敵はトマホークで先制核攻撃を仕掛けるつもりだったのですね」

 「そうです。《裏鬼》のみなさんや自衛隊の方々を島ごと消滅させるつもりだったのでしょうね。もちろん一般の作業員やパラオの住民の方々もろともです。米軍がパラオを占領するためですね」

 「アメリカもとんでもないことを。厳重に抗議せねばなりません」

 「それはお任せします」

 「次に第七艦隊への攻撃ですが、あれは私にも最初にEMP攻撃をしたことは分かりました」

 「流石ですね。目には見えなかったはずですが」

 「はい、ここまでEMP攻撃特有の肌への感触がありましたから。こちらへはさして影響はありませんでしたが、肉眼でも艦隊が一瞬スパークで覆われましたので、そうだと理解しました」

 「そうです。今の武器管制は全て電子制御ですので、EMP攻撃は非常に有効です」

 「ですが、第七艦隊であればEMP対策もしていたのでは?」

 「もちろんそうですが、想定外の強力な電磁波を放てば無意味です。電子レンジの内部と同じ状態で、乗組員もほとんどが最初の一撃で死んでいるはずです」

 「なるほど……」


 実際には僕は全てセンサーで観測していた。

 艦内の様子までも全部把握していたのだ。

 風祭さんが沈黙した。

 四家さんも同様で、その攻撃がもたらす結果を想像したのだろう。

 人間が一瞬で炭化して黒焦げになる地獄のような状態だ。


 「各艦で生き残った人間がまだいました。ですので最後に「レールガン」で艦ごと吹き飛ばしました」

 「あれは「レールガン」だったのですね。凄まじい威力でした。こちらへは轟音は聞こえたのですが、余りにも一瞬で鋼鉄の塊の戦艦が飛び散って行くので、何が起きたのか分からずにおりました」

 「多分ヴァーミリオンの一個中隊くらいは乗船していたでしょうが、何もすることは出来なかったはずです」

 「あの、生存者を残しておくことは……あ、いえ! 決して非難ではなく、情報を得る必要は無かったかと。すいません、那智さんのご判断で全て宜しいことなのですが!」


 風祭さんが慌てている。

 ほんの僅か苛立ったが、すぐに僕は微笑んでお話しした。


 「そうですね。風祭さんのおっしゃりたいことはよく分かります。ですが、僕は絶対に許せなかった。一人たりとも生かしておけなかった」

 「それは……」

 

 風祭さんがおずおずと顔を挙げた。


 「だって! 宗三さんが折角手に入れて下さったこのパラオを、あいつらは力づくで奪い取ろうとしたんですよ! そんなの絶対に僕が許しません! 許可があればこれからアメリカ本土へ乗り込んで、アメリカを徹底的に破壊してやりますよ!」

 「那智さん、どうか落ち着いて下さい!」

 「そうです! アメリカには日本政府から正式に抗議と共に、あらゆるルートで交渉します! 必ずアメリカから何らかの謝罪が出るはずですから!」

 

 俺の中で黒い感情が噴き出すのを感じた。

 一度それが始まると、俺の人格は変容してしまう。

 もう《機神》とは切り離されているが、常に繋がっている部分もあり、その影響で時に感情を乱すこともある。


 「そんな甘っちょろいこと言ってっとよぉ、お前らも潰すぞぉ?」

 「「!」」


 二人が蒼白になり床に土下座した。

 僕はちょっとやり過ぎたと思い反省した。


 「すいませんでした、どうか立って下さい。つい感情的に……宗三さんのことになると抑えが緩む時があるんです。申し訳ない」

 「「いいえ!」」


 本当に申し訳ないことを言ってしまった。

 お二人は仲間であり、宗三さんのことも慕ってくれている方々だったのに。

 風祭さんたちを立たせて、もう一度椅子に座ってもらった。

 僕の怒りがまだお二人を脅えさせている。

 でも、宗三さんのことを思うと自分を抑えられない。

 あのお優しい方のために、僕はどんなことでもするし、誰にも邪魔はさせない。





 宗三さんが僕の全てなのだ。

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